イギリスの国民的SFドラマ『ドクター・フー』で12代目ドクターを演じたピーター・カパルディが、2017年の同作からの降板について率直に語った。当時提案されていた番組の方向性に進むべきか確信が持てず、苦悩していたことを認めている。
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信頼するスタッフの離脱と「ドラマの方向性」への懸念
YouTube番組「100 Questions with Tom Simons」のインタビューに応じたピーターは、なぜドクター役を辞める決断をしたのかという問いに対し、次のように胸中を明かした。
「ただ、その方向性に進むことが自分にとって正しいのか確信が持てなかったんだ。自分が一緒に働いてきた人たちが全員去っていってしまうタイミングだった。ジェナ・コールマンもすでに去り、スティーヴン・モファットも去ろうとしていた。プロデューサーのブライアン・ミンチンも辞めるところで、彼らこそが自分にとってこの仕事をうまく機能させてくれる人たちだったんだ」
長年作品を支えた仲間たちの離脱に加え、ピーターは今後の方向性について話し合いを重ねる中で「これが自分の進みたい方向なのか確信が持てず、これ以上何か新しいものを生み出せるか分からない」と感じたという。
「再生が多すぎる」象徴的な演出への率直な苦言
ピーターは自身の「再生(リジェネレーション)」シーンの撮影をとても悲しいものだったと振り返る一方で、現在の『ドクター・フー』に対してある懸念を抱いている。それは、あまりにも多くの再生が行われてきたために、そのアイデアが持つ本来の重みが薄れているという点だ。
「完全に率直に言うと、再生が多すぎると思う。私はすべてのドクターを愛しているが、今やもう何人いるのか数え切れなくなってしまった。そのため、こうした再生の持つ重みが薄れてしまっているのだ。私が子どもの頃、初めてそれが起きたときには一体何が起きたんだ?!と驚いたものだった。神秘的で奇妙な出来事であり、再生こそがこの番組の神秘性を維持しているものなのに」
再生はドラマの根幹をなす重要な要素であり、主人公が死の淵から生まれ変わる姿は、潜在意識的な方法で人々を惹きつけてきたとピーターは主張する。「そんなことは他のどの番組でも起きない。本当に死の淵まで追い詰められるからこそ、極めて強力なモチーフになる」と語り、ファミリー向けでありながら病みつきになるような不吉さや陰惨さを内包するその二面性を、これこそが番組の魔法だと評した。
巨大化する「ブランド」への違和感と責任の重圧
ピーターが『ドクター・フー』での経験について語ったのは、ここ数ヶ月でこれが初めてではない。以前、メディア「Half the Picture」のインタビューでも、番組のスケールが肥大化していることに違和感を覚えていたと明かしている。
「(番組は)毛色の違うものになってしまった。あの役を演じる責任がより重く、多くなったのだと思う。ただ演じること以上に、やらなければならないことが増えた。ジョン・パートウィーやトム・ベイカーの時代なら、年の大半を制作に費やし、残りの少しの期間をプロモーションに充てていたはずだ」
ピーターが愛していた頃の『ドクター・フー』は、一部の子どもたちが熱狂し、他の子どもたちはサッカーを観るために通り過ぎていくような「ただの番組」だった。しかし今や、BBCにとって維持しなければならない極めて重要な商業的ブランドへと変貌を遂げている。
ピーターは最後に「文化的な意味というよりは、むしろ経済的な意味において重要になってしまったのだと思う」と締めくくり、作品の巨大化に伴うスタンスの変化に寂しさをにじませた。
そんなピーターが主演・製作総指揮を務める最新ドラマ『クリミナル・レコード』シーズン1~2はApple TVで独占配信中。

(海外ドラマNAVI)





