七王国が玉座をめぐって陰謀と裏切り、愛と闘いの物語を繰り広げる米HBOの大河ファンタジードラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』。本作は終了後にも数々のスピンオフ計画があったが、放送までに至らなかったプロジェクトもある。
そんなお蔵入りになった作品を担当していた脚本家が、実現できなかった理由を語った。米Deadlineが報じている。
原作から離れすぎている
ブライアン・ヘルゲランドは、ジョージ・R・R・マーティンがゴーサインを出したものの、HBOが採用しなかった『ゲーム・オブ・スローンズ』のスピンオフ作品に携わっていたライターの一人だ。最近のインタビューでヘルゲランドは、仮タイトル『10000 Ships(原題)』は、彼の脚本が素晴らしい出来だったにもかかわらず、実現しなかった理由を語っている。
「この作品時代設定は、原作から離れすぎていると感じたのだと思う。だからまだゴーサインが出ていないのですが、決して完全にボツになったわけではありません」米Inverseのインタビューでそう語ったヘルゲランド。映画『L.A.コンフィデンシャル』や『ロビン・フッド』を手がけた彼は、この脚本が「女王ナイメリアと、ウェスタロスの百科事典に載っていた彼女についての小さな紹介文がベースになっている」と言う。
「基本的には(聖書の)モーゼの物語のようなものなんだが、彼をナイメリアに置き換えたのです。彼女の国は破滅し、国民は水上生活を余儀なくされる。だから、タイトルが“一万の船”というものなのです。イスラエルの民がエジプトを去るように、彼らは結局、去って新しい家を見つけなければならない。彼女は人々を率いて、皆をまとめようとしているが、地中海のような海を旅しながら、落ち着くべき新しい住処を探しているので、常に色々なことが一触即発の状態なのです」
ヘルゲランドは、マーティンと会い、「アイデアを売り込み、彼はそれにゴーサインを出した」と語ったが、プロジェクトの制作中は「彼とはあまり一緒に仕事をしなかった」という。
「レイ・ハリーハウゼンの『シンドバッド』シリーズと『オデッセイ』をミックスしたような作品でした。ある意味、ナイメリアはオデッセウスだが、12人の乗組員ではなく、この浮遊都市国家のすべての市民の将来の責任を負っているという状況なんです」
HBOはこのシリーズ化を許可しなかったが、ヘルゲランドは希望を失っていない。「HBOが取り上げたいと思えば、まだこの作品は生きています」
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Photo:『ゲーム・オブ・スローンズ』©Helen Sloan/HBO