14年にわたり続いた英国ミステリードラマ『ヴェラ~信念の女警部~』の原作小説が日本で初めて刊行されたことは、当サイトでお伝えした通り。そんな同書は、ドラマファン必読の内容となっている。
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『ヴェラ~信念の女警部~』原作小説が待望の初邦訳!
14年にわたり続いた人気の英国ミステリードラマ『ヴェラ~信念 …
アン・クリーヴスの人気シリーズが日本上陸
英国推理作家協会賞最優秀長編賞を受賞するなど、現在の英国推理小説界を牽引する存在のアン・クリーヴス。その小説はほかにもドラマ化されている(『シェトランド』『刑事マシュー・ヴェン 哀惜のうなり』)が、いずれの原作小説も筆者はまだ読んだことがなかった。そのため、仕事中毒で部下に対して厳しい一面を持つ刑事ヴェラのシリーズとして、日本で今回初めて刊行された「水面の弔花」(創元推理文庫)が、最初に読んだクリーヴスの小説となった。

絞殺された後、湯を張った浴槽に沈められた少年の死体が見つかる。その水面には、野の花々が浮かんでいた。少年は数ヵ月前、友人が溺れ死ぬ現場に居合わせていた。数日後、ほぼ同じ手口で殺された若い女性の死体が発見され…。
『ヴェラ~信念の女警部~』の記念すべきシリーズ初回にあたるこの原作小説。文字で伝える小説と、俳優の表現力や映像、音声などが加わる映像作品が多少異なるのは当然だが、ドラマのファンであればぜひ読んでほしい。
というのも、小説にはヴェラの視点で綴られた箇所があり、彼女がドラマだと行動や表情で少々ほのめかしても決して口にはしないような考えや過去が記されているからだ。ドラマの主演ブレンダ・ブレシンは彼女ならではの素晴らしいヴェラを創り上げたが、小説を通してヴェラの新たな一面を知ることができる。
小説では、彼女の外見や言動、存在感やほかの人との関係性が、ヴェラ自身もしくはほかの人の視点から語られる。そして、実は事件の最後にあっと驚かせたい、ヒーローになって感謝されたいといった思いや、少しずつ事件の真相に迫っていく脳内を垣間見られるのだ。ドラマのヴェラは寡黙なこともあってストイックな印象だったが、小説の彼女はより人間味があり、可愛らしかったり情けないところも披露している。とはいえ、クリーヴスがかつて語ったように、ドラマになってもキャラクターは「原作に忠実なまま」なので、根本的な違いを感じることはないはずだ。
事件そのものも、小説の方がスケールは大きく、中身もさらに入り組んでいる。ドラマも尺のある中で綺麗にまとまっており、うまく脚色された箇所もいくつかあるのだが、最後は駆け足気味だったので、謎解き部分をちゃんと知りたい人はこちらを読んでみてほしい。
初のクリーヴス作品は、アガサ・クリスティーのように女性らしい鋭い視点や細かい心理描写がいくつもありつつ、事件の構成はコリン・デクスターを彷彿とさせる緻密さだった。今後もヴェラのシリーズが日本で刊行されるなら、また手に取りたいものだ。
ヴェラをはじめとする登場人物と事件についてより深く知ることができる「水面の弔花」(創元推理文庫)は発売中。
■ドラマ放送情報
『ヴェラ~信念の女警部~(シーズン1~14)』
6月29日(月)スタート 連日11:00よりミステリーチャンネルにて放送
https://www.mystery.co.jp/programs/vera/
■書籍情報
東京創元社 公式HP
https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488245139
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