新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受けて、アカデミー賞やエミー賞といった主要授賞式やイベントが延期もしくはオンラインで開催されることが明らかとなった。米Varietyをはじめ複数のメディアが報じている。
ハリウッドでは3月中旬から外出規制やロックダウンにより映画やドラマの製作が中断されており、先日ようやくカリフォニア州では撮影開始の許可が州知事から下りたところだ。そうした状況を考慮し、今月15日(月)に米映画芸術科学アカデミーは、来年2月に開催予定だった第93回アカデミー賞授賞式を8週間延期し、2021年4月25日(日)に開催すると発表した。
「映画は100年以上にわたって、暗い時代も私たちを慰め、鼓舞し、楽しませる重要な存在であり続けてきました。今年もそれは変わりません。作品の対象期間や授賞式の日付を延ばすことで、フィルムメーカーたちには不都合のない形で作品を仕上げ、公開してもらえればと思います」と、同アカデミーは声明で述べている。なお、各ノミネートは3月15日(月)に発表予定だ。
そのアカデミー賞の発表とほぼ時を同じくして、他の授賞式も次々と延期や開催形式の変更を明かしている。エミー賞技術部門の受賞者を発表するクリエイティブ・アーツ・エミー賞は、今年は9月12日(土)から13日(日)にかけてこれまで同様に会場で行われる予定だったが、9月のどこかのタイミングで配信されることになった。さらに、同月20日(日)に開催予定だったエミー賞のアフターパーティはキャンセルとなり、代わりにTV芸術科学アカデミーが100万ドル(約1億800万円)を新型コロナウイルスの救済基金に寄付するという。
なお、同じ20日(日)に予定される第72回プライムタイム・エミー賞授賞式については後日発表があるとのことだが、ひとまずホスト役はジミー・キンメルに決定した。2017年、2018年のアカデミー賞で同職を務めたこともある人気司会者は、エミー賞でも2012年、2016年にホストを経験しており、今回が3度目となる。「どこでどうやって、なぜやるのかも僕自身分からないが、授賞式は行われるよ。そして僕がホスト役だ」とキンメルは述べている。こちらもオンラインになるとの噂も出ており、アカデミー賞授賞式ともども放映権を持つ米ABCとどういう話し合いが行われるのか注目だ。
そして、アメリカのアカデミー賞だけでなく、英国の同賞も延期されることに。英国アカデミー賞(BAFTA賞)授賞式は、2021年2月14日(日)から8週間後となる4月11日(日)へとスケジュールが変更された。
一方、世界三大映画祭のカンヌ映画祭、ベルリン映画祭は、アカデミー賞の延期を気にせず、予定通り開催するという。カンヌ映画祭は今年は単独開催を断念し、一部のみオンライン開催したり公式選出作品を他映画祭で上映するなどして対処していた。しかし次の第74回は「従来通り、(2021年)5月に開催する。もしアカデミー賞が5月に延期したくなったら、カンヌに来ればいい」と、責任者はジョークを交えつつ述べている。ベルリン映画祭の開催予定は、アカデミー賞よりも早い2月20日(土)から3月1日(月)にかけてだが、「予定通り開催できる自信がある」と大会運営側はコメント。なお、三大映画祭の残り一つ、ヴェネチア映画祭は今年9月2日(水)からの開催予定だが、そちらの日程あるいは開催形式変更の話はまだ聞こえていない。
続々とオンライン開催や延期が発表され、対象者のための特別ルールが設定される中、これからの賞レースがどうなるのか、引き続き注視していきたい。(海外ドラマNAVI)
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今年2月9日に開催された第92回アカデミー賞授賞式で主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックス
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