敏腕クリエイター、ライアン・マーフィーが製作するアンソロジードラマ『アメリカン・クライム・ストーリー』。シーズンごとに様々な物語が描かれる本作で、ドラマ化してほしい実際に起きた事件を米Screenrantが選出した。
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まだ決まらないシーズン4の内容
日本で配信中のシーズン1と2でそれぞれ「O・J・シンプソン事件」と「ヴェルサーチ暗殺」を取り上げている『アメリカン・クライム・ストーリー』。本国アメリカではシーズン4まで更新され、そこでは税金詐欺で有罪判決を受けたスタジオ54のクリエイター、スティーブ・ルーベルとイアン・シュレイジに焦点を当てる予定だった。だが昨年1月、米FXの会長は米Varietyに、新シーズンはまだ制作中だが、スタジオ54の物語には焦点を当てないことを認めていた。シーズン4が題材を失った今こそ、他にもある事件に焦点を当ててみよう。
オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件
全米を震撼させた極めて重要で恐ろしい事件。1995年4月19日、元陸軍兵士ティモシー・マクベイとテリー・ニコルズという二人の過激派が、トラック爆弾を使ってオクラホマシティのアルフレッド・P・マラー連邦ビルを爆破した。FBIによると、この爆発で19人の子どもを含む168人が死亡、800人以上が負傷した。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件が発生するまでは、米国内で最悪の数の犠牲者が出た悲劇的な事件。
ジョネス・マシューズ殺人事件
1984年12月20日にコロラド州グリーリーで12歳のジョネル・マシューズが失踪。クリスマスコンサートから帰宅後、行方不明になっていた少女の遺体が発見されたのは2019年7月のことだった。にもかかわらず、スティーブン・パンキーという隣人（現在ではジョネルの誘拐犯兼殺人犯として知られている）は、捜査に協力、何が起こったかを知っていると主張し続けた。だがパンキーがアイダホ州知事選に出馬して注目を集めると同時に、この事件も日の目を見ることに。
この状況を取り巻く状況が異常であるため、『アメリカン・クライム・ストーリー』シーズン4にはうってつけの題材だろう。さらに、全国的にはあまり知られていない事件を取り上げるチャンスにもなるだろう。
タスキギー梅毒実験
もし『アメリカン・クライム・ストーリー』シーズン4が大事件を取り上げたいのであれば、「タスキギー梅毒研究」として知られる「タスキギー梅毒実験」を取り上げるのがいいかもしれない。1932年から1979年にかけて実施されたこの臨床研究では、米国公衆衛生局と疾病管理予防センターが、無料の医療を約束して600人の黒人男性を募集したが、梅毒にかかった399人にはプラシーボが投与されただけだった。研究者たちは、医師たちに男性たちを治療しないよう強要した。そして最終的に、128人の参加者が梅毒または梅毒に関連した原因で死亡。このスキャンダラスな実験は、ピーター・バクストンという公衆衛生局の性感染症調査官が記者にリークしたことで公になり、その結果、大規模な議会公聴会が開かれた。
ウエスト・メンフィス３
シーズン1では、O・J・シンプソンが無罪となったという、ある種の司法の誤謬に焦点を当てたが、シーズン4は、ウエスト・メンフィス3人組の不当判決という、別の種類の司法の誤謬に焦点を当てるのはどうだろう。
ダミアン・エコルズ、ジェイソン・ボールドウィン、ジェシー・ミスケリー・Jrの3人は8歳の少年3人を殺害した容疑で逮捕され、有罪判決を受けた。しかし証拠はなく、自白の強要もあったという。2007年、DNA鑑定の結果、三人は有罪判決を免れた。そして2011年、アルフォード嘆願にもとづき釈放された。映像化した際には、彼らの釈放までの正義の戦いを追うことができるだろう。影響力のある米国の犯罪ストーリーを伝えるだけでなく、彼らの冤罪を晴らす闘いを後押しすることにもなるのではないか。
ケイシー・アンソニー裁判
ケイシー・アンソニーが2歳の娘ケイリー殺害容疑で無罪となったことは、O・J・シンプソン事件のような大誤審と広く考えられている。そのため、『アメリカン・クライム・ストーリー』シーズン4の題材として最適な選択肢となりうる。
2008年、3歳になる直前で失踪、後に自宅そばで白骨化した遺体となって発見されたケイリーちゃん。結局、陪審員による母親の「無罪評決」という結果の衝撃は広がった。母親は最終的には罪を免れたが、娘の行方不明届けを出さずに30日間を過ごし、娘の居場所について何度も嘘をついた。若い母だったケイシーはベビーシッターの話をでっち上げ、ユニバーサル・スタジオで仕事をしているふりをした。裁判も紆余曲折に満ちていたため、番組が掘り下げるべきことはたくさんあるだろう。
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Photo:『アメリカン・クライム・ストーリー/ヴェルサーチ暗殺』© 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation and FX Productions, LLC. All rights reserved.
