『ハリポタ』小道具制作ヘッド「一番大変だったのは『死の秘宝』の〇〇」【インタビュー】

映画『 ハリー・ポッター』『ファンタスティック・ビースト』シリーズの小道具制作を手掛けたピエール・ボハナに直撃インタビュー！

ボハナは、『ハリー・ポッター』『ファンタスティック・ビースト』シリーズのみならず、『バービー』や『アクアマン／失われた王国』、さらには2024年公開予定の『デューン 砂の惑星 PART２』など、数々のハリウッド超大作の小道具、模型、衣装などの小道具制作を手掛けている。

今回、インタビューが行われたのは、昨年6月にオープンし大盛況を博しているワーナー ブラザース スタジオツアー東京 - メイキング・オブ・ハリー・ポッター施設内。造形美術の裏側、制作秘話だけでなく、映画制作者のみが入ることのできるセットの中へ案内してくれた。

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昨年6月にとしまえん跡地にオープンしたワーナー ブラザース スタジオツアー東京 - メイキング・オブ・ハリー・ポッター。 このたび、 映画『ハリー・ポッター』『ファンタスティック・ビースト』シリーズの小道具制作を手掛けたピエール・ボハナが来日。普段は入ることができないダンブルドアの校長室を特別に案内...

ピエール・ボハナ特別インタビュー

――ワーナーブラザース・スタジオツアーロンドンは2012年に始まりました。オープンから10年以上経過しましたが、その存在意義についてどう思いますか？　また、スタジオツアー東京はオープンから半年が過ぎましたが、オリジナルと比べていかがでしょうか。

オリジナルのスタジオツアーロンドンでは、コンセプト自体の存在意義を証明できたと思います。『ハリー・ポッター』シリーズ、ひいては映画作りに対する人々の関心の高さを再認識できました。

このほかにも映画の美術館・博物館的なものはありますが、『ハリー・ポッター』の物語と映画作りを融合させていることが良かったのだと思います。

セットの装置の中に入り込める没入感はもちろん、さらにはそれをどう制作したかがわかるという、裏側を知る楽しみを提供できたのが大きいです。東京に関しては、それがオリジナルで証明できていますので、さらに洗練されたものになっていると思います。

――本来はカメラを通して映えるものを制作されているかと思います。本施設に展示するにあたって、撮影で使っていたものとは素材が違うなど、異なる部分もあるのでしょうか。

スタジオツアーは、もともと映画で使ったものを展示するというコンセプトがありました。しかし、私たちの仕事は「撮影期間だけ持てばいい」という考えのもと作られたものも多いのです。

そのため、長期間展示しても問題ないように作り直したものもあります。素材などは小道具によって違うので一概には言えませんが、そのように調整していきました。

――映画『 ハリー・ポッター』シリーズと『ファンタスティック・ビースト』シリーズは、世界観が同じですが、制作の過程で共通している点、また異なる点について教えてください。

まず、『ファンタスティック・ビースト』シリーズは時代物ですよね。20世紀の終わり、1930年代が舞台なので、現代では存在しない場所も多いです。そういう意味では、新たなチャレンジでした。

『ハリー・ポッター』シリーズの難しさは、魔法の世界を作り上げることでした。『ファンタスティック・ビースト』シリーズに関してはすでに世界観ができあがっていたので、さらに拡張していく作業がありました。

――制作の過程で一番大変だったものを挙げるなら？

一番大変なものですか？　いっぱいあります（笑） 手掛けてきたものは何千とあって、思い出すのも大変です。いろいろなことが同時に起きている中で、一つひとつチャレンジを乗り越えていくわけです。

一つ例を挙げるなら、『ハリー・ポッターと死の秘宝パート2』で登場する「レストレンジ家の金庫」です。中には金・銀・銅…さまざまな宝物があります。もちろん本物ではなく、ゴムで作ったものもありました。宝物を25万点くらい作ったので、本当に大変でした。

――実際に映画で使用された小道具の中で、ファンが驚くような裏話があるものがあれば教えてください。

それもいっぱいありますね（笑） 例えばホグワーツにはスポーツ関係のトロフィーがたくさんありますが、それを作るのは楽しかったです。巨大なものや独特なものなど、バリエーション豊富なものを山になるくらい作りました。

中には、庭にある鉢を型に使って作成したトロフィーもあるんです。スタジオツアー東京で展示しているので、探してみてください。

――小道具制作という仕事の魅力について教えてください。

一つひとつ白紙の状態から、どういうものであるべきかを発見していく喜び、そして最後に出来上がった完成品になる。そのプロセスが私は大好きなんです。

――「魔法ワールド」作品をはじめ、最近では『バービー』『アクアマン／失われた王国』と、世界観が確立された作品に携わっていますが、インスピレーションはどこから得るのでしょうか。

映画制作の現場にはものすごく多くのスタッフがいます。彼らの仕事によって、ストーリー、台詞ができ、ビジュアルが見えてきます。初めは全く知らない状態から始まって、情報や知識を増やしていき、世界観が出来上がっていきます。つまり、大勢のスタッフから影響を受けているといえるでしょう。

――ビジュアルはSFやファンタジージャンルでは、特に映像作品の魅力を左右する要素だと思います。それを担う上で、どんなことを意識していますか？

一人のスタッフが間違うことは当然あります。それよりも、スタッフ一人ひとりが作品の世界を理解しておくことが重要です。

映画はビジュアルストーリー、視覚で語る物語です。ビジュアルの良し悪しを判断するのは監督で、私ではありません。クリエイティブな人たちが一緒になって、全員で作り上げていくことが大切なのです。

――自身の仕事は映画にどんな影響を及ぼすと感じていますか？

とにかく、良いものを作ること。いかに映画に貢献できるかが、自分の責任だと思っています。ただ、一生懸命作ってもストーリーテリングの観点から外されることもあります。残念ではありますが、やはりそれは監督の指示ですから。

私の仕事が映画に貢献していると思ってもらえたら、とても名誉なことだと思います。

――そのように本編ではカットされた小道具も、本施設に展示されているのでしょうか？

そうですね。撮影では使用されても編集の段階でそれが映されたシーンがカットされてしまうこともあるんですが、そういったものが本施設で展示していたかもしれません。

――「魔法ワールド」には、日本の魔術学校「マホウトコロ」があるとされています。もし、マホウトコロにある小道具を制作することになったら、どんなデザインになると思いますか？

日本版ホグワーツを作りたいです。日本には歴史があります。神話のように、日本ならではのストーリーがありますよね。そういった繊細な部分からインスパイアを受けて、高いクオリティかつ美しいものが出来上がるんじゃないでしょうか。

たとえば、杖や箒のような、小道具一つとっても非常に日本的なものになると思います。お声がかかったら、すぐにでも作りたいですね。

――ありがとうございました！

『ハリー・ポッター』『ファンタスティック・ビースト』関連情報

日本テレビ・金曜ロードショーでは、“ハリー・ポッター魔法ワールド”作品を4週連続で放送中。4週目となる本日は『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』を21：00より地上波初放送予定。
　
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（海外ドラマNAVI）