文豪ツヴァイク最期の傑作、映画『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』全国公開!

シュテファン・ツヴァイクの傑作小説「チェスの話」を原案とした映画『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』が7月21日(金)より全国公開! この度、本作において重要な鍵をにぎる冒頭映像が解禁となった。

『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』概要

本作の原案は世界的ベストセラーにもなった文豪シュテファン・ツヴァイクの傑作小説「チェスの話」。ナチス占領下のオーストリアを舞台に、ヒトラーの命令でホテルに監禁された男が、1冊のチェス本を武器にナチスとの心理戦に挑む驚愕のサスペンス映画だ。

主人公のヨーゼフを演じるのは、 『帰ってきたヒトラー』でヒトラー役を演じたオリヴァー・マスッチ。近年は、第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクションに選ばれた『異端児ファスビンダー』や、大人気シリーズ『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』に出演するなど、現在ドイツで最も敬愛される名優の一人だ。
監督には、『ゲーテの恋~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~』や、木村拓哉が出演し話題の海外ドラマ『THE SWARM』(Hulu独占配信)で共同監督をつとめたフィリップ・シュテルツェルをむかえる。

謎と緊迫感につつまれた冒頭映像


このたび解禁された冒頭映像は、暗闇の中でチェスの碁盤がぐるぐるとまわる映像からはじまる。「白のビショップをe4へ、黒のナイトはf6に…」チェスの手を次々と暗唱する男性の声が響くが、姿は見えない。豆電球がジリジリと音立てながら、光っては消えてを繰り返し、何かを予兆するかのように突然割れてしまう。ただならない緊迫感のまま場面は切り替わると、画面いっぱいに人の目が映し出され、左右交互に動き続ける。チェスの手を読む声は鳴り止まないが、まるで“一人で対戦”をしているかのような言葉遣い。すると車内に本作の主人公ヨーゼフが現れる。目はうつろで、口は動いていないものの、読み上げているのは彼の声のようだ。車の運転手から、ヨーゼフの物と思われるパスポートを渡され「幸運を」とつげられると、ヨーゼフは車をゆっくりと降りる。するとそこに広がるのは大勢の人が行きかう“アムステルダム港”だった…。謎と緊迫感につつまれた冒頭映像は、この後の本編で徐々に明らかになっていくストーリーを知った後に改めて観ることで、考察を重ねたくなる重要なシーンになっている。

原作者のツヴァイクも実際に、妻ロッテとともに船でニューヨークからブエノスアイレスへと渡っており、本作の原案「チェスの話」で描かれる航路と同じでもある。その後、場所を転々としながら1942年に本作を書いたのだが、完成した直後に自殺を選んだために、これが最期の小説となった。ツヴァイク自身と重なる本作の主人公が、極限状況の中、心身を病みながらも、何とか生き延びようとする姿が本作では描かれており、作品自体はフィクションであるものの、筆者の心情が物語というかたちで投影されているという点では、“真実が描かれている”とも言える。

『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』あらすじ


ロッテルダム港を出発し、アメリカへと向かう豪華客船。ヨーゼフは久しぶりに再会した妻と船に乗り込む。かつてウィーンで公証人を務めていたヨーゼフは、ヒトラー率いるドイツがオーストリアを併合した時にナチスに連行され、彼が管理する貴族の莫大な資産の預金番号を教えろと迫られた。それを拒絶したヨーゼフは、ホテルに監禁されるという過去を抱えていた。一方船内ではチェスの大会が開かれ、世界王者が船の乗客全員と戦っていた。船のオーナーにアドバイスを与え、引き分けまで持ち込んだヨーゼフは、彼から王者との一騎打ちを依頼される。ヨーゼフがチェスに強いのには悲しい理由があった。王者との白熱の試合の行方と共に、衝撃の真実が明かされる──。

スリルに満ちた展開から目を離せない、観る者の心をかき乱すヒューマン・サスペンス――文豪ツヴァイク最期の傑作『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』は7月21 日(金)よりシネマート新宿他全国順次ロードショー。『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』公式サイト

(海外ドラマNAVI)

Photo:『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』© 2021 WALKER+WORM FILM, DOR FILM, STUDIOCANAL FILM, ARD DEGETO, BAYERISCHER RUNDFUNK