『007』やマーベル&DCのスターら100人超の英国俳優が環境保護のため立ち上がる

アメリカでは待遇の改善を求めた全米脚本家組合(WGA)と全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)によるストライキが進行中だが、英国俳優たちもある目的のために立ち上がったようだ。米Varietyなど複数のメディアが報じている。

今そこにある危機に対応するため

この度“グリーン・ライダー(Green Rider)”と呼ばれるアイデアに賛同したのは、100人を超える英国俳優たち。その中には『キャプテン・アメリカ』シリーズや『エージェント・カーター』でペギー・カーターを演じるヘイリー・アトウェル、『SUPERGIRL/スーパーガール』のハンク・ヘンショウ/ジョン・ジョーンズ役で知られるデヴィッド・ヘアウッド、『007』シリーズでQを演じるベン・ウィショーらの名前もある。

“グリーン・ライダー”とは、舞台芸術とエンターテインメントの労働組合であるEquityが提唱する、アーティストに力を与えるための契約項目。テレビ・映画産業における持続可能性(サステナビリティ)を向上させるためのもので、例えば俳優が仕事を引き受ける前に、撮影現場のSDGsの基準についてこれまでより明確に交渉できるようになるという。

同組合はある調査結果を引用し、大作映画の制作ではおよそ2840トンの二酸化炭素が排出されるほか、有名俳優が使用するプライベートジェットや大型トレイラーなども環境破壊の一端を担ってきたと指摘。Equityは“グリーン・ライダー”を今後どのように活用していくかについて、国内の大手テレビ局であるBBCやITV、Skyとの話し合いをすでに始めている。

賛同者の一人であるオスカー俳優のマーク・ライランス(『ブリッジ・オブ・スパイ』)は、“グリーン・ライダー”について「映画やテレビに関わるすべてのアーティストが、よりエコロジカルな実践を求めるためのテンプレート」と呼び、「万事ができないからといって、何もできないわけではない。職場を綺麗にしよう」と述べた。

また『ミルドレッドの魔女学校』の主人公ミルドレッド・ハブル役や『THE LAST OF US』のエリー・ウィリアムズ役で知られるベラ・ラムジーは、「Equityの“グリーン・ライダー”は、サステナビリティに関して映画・テレビ業界に前向きな変化をもたらす有効な手段です。私たちは気候変動に関する映画を作ることができますが、その映画を作る過程でそもそも環境問題を意識しなければ、私たちの努力は表面的なものになってしまいます。マスメディアはこれまでも変化を支持してきました。ですから、この“グリーン・ライダー”の導入と、それが喚起する話し合いに興奮しています」と話している。

『ラザロ・プロジェクト 時を戻せ、世界を救え!』の主役に抜擢されるなど今注目の俳優であるパーパ・エッシードゥは、以下のように語った。「この夏は、気候変動による災害が未来の問題ではなく、現在すでに起きている問題だということが浮き彫りになりました。映画業界で受け入れられている通常の慣行は無駄が多く、私たちが地球に与えているダメージに対する意識が欠如しています。しかし、このような慣習は変えることができます。だからこそ、私はこの“グリーン・ライダー”にワクワクしているのです。これは、私たちが直面している差し迫った現実と闘うための、そして業界内で私たちの役割を果たすための明確で実践的なガイドラインであり、よりクリーンで持続可能な未来への道筋を示すものなのです」

今回の動きに賛同している100人超の英国俳優の中には、前述した面々のほか、ビル・ナイ(『ラブ・アクチュアリー』)、スティーヴン・フライ(『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』)、ミランダ・リチャードソン(『ハリー・ポッター』シリーズ)、ジョージ・マッケイ(『1917 命をかけた伝令』)、ジェマ・アータートン(『ヘンゼル&グレーテル』)、ジェローム・フリン&ナタリー・ドーマー(『ゲーム・オブ・スローンズ』)、ハリエット・ウォルター(『ダウントン・アビー』)、トム・バーク(『私立探偵ストライク』)、ジョナサン・ベイリー(『ブリジャートン家』)、エイドリアン・ダンバー(『ライン・オブ・デューティ』)、マキシン・ピーク(『Silk 王室弁護士マーサ・コステロ』)らも名を連ねている。

(海外ドラマNAVI)

参考元:米Variety

Photo:ベン・ウィショー ©JW/Famous