ホームレスの両親に育てられた女性の半生を綴り、全米で350万部突破のベストセラーとなった同名小説を原作とした映画『ガラスの城の約束』。『ルーム』でアカデミー賞主演女優賞を受賞し、マーベル初の女性ヒーロー『キャプテン・マーベル』に抜擢されたことでも注目の女優ブリー・ラーソンが主人公ジャネットに扮する。そして本作で、一歩間違えば「毒親」とも呼ばれかねない自由奔放すぎる彼女の両親を演じるのが、海外ドラマでもお馴染みのナオミ・ワッツ(『ジプシー』)とウディ・ハレルソン(『TRUE DETECTIVE/二人の刑事』)だ。6月14日(金)より全国公開となる本作の撮影秘話をナオミとウディが語っている。
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「ニューヨーク・マガジン」で活躍する人気コラムニストのジャネットの父親・レックスは、いつか家族のために「ガラスの城」を建てるという夢を持つエンジニアで、母親・ローズマリーはアーティスト。彼らは定職につかず理想や夢ばかりを追い求め、自由気ままに暮らしていた。物理学や天文学などを教えてくれる父は、幼い頃のジャネットたち兄弟にとってカリスマ的な存在で、聡明なジャネットのことを父は「チビヤギ」と呼び、とりわけ愛情を注いでいた。しかし、仕事が上手くいかないレックスは次第に酒の量が増え、家で暴れるようになっていく。やがて、高校生になったジャネットは大学進学をきっかけに、ニューヨークへと旅立ち、両親との関係を断とうとするが...。
実在の人物を演じるにあたり、ウディは、「レックスの日記が残されていたので、彼がどういった男だったのかを多少なりとも知ることが出来たんだ。レックスはとても興味深い男だった。哲学的で、発明家でもあり、ロマンチストでもあるが、当てにならず、無頓着で、おまけにアル中だし、親としてどうかと思うようなことばかりだよ。でも、レックスという人物のことを知れば知るほど、彼がとても傷つきやすい人で、周囲に認められたいと強く思っていたことが分かったんだ。彼の内面を知ることが出来たのは、演じる上でとても役立ったと思うね」と語り、実在の人物を演じる上でのアプローチ方法を明かした。
原作者のジャネット・ウォールズは撮影現場を訪れた際のことを回想し、「ウディ・ハレルソンが製図台で作業を始めるシーンで、彼を見て息が止まったわ。その仕草といい、姿勢といい、顔の表情といい、父そのものだったの!」と驚きを隠せなかったと話す。
一方、ナオミは演じるローズマリーが存命のため、直接彼女に会うことが出来た。「ローズマリーは創作というものにとても身を捧げていた人なんだと気付いたの。彼女は毎日絵を描かなければならなかったし、絵を描いていない時でも、何を描けるか考えている。描くことは、彼女にとって、普通の人の食べ物や水と同じなのよ」と、ナオミは役柄について語り、「実在の人物を演じる時、特に今も生きている人物の場合は、出来る限りありのままに演じることの責任感が増すわね。その人物との強い絆や共感を見出さなければならないの。だからジャネットとローズマリーとは飽きるほど会話をしたり、たくさんのメールのやり取りをしたわ」と役作りについて振り返った。
ナオミが深く役柄に入り込んで、撮影に挑む姿を間近で見た主演のブリーは、「ナオミはローズマリーと一体化していると思った。歳を取っても、まだ子どものような母親を具現化していたわ。すごく大変な役よね」と称賛。
原作者のジャネットも「最初、映画は自分を笑い者にするだけだと母は怖がっていたの。でも、姉のローリが、"ナオミはとても才能のある美しい女優よ"と伝えたら、俄然乗り気になったのよ。彼女が激しい矛盾を抱えている母のことを理解しようと、いろいろな角度から研究し、努力してくれたことに感謝しているわ」と、ナオミの熱演に感謝の気持ちを伝えた。
売れっ子コラムニストとして活躍していたジャネットが、それまで築き上げた華麗なイメージを捨てて、闘いのような過酷な子ども時代の思い出を赤裸々に綴った自叙伝。過去とともに忘れようとした父の、正しくはないけれど強烈で深い愛が観る者の心を震わせ、一歩前へ進む勇気をくれる感動のヒューマンドラマ。
「私が自分の話をすることで、ひとりでも多くの人が勇気を持って自分の人生を振り返ることができることを望んでいるわ」とジャネットがメッセージを贈る、映画『ガラスの城の約束』は6月14日(金)より、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA他にて全国公開。(海外ドラマNAVI)
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映画『ガラスの城の約束』
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配給:ファントム・フィルム