総勢9名インタビュー!『THE LAST OF US』アビー役ケイトリン・デヴァー「アビー役はどん底にいた私のセラピーのようなものだった」

同名の大人気サバイバル・アクションゲームのドラマ版『THE LAST OF US』。シーズン1では、そのクオリティの高さで2024年のエミー賞8冠に輝いた本作。シーズン2の予告編は、3日間で同社制作の歴代作品の中で、過去最高の再生回数を叩き出し、大注目の作品であることを証明した。そんな本作に、シーズン2から重要な役どころとなるアビーとして出演するケイトリン・デヴァーのインタビューを行った。

 

『THE LAST OF US』シーズン2から登場のケイトリン・デヴァー

『THE LAST OF US』の舞台は、世界中で謎の菌類が蔓延し、文明が崩壊してから20年が経った近未来のアメリカ。最愛の娘を失ったジョエルが、少女エリーを隔離地域から連れ出す任務を課される。赤の他人だった二人は反発し合いながらも少しずつ絆を育みつつ、目的地までサバイバルの道を進んでいく。

ケイトリンが演じるアビーは、シーズン2から登場。ジョエルとの過去にしがらみがある重要な役を演じる。

――シーズン2へのご出演、おめでとうございます。アビーはタフなキャラクターでアクションシーンも多いですが、演じるにあたってどのようなトレーニングや準備をしましたか。

アビーの強さは彼女のうちからくるエネルギーだと思っています。意志の強さや少し怖いくらい無茶なところですね。ですので、歩くだけのシーンでもその強さが出ることが大事だと思って演じました。身体的な準備としては、アクションシーンがたくさんあることはわかっていたので、できるだけトレーニングしました。

でも撮影初日に、クリエイターのクレッグとニールから、ゲーム版とは違って、ドラマ版では身体的な強さはあまり重要ではなく、アビーの強い感情、怒りなどの精神的な面を中心に考えて欲しいと言われました。

――ゲーム版では、アビーは非常に有名なキャラクターです。ドラマ版を見るゲーム版のファンにとってのサプライズのようなものはありますか。

そうですね。ドラマ版のアビーに関しては、非常に満足しています。クリエイターたちと話していたのは、ゲームのアビーとどう違う部分を出していくか考えました。その結果、視聴者が、もっとアビーのことを理解できる展開にしたいということになりました。ゲーム版ではアビーは突然登場しますが、ドラマ版ではどうしてこんなに怒りに満ちているのか、なぜこれほど意思が強いのか、そして彼女の深い心の傷という点をわかってもらえるようになっていると思います。

――アビーはとても激しく強烈なキャラクターですが、演じ終わった後いつもどうやってリラックスしていましたか。

本当に強烈なキャラクターなので、撮影後にさっと忘れて気持ちを入れ替えるのはなかなか難しかったです。ちょうど昨日、このことをある人と話していたんですが、シーズン2の撮影の時に、実はプライベートで大変なことがありました。(2024年2月、ケイトリンの母で元フィギュア・スケーターのキャシー・デヴォーが14年の闘病生活の末、乳がんで亡くなっている)当時は本当に怒りや悲しみで頭がいっぱいで、人生のどん底にいました。どうしていいかわからなくて。でも今思うと、このアビーの役がある意味セラピーのようなものだったのではと感じています。

あとは、泡風呂とメディテーションのアプリですね!それでなんとかリラックスするようにしていました(笑)

――シーズン2からの参加になりますが、他のキャストとすぐに打ち解けましたか。

最高でした。(反乱組織の)ファイヤーフライのメンバーも皆面白い人たちでしたし、前から知っている人が結構いたんです。マニー役のダニー・ラミレスも何年も前から友達で、メル役のアリエラ・ベアラーとは11歳から仲良しなんです。当時は二人で馬鹿な動画とか一緒に撮ってました(笑)ジョエル役のペドロ・パスカルとエリー役のベラ・ラムジーは素晴らしい俳優ですし、彼らを含めそういった人たちと一緒に仕事ができるのはとても光栄でした。

シーズン1があれほどの評価を得ている作品だったので、途中から参加するのは怖い部分もあり緊張しましたが、皆とても暖かく迎え入れてくれました。

――ロケのセットを実際に見てどうでしたか。お父様はゲーム版のファンですよね。お父様の反応はいかがでしたか。

(笑)

そうなんです、父はゲームの大ファンです。父を撮影現場に連れて行ったんですが、カメラが回っていない間に感染者(役)がウロウロしているのを見た父の反応を横で見る、というのが一番面白かったかもしれません(笑)

撮影現場は、本当に素晴らしかったです。制作したスタッフ全員の努力の結晶とも言えるセットに、ただただ感動しました。本当に細かい部分まできちんと作ってあるんです。CGIもありますが、背景のポスターなど本当にちゃんと作ってあって。メイクアップアーティストやコスチュームデザイナーなどの仕事も含め、全てが最高でした。

――ドラマ版より以前に、映画版の製作という話がありましたね。その時エリー役でオーディションを受けていたと聞いたことがあります。今回アビー役での出演ですが、やはりこの作品に出演したいという思いがあったからですか。

もう10年も前の話ですね。あの時は映画版という話でしたし、今回のものとは全く違うプロジェクトでした。オフィシャルにエリー役に決まっていたわけでもなく、(クリエイターの)ニールと話をしていただけという感じです。そしていつの間にかこの話はなくなりました。業界ではよくあることですけれどね。そうして今回に至るわけですが、いつもこういったものはご縁があってのことだと思っているので、今回こうして出演できることになったのも、ご縁があったからかなと思っています。

――ゲーム版のアビーは、ヴィランとして描かれていますが、プレイヤーはゲームを進めていくうちにアビーの立場に立つと、とても複雑なキャラクターだと気が付きます。そのようなキャラクターを演じるにあたってどう思われましたか。

アビーは確かに最初は悪役と思われるキャラクターです。ですが彼女や他のキャラクターもそうですが、掘り下げていくうちに、本当に悪い人間なのかわからなくなります。結局のところ、人間はヒーローとヴィランというふうにはっきり分けられないということを描いています。アビーを演じるにあたって、人間味を出すことに気をつけました。一見ヴィランに見えるアビーですが、実は深い悲しみと怒りを内に抱えており、そこも視聴者に共感してもらえることを願って演じました。

『THE LAST OF US』シーズン1~2配信情報

・『THE LAST OF US』シーズン1
U-NEXTにて全話配信中
・『THE LAST OF US』シーズン2(全7話)
【字幕版】U-NEXTにて4月14日(月)第1話配信開始 以降毎週月曜週次配信
【日本語吹替版】2025年6月配信予定

【視聴ページ】
『THE LAST OF US』シーズン1
『THE LAST OF US』シーズン2

(取材・翻訳/Erina Austen)

Photo:『THE LAST OF US シーズン2』U-NEXTにて独占配信中 © 2025 WarnerMedia Direct Asia Pacific, LLC. All rights reserved. Max and related elements are property of Home Box Office, Inc.