突然宇宙からやってきた毛むくじゃらの宇宙人を家族の一員として迎え入れたタナー家を舞台に、笑いと涙の異文化コミュニケーションをテーマにしたシットコム『アルフ』。日本でもNHKで放送されファンも多い本作だが、以前ワーナー・ブラサースによってリブート版製作が進められていたがその後お蔵入りになっていた。その幻の設定について米Cheatsheetが明らかにしている。
『アルフ』オリジナル版は、1986年から4シーズンにわたり米NBCで放送。クリエイターの一人であるポール・フスコが自らアルフの声を務めていたが、日本では所ジョージが吹き替え版を担当していたことで知られる。また、TVシリーズ終了から6年後にはテレビ映画『アルフ ファイナル・スペシャル』も制作されていた。
本作は、4シーズンで打ち切りとなったので、第5シーズンの展開を正確に知ることはできないが、その展開は間違いなくこれまでで最も荒唐無稽なものだったそう。NBCは、当時の人形を多用した子ども向けエンターテイメントと、より大人向けのテーマとの間のギャップを埋めるために、人間の家族の生活に不時着した毛皮のような茶色のエイリアンに視聴者が夢中になるようなシットコムを作ったのである。しかし、ファン、特に子どもたちにとっては『アフル』は異なるタイプのエンターテインメントへの入り口だった。家族向けではあったが、当時放送されていたエッジの効いたシットコムの要素が取り入れられていたからだ。そしてシーズン4の最後の誘拐事件というクリフハンガーのまま、シリーズは終了した。
当時、アイデアが突き始めていた製作側。なぜなら主役のアルフは世間からは隠れている存在で、4人のレギュラー以外の世界の誰とも交流できなかったからだ。そこで人形師であり本作クリエイターでもあるファスコはリブート版の設定を以下のように考えていたという。
「もしもシーズン5をやるとしたら、アルフが軍事基地にいるというアイデアになるだろう。彼はそこである種の収容所に収監されている。家族は彼に面会できるけどね。でもそういう設定にすれば、彼の世界はもっと広がるだろう。彼は実質、(『スティーブ・マーティンのSGT.ビルコ/史上最狂のギャンブル大作戦』の)ビルコ曹長のようになっていただろう。密造品を売ったり、ギャンブルをしたりね」
シーズン4のクリフハンガーは数年間未解決のままだったが、米ABCが権利を獲得したことで、ファスコは最初のアイデアをテレビ用映画で具体化することになった。この映画は、軍事基地を舞台にした新シリーズの裏パイロット版になるはずだったが、リブートの製作決定が決まるほどの視聴率は得られなかった。ファスコは、米TVランドのトークショーで一時的にこのキャラクターを復活させたが、これもまた世間に影響を与えるほど長くは続かなかった。だが、2016年のMental Floss誌のインタビューによるとファスコは『アルフ』を復活させたいと考えているようだ。
リブートの実現の是非に関わらず、『アルフ』は実際テレビ史上最も変わったシットコムの一つであることに変わりはない。『ザ・マペッツ』や他のシリーズは『アルフ』からインスパイアを受けていることはあることは間違いなく、社会的なインパクトを与えたのは明らかだ。その後も『恐竜家族』のようなコンセプトの高いシットコムが続々と登場したのだから。
『アルフのクリスマスプレゼント』は本日12月24日(金)23:35よりNHK総合1にて放送。(海外ドラマNAVI)
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『アルフ』(C)Warner Bros. Entertainment, Inc.