メグ・ライアンの息子も出演!腐敗したヒーローに立ち向かうアクションコメディ『ザ・ボーイズ』

勇敢に巨悪と闘うスーパーヒーローたち。しかし、力ある者が常に自己を律することができるとは限らない。もし名声に甘え、人の道を踏み外してしまったら...? 米Amazonに登場した『ザ・ボーイズ』は、腐りきった英雄たちに挑む普通の人々を描くアクションコメディだ。

ヒーローに恋人の命を奪われ...

地元の電気店で低い給料に甘んじている冴えない男ヒューイは、勤務の合間に恋人のロビンと街なかを歩いていたところ、悲劇に襲われる。銀行強盗を追跡中だったという最速のヒーロー、Aトレインが、歩道に立っていたロビンに体当たり。衝撃をまともに食らったロビンは木っ端みじんになり、ヒューイとつないでいた手だけを残し、それ以外は血しぶきと肉片になって砕け散った。

この悲劇を受けて、Aトレインが所属するスーパーヒーローたちを集めた大企業ヴォート社は、ヒューイにお金と引き換えに沈黙するようオファー。ヴォート社はその一方で表舞台では街の安全を守る企業だとPRし続け、映画業界や政界と結びついて多額の利益を上げている。ヒューイは怒りに燃えつつも、相手が大企業だけに訴訟にも踏み切れず、恋人を失って燻ることしかできない。

そんな彼の元を、FBI捜査官を名乗る男ビリーが訪れる。ビリーによると事件当日に銀行強盗など発生しておらず、ヴォート社とAトレインの発表には何らかの裏があるという。オファーを受けるふりをしてワナを仕掛けようとビリーから持ちかけられたことをきっかけに、ヒューイはビリー率いる反ヒーロー組織「ザ・ボーイズ」への加入することに。

毛色の変わったヒーローシリーズ

正義感にあふれたヒーローたちが活躍する多くのアクション作品とは違い、本作では欲にまみれたヴォートという一大企業が支配している。同社は数十人のスーパーヒーローと契約を交わし、関連商品の売り上げやテーマパークの建設で巨万の富を築いてきた。この世界のヒーローたちが気にするのは、救った命の数ではなくタイアップ商品の売り上げと映画の客足だ、と米Colliderは独特の世界観を紹介。

暴力や性的な描写にためらいがないのも本作の特徴だ。通常のヒーローものよりもエッジの効いた作品を目指している、と評価するのは米Indie Wire。恋人のロビンが命を奪われるシーンでは、スプラッター映画さながらのグロテスクな映像が。また、ヒーローたちが集う秘密の酒場では、目を覆わんばかりの痴態が繰り広げられる。誰もが憧れるヒーローたちの、ちょっと知りたくなかった一面をのぞき見ることができる異色作だ。

腐敗への反感はチーム内にも

ヴォート社のヒーローチーム「セブン」に反感を抱く人物は、当のチーム内にも存在する。新人ヒーローとして採用されたスターライトことアビーだ。彼女は、念願のチーム入りを果たして喜んだのも束の間、失望の嵐に見舞われる。女子トイレには透明人間のヒーローが侵入しており、憧れていたチームの一人からはセクハラのターゲットにされてしまう。変態と殺人者たちの腐敗しきったチームだ、とCollider。失望した彼女がどういう一手を繰り出すのか、その動きにも目が離せない。

風変わりなキャラが揃う本作だが、キャストたちの安定した演技のおかげで、一度観ればその世界に没頭してしまうことだろう。一匹狼を貫くビリー役のカール・アーバンは、貫禄の演技を披露。ラフなはみ出し者の役柄を楽しんでいることは明らか、とIndie Wireは述べている。主人公ヒューイを演じるジャック・クエイドは比較的新人だが、有名俳優である両親、メグ・ライアンとデニス・クエイドとの間に生まれただけあって、ベテランの出演陣に埋もれない存在感を放っている。

能力者たちの悪事を暴く『ザ・ボーイズ』は、Amazon Prime Videoで配信中。(海外ドラマNAVI)

Photo:ジャック・クエイド
(C)lev radin / Shutterstock.com