Netflixの新作ドラマ『レジェンズ ~麻薬潜入捜査班~』は、実話に基づく緊迫のリミテッドシリーズ。米Varietyが本作をレビューしているので紹介しよう。
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偽の人格「レジェンド」をまとう、はみ出し者たちの危険な任務
本作は1980年代後半のイギリスを舞台に、素人同然の捜査官たちが偽の身分「レジェンド」を使って麻薬組織へ潜入していくクライムドラマ。
「レジェンド」とは、潜入捜査官が犯罪組織に入り込むために作り上げる偽の人格のこと。英国税関職員ドン(スティーヴ・クーガン『サンドマン』)は、新人たちに「レジェンドは自分自身の一部でなければ機能しない。うまくいかなければ命はない」と教える。そんな危険な任務に選ばれたのは、空港警備員や事務職員など、これまで刺激のない日常を送ってきた“はみ出し者”たちだった。
実話に基づくリアルな心理戦と、個性豊かな4人の捜査官
本作は、『The Gold(原題)』のニール・フォーサイスが企画・脚本を担当。1980年代に実際に行われた英国税関の麻薬摘発作戦に着想を得ており、限られた予算と人員で巨大ヘロイン組織の摘発に挑んだ捜査官たちを描いている。
物語の冒頭では、大量の応募者の中からドンがわずか4人を選抜。労働者階級出身で現状に不満を抱えるガイ(トム・バーク『私立探偵ストライク』)、文書分析に長けた事務職員エリン(ジャスミン・ブラックボロウ『ジェントルメン』)、薬物問題で荒廃した故郷を変えたいケイト(ヘイリー・スクワイアーズ『ナイト・マネジャー』)、そして移民の子として差別を受けながらも優秀な能力を持つベイリー(アムル・アミーン『成りあがり者』)だ。
彼らはリヴァプールとロンドンに分かれ、それぞれ麻薬組織への潜入を開始する。特に中心人物となるのがガイだ。彼は離婚で人生を狂わせた元実業家という「レジェンド」を与えられ、ロンドンのトルコ系犯罪組織へ接近していく。しかしドンの教え通り、ガイは別人を演じるわけではない。「レジェンド」はあくまで本人の延長線上にある人格なのだ。

派手なアクションを排し、「別人として生きる恐怖」に迫る
『レジェンズ』の面白さは、スパイドラマでありながら派手なガジェットや銃撃戦ではなく、「普通の人間が別人として生きる怖さ」に重点を置いている点だろう。潜入中の彼らは、不動産業者や観光客、怪しい弁護士など様々な役割を演じるが、そこで試されるのは演技力ではなく、自分自身をどこまで嘘に溶け込ませられるかだ。
一方で、本作は重苦しいだけの作品ではない。スティーヴ・クーガンらしいブラックユーモアも随所に散りばめられており、潜入任務から戻った捜査官たちが狭いオフィスで皮肉を言い合う場面には独特の軽妙さがある。その空気感が、いつ命を落としてもおかしくない危険な任務とのコントラストを際立たせている。
また、本作は単なる犯罪ドラマにとどまらず、サッチャー政権下のイギリス社会も色濃く映し出している。産業衰退によって荒廃したリヴァプールや移民コミュニティへの偏見、そして成果ばかりを求める政治家たち。そうした社会背景が、若者たちを犯罪へ向かわせる現実として描かれているのも印象的だ。
「自分ではない誰か」を演じるスリルと、そこに飲み込まれていく危うさ…。『レジェンズ』は潜入捜査というテーマを通して、「人間はどこまで別人になれるのか」を描いた緊張感あふれるクライムシリーズに仕上がっている。
『レジェンズ ~麻薬潜入捜査班~』はNetflixで独占配信中。(海外ドラマNAVI)
参考元:Variety




