吹き替えながらも魅せられる、『ボードウォーク・エンパイア』の魅力とは?
―― 映像にしても、ストーリーにしても、とにかく『ボードウォーク・エンパイア』は見どころが多い作品ですが、印象に残ってるシーンはありますか?
多田野 「あるよ! 忘れられないシーンがいっぱいある。それに好きなキャラクターが多すぎる! 最初はロススタインもカッコイイと思ったし、ストーリーが進むうちにどんどん新しいキャラクターが出てくるんだよね」
てらそま 「顔のないスナイパーもいいよね」
多田野 「彼も良い感じに人生背負ってて、そういうキャラクターの出し方が上手いんだよねぇ。あとエディも好きだな。ナッキーに仕えている執事なんだけど、彼、いいよ~」
てらそま 「彼は面白いよね」
多田野 「だからみなさんにはぜひ脇のキャラクターまで細かく見て欲しいよね。吹き替え的には、ナッキーを背後で操ってる提督を演じる大木(民夫)さんかな。83歳なのにすごい声量なんですよ。ぜひ見て欲しいですよ、彼の83歳の吹き替えを。すごいパワフルなんだから。大勢いる声優陣の中でも一番声量があるんだよ」
てらそま 「そりゃ、そうだよ~」
多田野 「そうだよって、30歳以上年齢差あるんだよ!? 本当にすごいし、これは本当にオススメポイントですよ。あとは何かなぁ。やっぱりお色気シーン?(笑)」
てらそま 「1話目が結構すごかったかな。やりながら、って言葉が悪いか(笑)。しながらね、延々会話してたりして」
多田野 「言い換えても同じじゃん(笑)。でも「TVなのにそんなのいいの?」っていうシーンはお色気に限らず多いよね。日本よりアメリカの方が厳しいって聞いてたけど」
てらそま 「有料ケーブルの作品だから」
多田野 「あぁ、なるほどね」
てらそま 「以前僕はWOWOWさんでやってた『ROME』の吹き替えもやらせてもらったんですけど、あれもかなり過激な作品だったな」
多田野 「このドラマもタブーに挑戦してるって感じだもんね」
―― 近代時代劇と言っても考えてみればもう100年近く前の時代だけに、当時の文化風習に驚くことも多かったんですが、吹き替えしていて「そんなのアリ?」って思うことはありましたか?
てらそま 「今までにも時代物はいろいろ見てきたし、やってきたこともあったから、そういう意味では特別驚きはないんだけど、それがただの要素として登場するだけじゃなく、ちゃんとドラマ全体に張り巡らされているその作品作りの巧みさには本当に驚かされましたよ。そこが吹き替えながら面白いなぁとつくづく感じる部分ではありますね」
多田野 「俺はラッキー・ルチアーノが梅毒か何かの治療をしていたシーン、あれはビックリしたよ、かなり(笑)。だってめちゃくちゃ痛そうだったよ。もう、どうやってるんだろうとか思いますよ」
急にセリフが増えたら要注意!? ナッキーとロススタインの行方
―― ロススタインもそうですが、このドラマには実在の人物が大勢登場しますよね。ナッキーもフィクションではあるけどモデルとなる人物がいますし、実際に演じるために彼らのことを調べたりしたんですか?
多田野 「そりゃぁ、調べましたよ(笑)。って今、プロデューサーが鼻で笑ったけど(笑)、そりゃぁ、もう。ねぇ?」
てらそま 「え? いや、僕はあんまり先入観を持ちたくないと言うかね(笑)。あまりそういうことは...」(苦笑)
―― ということなら...フレッシュな気持ちで吹き替えに挑めるってことですよね?(笑)
多田野 「もちろんですよー(笑)」
てらそま 「僕なんかはロススタインをやってて思うのは、パート、パートで毎回面白いシーンがあって、それだけにちょっと終始したいなって気持ちがあるんですよね。
ドラマの他の脈絡はあまり考えずに、ロススタインのその場、その場の在り方を表現していきたいと思ってます」
多田野 「えぇ~、なにそれ~。もうそんな事言われたら俺だけバカみたいじゃん(笑)。僕もそのシーン、シーンで勝負したいと思ってます!(ニヤリ)」
てらそま 「(笑) いや、ナッキーはほら、全体を引っ張っていかなきゃならないから。そりゃ大変ですよ。歴史も調べなきゃならないし(笑)」
―― リードですからね!
多田野 「いや、リードはしてないですよ。みんなにリードしてもらって、支えてもらってます、ハイ」
―― ナッキーとロススタインは対立するキャラクターですが、二人の対決というのは今後どう展開されていくと思います?
てらそま 「そりゃあ、まぁ、俺は死ぬんじゃないの?(笑)」
多田野 「そりゃそうだ(笑)。そこはやっぱりナッキーの勝ちでしょう。ロススタインはそのうちラッキー・ルチアーノあたりに殺られるんじゃない?(笑)」
てらそま 「殺られそうだよね(笑)。というか殺られないと困っちゃうというか(笑)」
―― まぁ、最終的にはそこに行き着くんでしょうけど(笑)。逆だったらおかしなことになっちゃいますもんね。
てらそま 「当然ね(笑)」
多田野 「でも、ロススタインに限らず、時代の流れ的にみんなダメになるよね、どのみち。あんまり明るい展望のあるキャラクターがいないもん(笑)」
てらそま 「そういえば誰かが言ってましたよ。前回まであんまりセリフがなかったのに、最近急にセリフが増えたんだけど、ご臨終が近いんじゃないかって(笑)」
―― それは注目ポイントかもしれないですね。セリフが増えたら要注意ってことで(笑)
てらそま 「でも真面目な話、ナッキーとロススタインは最初に会って以来、直接会うことのないまま、お互いにけん制し合ってるところがいいんですよ」
―― だからこそ直接対決する時がすごく楽しみですよね。いよいよ直接対決の時が来たらどういう形になるのか、想像するだけでもワクワクしてきますが、どうあって欲しいと思います?
てらそま 「その時が来たら! そうだな~。どうでしょうね~」
多田野 「僕はね、ぶっちゃけシリーズが長く続いて欲しいってのが正直なところなので(笑)、それにはどうすればいいか、ってことだよね?(笑)」
てらそま 「じゃぁ、ちょっと怪我するくらいで(笑)。やっぱりあの二人は腹の探り合いをしてるのが一番面白いもんね(笑)」
■『ボードウォーク・エンパイア 欲望の街』10月9日(日)23:00から、WOWOWにて放送スタート!
【二カ国語】毎週日曜 23:00~ 他
【字幕版】 毎週日曜 9:45~ 他