キャスト勢揃いでファン熱狂!『ウォーキング・デッド』100回放送記念LAイベント取材レポート

本国アメリカで10月22日(日)、世界が待ち望んだシーズン8がついにスタートした『ウォーキング・デッド』。その最新シーズン第1話は通算100話目の大台に到達するエピソードだったが、その第100回放送を記念した米ロサンゼルスでのプレミアナイトを取材することに成功! このイベントは、全米でのシーズン8初回の放送時間に、ファンが一堂に会した劇場で一緒に観賞するほか、同作の裏話を語る人気のトーク番組『トーキング・デッド』の公開収録にもオーディエンスとして参加するというものだ。

会場はロサンゼルス市内のグリーク・シアター。あの有名な「HOLLYWOOD」の看板が見えるグリフィスパーク内にあり、席数は5900。野外劇場としてはハリウッドボウルと並び、由緒と格式を誇るシアターだ。

事前に主催者から届いた招待メールには、「考えが変わって当日参加しないならすぐに連絡してください。参加希望者が多く、チケットが足りません」とあった。もちろん、考えが変わるはずもない。続いて届いたメールには「コスプレ歓迎」の文字。ということは、ハロウィーン間近の会場はウォーカーであふれかえるのか?

■優雅なメリッサ、声援最多のノーマン

そんなことを考えながら、会場には開始1時間前の午後5時に到着。劇場に向かっていると、真横になんとキャロル役のメリッサ・マクブライドが! ドレスアップした彼女は、埃をかぶった本編での女性戦士とは真逆で、まさにハリウッド女優。思わず近づこうとすると、警備員に「あとでチャンスはあるから」と制止されてしまった。メリッサ本人は終始笑顔を絶やさずに優雅な佇まいで、ますますファンになってしまう。

席に着くと、前方正面と左右に設置された3カ所のスクリーンに特別映像が流れていた。その映像にはアンドリュー・リンカーン(リック役)やダナイ・グリラ(ミショーン役)、先程本物を見たばかりのメリッサが登場し、「100回を迎えることができて、ありがとう」とメッセージを送っている。

周囲を見てみると、意外にもコスプレ姿の人は少ない。それでも雰囲気や外見がワイルドな人が多いように感じたのは気のせいだろうか。ちなみに放送局のAMCは前もって、視聴者に作文や動画を通じてどれだけ『ウォーキング・デッド』を愛しているかを競わせるコンテスト「We are the Walking Dead」を開催し、優勝者はロサンゼルスまでの往復チケットとホテル2泊付きでこのイベントに招待したそうだ。記念すべき100話目の上映が始まる午後6時、5900人収容の会場は熱いファンたちで埋め尽くされた。

すでに日本でもご覧になった方が多いであろう本編についてはここでは述べないが、上映中、メインキャラクターが登場するたび、会場で一斉に歓声があがる。特に盛り上がったのはダリル(ノーマン・リーダス)の登場シーン。意外なことに、ニーガン(ジェフリー・ディーン・モーガン)への声援も負けていなかった。

■ジョージ・A・ロメロへの敬意と哀悼

『ウォーキング・デッド』の放送が終了すると、続いて『トーキング・デッド』の幕が開く。ホストはおなじみクリス・ハードウィック。開口一番、「去年の公開収録では雨が降っていたし、(エピソードの内容を見て)皆泣いていたしで、最悪だったね。でも今年は天気も最高、ここグリーク・シアターも最高」と好調に滑り出した。

2時間の公開収録となった今回は、なんと約30人ものゲストが登場。段階式で数人ずつステージに現れ、最初のグループでは「別名ジーザス」とクリスから紹介されたトム・ペインへの声援が最も高かった。その声援に対して右手を胸に当てて感謝を示す姿や、「ジーザスはマギーにカリスマを感じて、彼女と共に戦うと決めたんだ」という話しぶりからは、トムの誠実さと純粋さが伝わってきた。

ニーガンの片腕、サイモンを演じるスティーヴン・オッグの発言も会場を沸かせた。「後ろにいる人物が実は重要だってこともある」として、ニルヴァーナのドラマーからフー・ファイターズのフロントマンとなったデイヴ・グロールを引き合いに出して、サイモンの重要性を示唆。すると、すかさずクリスも「ジェネシスのフィル・コリンズの例もあるしね」と、デイヴと同じくドラマーから歌手へと転身したフィルを例に出した。

続いて登場した「ゴミ山の女」ことジェイディス役のポリアンナ・マッキントッシュは、役柄と異なる、女神のような出で立ち。スコットランド生まれの彼女はそのアクセントもあってさすが元モデルと思わせる貫禄だが、巨大スクリーンではジェイディスの髪型がジョークのネタにされた。ジェイディスの写真がオカッパ頭のジム・キャリーの写真と比較されると、会場は大爆笑!

原作者・製作総指揮者のロバート・カークマンは「『ウォーキング・デッド』は、どんな凄惨な状況に置かれても、未来を信じて前進していく人間を描くことで、ポジティブなメッセージを発信している」と、改めて作品の根底にある思いを語った。プロデューサーのグレッグ・ニコテロは「100話で終わらない。100万話を目指す」と宣言。今年7月に亡くなったゾンビ映画の巨匠、ジョージ・A・ロメロの『死霊のえじき』に特殊メイクのスタッフとして関わっていたニコテロは、巨匠への哀悼の意を表した。ロメロがいなければ『ウォーキング・デッド』も生まれていなかったかもしれない。そのロメロ、そしてシーズン8の撮影中に起きた事故で帰らぬ人となったスタントのジョン・バーネッカーを悼むメッセージが、シーズン8第1話の最後に掲載されていた。

■ファンとの固い絆を実感

その後、いよいよアンドリュー、ダナイ、ノーマン、メリッサらメインキャストが登場。アンドリューは「リックをやってみてどうだった?」とのクリスの問いに、「本当だったらチーズ職人とか養豚場の農夫をやっているはず。そういえば、僕ってイギリス人俳優なのに『ハリー・ポッター』に出てないんだよね」と、イギリス人ながらアメリカ人保安官を演じることについて、彼らしいユーモアで返した。

ノーマンは、シーズン8第1話で固くハグをしたダリルとキャロルの関係をそのまま物語るように、トーク番組の合間にメリッサとしっかり目線を合わせて笑顔を交わしており、その様子に互いに対する信頼の強さが感じ取れた。

最後に現れたのは大物ジェフリー。劇中で「sh*t」を連発するニーガンにちなんで、「Negan"s Own Shittin" Pants(ニーガン専用紙おむつ)」が『ウォーキング・デッド』のグッズ販売サイトで発売されると紹介されたが、真相やいかに?

ほかにも、チャンドラー・リッグス(カール役)、ジョシュ・マクダーミット(ユージーン役)、ザンダー・バークレイ(グレゴリー役)や、懐かしい顔ぶれであるマイケル・ルーカー(メルル役)、スコット・ウィルソン(ハーシェル役)、エミリー・キニー(ベス役)などが姿を見せたほか、スティーヴン・ユァン(グレン役)とサラ・ウェイン・キャリーズ(ローリ役)がビデオメッセージという形で登場してくれた。

こうして2時間にわたった『トーキング・デッド』は新シーズンのほぼすべてのキャストとプロデューサー、原作者などが登場して大団円を迎えた。壇上に運ばれてきた「100」と描かれた巨大ケーキが切り分けられると、ポリアンナやダナイがステージ下に駆け寄ってきたファンに手渡すという大サービス。「ファンあってのロングラン」ということをよくわかっている彼らのおもてなしを感じた。それにしてもトーク番組の間も、会場からは「アイ・ラブ・ユー、ダリル」「アイ・ラブ・ユー、ミショーン」といった掛け声が絶えることがなく、キャストも客席に向かって「アイ・ラブ・ユー」と返していた。『ウォーキング・デッド』のファンはキャラクターと共に戦う同志のようなものなのだと、両者の固い絆を改めて確認したイベントだった。

Photo:『ウォーキング・デッド』100回放送記念イベント THE WALKING DEAD TM & ©2017 FOX and its related entities. All rights reserved.©2017 AMC Networks Inc.