「シーズン、いくつまで続くの?」と思うと、手を出しにくいのが海外ドラマ。何を隠そう、海外ドラマNAVI編集部の私もかつては3ヵ月で終わる日本のドラマに慣れっこで、概して放送年数が長いイメージの海外ドラマには手を付けにくいこともあった。そんな私が「刑事モノが好きで、これ観てなかったら損」と勧められ、『GRIMM/グリム』にチャレンジしてみることに。ちょうど地上波の日本テレビでシーズン1を放送中とあって、「ちょっと観てみようか」とひとたび視聴してみたら、まんまとハマってしまった!
本作は、童話で知られるグリム兄弟の末裔である主人公が、人間社会に潜むモンスター(ヴェッセンと呼ばれる)が関わる事件の捜査に挑んでいく姿を描く物語。観始めて意外だったのが、一話話完結型の犯罪捜査モノだったこと。「ハマれなかったら速攻やめよう」と思っていたが(失礼!)、主人公の刑事ニックが一話ごとに起こる不可解な事件を解決していく展開でサクサク観られる一方、途中でやめてもいいや!と思える、その気軽さが嬉しかった。
主人公のニックは、普通の人間の姿で社会に溶け込むモンスターを見分けられる能力を持つ、グリム一族の末裔。モンスターの中には、悪事を働く者もいれば、善良な者もいて、どちらも普段は人間の姿をして社会に溶け込んでいる。感情が高ぶると本来の姿を現す彼らをニックは見ることができるため、事件の犯人であるモンスターを捕まえられるのだ。
主人公が特殊能力を持っているというのは、『視覚探偵 日暮旅人』や『SPEC』『ヒガンバナ~警視庁捜査七課~』のようでもあり、日本ドラマでもある設定なので特に入り込むのは難しくなく、主人公が能力を駆使して事件を解決していく姿は爽快そのもの。
ニックの捜査の相棒となる、モンスターの存在を知らない同僚ハンクとのコンビ感もテンポ良し。善良なモンスターで、ニックの"陰の相棒"となっていく狼男のモンローの存在も◎ 笑ってしまうくらい人が良く、ニックのペースに巻き込まれまくりのモンローが登場するたびにほっこり和んでしまった。「なんだか怖そう」とも思っていたのだが、日本の刑事ドラマのようなファミリー感も持ち合わせたドラマで、すぐに親近感が湧いた。
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またエピソードごとにグリム童話などがモチーフの事件が起きるというのも、ワクワク要素たっぷり。「赤ずきん」「ヘンゼルとグレーテル」といった有名な童話を想起させるキャラクターや設定が出現し、「これはあの話だな」と思いを巡らせながら観ると、より興味深い。日本でも、浦島太郎や桃太郎がCMに登場したり、綾野剛がフランケンシュタインの怪物になって恋に落ちたり...。なじみのあるキャラクターやストーリーが「もしもこんなだったら」と想像するのは、なんとも楽しいもの。その上、本作のモンスターたちの造形は『パイレーツ・オブ・カリビアン』などを手掛けたスタッフが担当しているとあって、さすがのクオリティ。リアルさにおののきながらも、モンスターたちの暴れっぷりを堪能できる。
犯罪捜査ドラマ・刑事ドラマ好きとしてやっぱり嬉しいのは、一話完結で毎話一つの事件がしっかり解決されていくこと。そして、捜査の合間にホッと一息つけてクスッと笑えるシーンがあること。捜査する刑事たちの中に個性的なキャラのおじさんなんかいたら、尚更よし! 『GRIMM/グリム』ではその大事なポイントが、全てしっかり押さえられている。ただ本作の場合は、その事件を解決する主人公が特殊能力を持っていて、奇妙な事件の犯人がモンスターで、捜査に協力してくれるのはモンスターの存在を知らない同僚刑事と、普段は人間の容姿で社会に溶け込む善良なモンスターなのだ。捜査の合間に観られる彼らの掛け合いや"モンスター自虐ギャグ"なんかが楽しく、海外ドラマの最大の難関である、登場人物が覚えられないといったことがない。いつの間にか、モンローが大好きになっている。そして登場人物だけでなく、事件も毎回グリム童話などをモチーフにしているので、気が付けば「この童話だから、この人はこんな設定になっているのか!」なんて思いつつ、次のエピソードを観始めている自分がいる。
すっかりハマって「視聴決定」と覚悟。日本では先日、シーズン5のブルーレイ&DVDのリリースが始まったばかりだが、同シーズンではニックの恋人や宿敵のモンスターをめぐって驚きの展開の連続なので、シーズン4までに何があったのか気になって仕方がない! 本国では今年初めにシーズン6でファイナルを迎えたため、「きちんと完結している」「ゴールがある」という点もgood。今年の「芸術の秋」は本作を通してメルヘンと刑事ドラマの世界に浸ってみたい。
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『GRIMM/グリム』
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