エイリアン侵略後の世界を舞台に人類とエイリアンの攻防を描いた『フォーリング スカイズ』で、元歴史学者の主人公トム・メイソン（ノア・ワイリー）の声を演じる平田広明さんと、元小児科医アン・グラス（ムーン・ブラッドグッド）の声を担当する本田貴子さん。海外ドラマファンの間ではノア・ワイリーと言えば平田さん、そして芯の強い女性の声を演じさせたらピカイチの本田さんと言われるほど。そのお二人の共演は、吹替えファンならずとも必見！ まさにハマり役のお二人に、ダークな世界観を持つ一方、家族愛や絆といった人間ドラマの見どころも大きい『フォーリング スカイズ』の魅力を直撃しました。
―― 最初にこのドラマを見た時の印象はいかがでしたか？
平田：まずはレディファーストで（笑）
本田：（笑） 最初の印象は、全体的に画面も暗くて、正直憂鬱な気分になりました（笑） 多分私がアンの目線で見てしまったこともあるんでしょうけど、彼女の逃亡生活を思うとそんな気分になってしまって（笑）
平田：レディファーストにしなければ良かった（笑） 僕もまるっきり同じ気持ちでしたね（笑）
―― スピルバーグのSFと言うと、『E.T.』などの感動的で明るめなストーリーをつい連想してしまいますが、このドラマは思いっきり『宇宙戦争』寄りのダークなストーリーですもんね。
平田：そうなんですよね。子供がさらわれるとか、あんまり楽しいテーマじゃないんですよね。僕自身、トム目線で見ていたかは分からないけど、なんだか憂鬱な話が始まったな、って印象でしたね。
―― このドラマでは冒頭からエイリアンとの闘いが繰り広げられるわけですけど、お二人が演じるキャラクターは本来なら戦闘とは無縁の人物です。そういう部分を見て、もし自分の立場だったら...と感じる部分はありますか？
平田：職業軍人の場合は立場として戦いがあればそこに行かなければならないけれど、戦場から離れれば平和な家庭があったり、普通の日常があるわけですよね。でもこのドラマではその平和な日常というものが既に存在しない。だから民間人のトムやアンも立ち上がらなくてはいけない。彼らはその場から逃げることができないんですよね。その辺の切羽詰まった感は分かるし、これが憂鬱な気分になる要因のひとつなのかも。だからすごく緊張感はありますよね。得体の知れないエイリアンが出てくる非現実的なストーリーなのに、奇妙なリアリティがあるんです。
本田：私たちも昨年の震災を経験して感じ方が変わったということもあるのかもしれません。もちろん私が東北の方のような苦しみを味わったわけではないんですが、日常生活がひっくり返るような危機感を身近に感じたばかりだったので、余計に感情移入してしまった部分がある気がします。
―― ある意味、知らずにいられるなら知りたくないリアリティというものがこのドラマにはあると思うんですけど、それを踏まえた上で、このドラマの魅力を語るとしたらどんな点でしょう？
平田：どうしても重い部分は引きずりますけど、トムの目線でいくと、彼には3人の子どもがいて、それぞれの成長や自立には注目してしまいますね。彼らを見ていると、結局男親っていうのは何にもできないんだな、と感じてしまいます。自らたくましくなっていく姿をトムも頼もしく見ていたりね。このドラマではノア・ワイリーが主役のようで実は決してそんなことなくて、周囲とのアンサンブルを通じて彼らがどう人として成長し、生きていくのかが描かれているんですよね。子どもたちがぶつかり合いながらどんな化学反応を起すのか、人と人との絆がしっかりと見られる部分がこのドラマの魅力だと思います。
本田：本当にその通りだと思います。SFだけど人間ドラマの面白さがすごくしっかりしてるんですよね。極限状態の中、エイリアンの侵略によって出てくる人間の嫌な部分もきっちり描いていて、その理由には「助かりたいから」とか「子どもを守りたい」とか、いろいろあるんですが、きちんとその心情が見える点がすごくいいんです。そういう人間ドラマ以外の部分では、やっぱりあのエイリアンの作りこみはすごいですよ。これもドラマの大きな魅力だと思うんですが、物語が進むにつれ、エイリアン自体の詳細も少しずつ明らかになるので、その点も見どころになるのかな。エイリアン同士の関係性もまた気になるところだと思います。
★お二人が「声」を演じる上で思うことは！？ 他の作品にも話が広がるインタビューの続きは【後編】で！≫
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