米Bravoで11月下旬から放送中の『Dirty John(原題)』は、実際の事件をベースにしたクライム・スリラー。犯罪の真相を追う同名のポッドキャスト番組を映像化したシリーズだ。純真なインテリア・デザイナーが恋した相手は完璧な男に思えたが、徐々にその本性を現し始める。
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◆パーフェクトだったはずの「ハンサムな医師との恋」......
アメリカ有数の高級住宅地、カリフォルニア州ニューポート・ビーチで暮らすデブラはインテリア・デザイナー。仕事では成功を収めているが、恋愛面の運勢はイマイチ。マッチングサービスを通じてデートを重ねるものの、相手に会うたびに失望が募る一方だった。そんな彼女の前に颯爽と現れたのが、ジョンという名のハンサムな男性。医師だという彼は、デブラの美貌を称え、毎朝お手製のスムージーを作ってくれる。まさに理想の恋人そのものだ。彼女の母アーレンもジョンを気に入り、家族の一員として歓迎する。
しかし、ジョンの奇妙な振る舞いが徐々に目につくように。招かれたディナーにポロシャツで顔を出したかと思えば、外出から戻るとデブラの家族を無視してベッドルームへ直行。二人の間に問題があれば真摯に反省の弁を述べるが、その目はどこか虚ろだ。医者を自称しているものの、改めて考えてみれば何の証拠もない。勘の鋭いデブラの姉妹は、身の毛もよだつような彼の本性に気づいてしまい......。
◆実力派キャストが純粋に、邪悪にキャラクターになりきる
技量のあるキャストが揃う本シリーズ。コニー・ブリットンはデブラ役として完璧だ、と称えるのは米Entertainment Weekly誌。自らがデザインするインテリアのように優雅な人生を生きたいと思う彼女が、やがて恐怖と混乱に陥る様子をコニーは絶妙に演じている。彼女は2011年の『アメリカン・ホラー・ストーリー:呪いの館』で主演を務めていたのでドラマファンならご存知の方も多いだろう。
デブラの娘の一人、ヴェロニカを演じるのはジュノー・テンプル。カリフォルニア訛りが特徴的で、行動の怪しいジョンの周囲を嗅ぎ回る。同誌は、その愛想のないキャラクターが底抜けに愉快だと絶賛。ジョンを毛嫌いし、玄関のドアを開けた瞬間に「ホームレスが立っているのかと思った」とこき下ろすなど、歯に衣着せぬ物言いは痛快だ。
ジョン役のエリック・バナは、スマートな男性からゾッとするような人物へのキャラクター像の変化を存分に表現。『ミュンヘン』『トロイ』などで重要な役を演じながらも近年は低迷していたエリックだが、本作での名演がキャリアに結びつかなければ犯罪モノだ、と同誌は今後の活躍を期待する。
優秀なキャストに注目するのは米Decider誌も同様。ジョンというキャラクターは完全にホラーだが、視聴者は不快に感じながらも目を離すことができない存在だと、その不思議な魅力を高く買っている。コニーについても、成功した今でも優しい心を持ち続ける女性を見事に演じきっている、とポジティブな評価。各キャラクターの特徴を引き出す実力派のキャストが揃った作品だ。
ストーリーそのものはよくある恋愛詐欺のパターンだが、サスペンスに溢れている、とDecider誌。何も知らないデブラは日増しにジョンに惚れ込んでゆき、それを利用するかのように彼の嘘が目立つようになる。表面だけ見ればつむじ風のようなロマンスだが、何も気づかないデブラに思わず「ノー!」と叫んで教えたくなってしまう、と同誌。
詐欺師の本性がゆっくりと姿を現す『Dirty John』は、米Bravoで放送中。コニー出演の『アメリカン・ホラー・ストーリー:呪いの館』はNetflixで配信中だ。(海外ドラマNAVI)
Photo:コニー・ブリットン&エリック・バナ
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