『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』ギレアドの妻に課されたルール10ヶ条

マーガレット・アトウッドの小説「侍女の物語」を原作に、デストピアな近未来を描く米Huluの人気ドラマ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』。エミー賞やゴールデン・グローブ賞を多数受賞してきた本作は、環境汚染により少子化が進み、子どもを産める女性が子孫繁栄の道具とされる衝撃作だ。そんな作品の主な舞台となるのが今のアメリカの一部に位置する全体主義国家のギレアド。この国では男女ともに厳格なルールの数々を課されているが、中でも司令官の妻たちが遵守しなければならない10個のルールを米Colliderが報じた。ギレアドの女性として最も高い地位にある司令官の妻は、特に子どもを授かることができない場合、生活は単調になりがちで、偽りの笑顔、孤独、苦悩が蓄積され、そのすべてが侍女たちを含む下層階級の女性たちへの八つ当たりを引き起こす。そんな妻たちのルールがこちらだ。

妻と夫は対等…ではない

■ティール色の服装でなければならない
侍女たちが身に着ける暴力的なイメージの赤い服と反するように、妻たちは罪のない者としての「純粋さ」を示すティール(暗い青緑色)やブルーの控えめなドレスを着ている。とはいえ、同じ青系の中でも細かい違いがあり、より暗い青はより高い地位の妻(例えば司令官の妻)を示し、より明るい青はそれよりも地位の低い妻、例えば守護者(兵士)や目(監視役)と結婚した妻であることを表している。

■最優先すべきは母親業
この国の宗教では、女性は子どもを産み育てることが最大の重要事項。妻は自ら妊娠するか侍女制度に頼るかにかかわらず、生まれた子どもの世話をし、将来の司令官にとって良いパートナーとなるような子に育てることが義務だとされる。侍女制度を使う場合、妊娠から出産までの間、妻は侍女の出産準備に時間を費やし、彼女たちをサポートする。

■夫に従わなければならない
これはルールというよりも社会的な見解として、妻は常に夫の側にいることが望まれている。つまり命令されたことは何でもこなしながら、決して口答えせず夫を正さず、その行動に疑問を持たないことである。不貞も残酷な行為も許し、夫が科すいかなる罰も受けなければならない。この世界では男性だけが社会的主導権を握っており、夫婦の関係は不平等であり、司令官がその高い地位を乱用することも認められている。

■読み書きの自由はない
おば(侍女の教育係)を除く女性たちはあらゆる種類の読み書きが禁止されている。聖書以外の読み物、例えば雑誌や新聞なども女性は目にすることができない。食料品店でも商品表示で文字の代わりに記号が使われるという徹底ぶりだ。

■宗教の規範を守る
ギレアドの基本原理は、人間の犯した罪によって腐敗してしまった社会に宗教的な価値を取り戻すこと。そのため、妻は国の規則に従って最高の宗教的倫理を守ることを求められる一方、夫が倫理に反することを行ってもそれは見て見ぬふりをしなければならない。

■不妊であれば侍女を迎え入れなければならない
死産や障害児の出生が増加しているこの世界において、ギレアドは当初から世界的な少子化の問題に取り組んできた。その結果、乱れた性関係や避妊・中絶の増加を理由にして、出産適齢期の女性やすでに子どもを産んだ経験のある女性を捕獲して不妊の家庭にあてがうという侍女制度が生まれた。妻は自身が子どもを産めないとしても、どんな手段を使ってでも子どもを授かりさえすれば上流階級での生活を手に入れることができた。そのため、妻は司令官にふさわしい侍女を選んで夫が妊娠させることに同意しなければならない。子どもがいないことは社会的タブーであり、妻たちが義務を果たしていないと見なされる。

■男の会話に割り込んではならない
ギレアドは家父長制ゆえ、女性は男性に対して反対意見を述べたり、少しでも「男性的」なことについて話してはならない。妻たちの多くはこの国の設立で重要な役割を果たしたにもかかわらず、例えばセリーナ・ジョイの右翼的な宗教書「女の居場所」は、女性の家庭生活と聖書における役割の改訂の雛形となったが、女性はその声を捨て、自分たちの生き方を支配するものに対して完全に従属しなければならない。

■趣味は昔ながらの女性的なものに限られる
妻はゴシップ以外の政治的な議論に参加できないだけでなく、家事全般を禁じられているので、料理や掃除は召使と侍女が行う。子どもがいない場合、妻は自立心を失い、ガーデニングや編み物といった昔ながらの女性的な趣味に時間を割くようになる。夫と一緒でなければ、あるいは出産やそれに関連したもののためでなければ、妻は家から出ることができず、家に閉じ込められる。

■“儀式”には必ず立ち会わなければならない
この国で最も軽蔑されるルールは、毎月、妊娠を期待して家の侍女を強姦するという“儀式”だろう。この行為を正当化するため、妻は“儀式”のすべての過程、読経から受胎の試みまでに立ち会わなければならない(妻が立ち会わない場合はレイプと見なされる)。妻はベッドの上部に座ると、ベッドに横たわる侍女を両足で挟み、司令官と妻自身を精神的に結びつける手段として、“器”である侍女の両手を握る。このルールはプライス司令官によって作られたもので、彼は「不貞行為」という感覚を防ぐために妻たちもその場にいることを提案した。

■死が二人を分かつまで夫のそばにいなければならない
妻たちは、現代社会のように離婚することができない。結婚は男女の神聖な義務とされ、妻たちは社会的な体裁を保つために、どんな不貞や虐待があろうとも夫を許すことを強要される。女性たちは司令官が与える安心感とサポートに共依存するよう教えられ、一歩道を踏み外せば、召使や侍女にされたり、植民地送り、あるいは死という脅威が迫る。妻は夫が先に死んだ場合に限り、新たな男性と結婚するチャンスがある。ギレアドで未婚の女性でいることは社会的に罪なのだ。

Huluプレミア『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』シーズン5(字・吹)は、11月25日(金)から独占配信。以降、毎週金曜日に一話ずつ追加配信予定。(海外ドラマNAVI)

参考元:米Collider

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