『SATC』よりもリアル?『NY ガールズ・ダイアリー 大胆不敵な私たち』が描くNY女性の仕事と恋

米Freedomでシーズン2が公開中の『The Bold Type(原題)』(『NY ガールズ・ダイアリー 大胆不敵な私たち』)は、有名女性誌編集員たちのハチャメチャな日々が笑いを誘うコメディシリーズ。業界関係者の華麗なオフィスライフと破天荒な私生活がテンポよく展開する。実在の女性誌をモデルにしているだけあり、同ジャンルの『SEX AND THE CITY』よりもリアリティを感じると評判も上々で、シーズン1終了早々にシーズン3までの更新が決定した話題作だ。

♦実在の編集者をモデルにしたNYライフ
グローバルな女性誌の編集者として働くジェーン(ケイティ・スティーヴンス)とサットン(メーガン・フェイヒー)は、同僚にして大親友。ファッショナブルな姿で出勤し、フラッシュの眩しいプレス向けイベントに足を運ぶという華々しい日々を送っている。時に編集長の目を盗み、撮影用衣装の並ぶワードローブで女子トークに華を咲かせることも。編集部を去り政治サイトに活動の場を移した元同僚のキャット(アイシャ・ディー)との友人関係はいまも色褪せず、友人たちに囲まれたニューヨークで充実した生活を送っている。

そんな3人を導くボスのジャクリーン(メロラ・ハーディン)は、厳しい中にも愛情を持った敏腕編集長。実在するコスモポリタン誌の元チーフ・エディターであるジョアンナ・コールズがモデルになっている。作品名の『The Bold Type』は太字書体を意味するのに加え、大胆で奇抜なタイプという二つの意味を持つ。恋やセックス、そしてファッションを題材に、底抜けに愉快な笑いを振りまきつつ、さりげなく社会問題へのメッセージを織り込んだ構成が秀逸だ。

♦︎現役のメディア担当者も納得
本作のあらゆるシーンで、大都会ニューヨークの華麗なライフスタイルに目を奪われる。豪華で充実した暮らしぶりを疑似体験させてくれる、と米New York Timesは評する。主人公トリオはファッションのカリスマであり、インスタのフォロワー数は天文学的な数字を誇る人気者。

一流誌の編集者の夢のような生活に、リアリティの観点から米USA Todayは切り込む。ドラマで描かれている編集部員たちの固い友情の絆は本当だと実際のメディア担当者が認めている。シーズン1で描かれたようにクビになる危険性を常に感じている点や、時として好きなキャリアを築くために安月給に甘んじなければならない点など、メディア業界の厳しい面も如実に反映している。一方で現実と違うのは、ドラマでは誌面での失敗を編集者個人が負わされている点。実際にはチーム一丸となって対処するケースが多いようだ。厳しい編集長の愛情を表現する演出は、ドラマの世界ならではと言えるだろう。

♦笑いだけではない 実社会への風刺も
ファッション誌を舞台にしたコメディとしてすでに優秀な本作だが、さらに社会問題へのメッセージをさりげなく含ませることで深みを演出する。米New Yorkerは男女問題にスポットライトを当てて解説。政治誌に移籍したサットンは社の法律顧問と社内恋愛の関係になるが、女性のサットンに向けられる視線は辛辣。昇進目的で恋仲を演じているのではと問う無神経な同僚の一言に心を痛める。結果、法律顧問は新ルールを策定し、人事部に正式に届出を出せば社内恋愛でも咎めることはできないという何とも愉快な制度を打ち出す。女性への偏見に切り込みつつ、コメディとしてしっかりオチをつけているのはさすが。

New York Timesは本作の移民問題への言及を指摘。編集長キャットは誌面で特集したイラク出身の女性写真家と交際を始めるが、渡航禁止令が発令され帰国を迫られたことから破局の危機に。ロマンスや華麗さだけでなく、社会問題の風刺も忘れない優れた作品になっている。

ゴージャスな女性誌のチームが時に笑い、時に理不尽さと闘う『The Bold Type』は、米Freeformで公開中。(海外ドラマNAVI)

Photo:『The Bold Type』
(C) Freeform/Justin Coit