【映画レビュー】アカデミー賞も獲得! 映画『スパイダーマン:スパイダーバース』、米メディアも賞賛の心揺さぶる良作

ニューヨーク市民に愛されたスパイダーマンが死亡。しかし、スパイダーマンは一人ではなく――。映画『スパイダーマン:スパイダーバース』は、そんな衝撃的なアイデアを3Dアニメーションで形にした作品。IMAXで3月1日(金)から先行上映される。

新スパイディーは中学生

ニューヨークの平和を守っていたスパイダーマンが、闇の支配者・キングピン(声:リーヴ・シュレイバー『レイ・ドノヴァン・ザ・フィクサー』/吹替:玄田哲章)によって抹殺される。ヒーローの跡を継ごうと立ち上がったのは、過保護な警察官を父に持つ、まだ中学生のマイルス少年(シャメイク・ムーア『ゲットダウン』/小野賢章)。摩天楼を飛び回っての活躍を夢見るが、クモの糸の制御すらまだ半人前。

そんなマイルス少年の前に、死んだはずの元祖スパイダーマン、ピーター・パーカー(ジェイク・ジョンソン/宮野真守)が姿を現す。師範役を買って出るピーターだが、無精髭のイヤミな中年という姿は、言わずと知れたスパイダーマンとはほど遠い。そう、彼は次元の歪みによってニューヨークに現れた、異世界のピーターだったのだ。

キングピンによって歪められた時空のせいで、マイルス少年の住む世界にさまざまな平行宇宙から「自称スパイダーマン」たちが集結。女性ヒーローのスパイダー・グウェン(ヘイリー・スタインフェルド『 ホークアイ』/悠木碧)や、白黒映画の世界からやって来たスパイダーマン・ノワール(ニコラス・ケイジ/大塚明夫)などに加え、パワードスーツも参戦。異世界から集まった混成スパイダーマン・チームが次元の均衡を取り戻す闘いに挑む。

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「スパイディーの父」へ感謝のしるし

『スパイダーマン』『X-メン』などの原作を生み出したスタン・リーは、昨年の11月にこの世を去っている。「私たち誰もが、心の中に小さなヒーローを宿している」をモットーにしていたスタン。その人生観への謝辞を形にしたような作品、とUSA Today誌は紹介している。

あらゆる異次元から複数のスパイダーマンが呼び寄せられるという、一風変わったアイデアを形にした本作。文字にすると奇抜な試みにも感じるが、実際のところ大変素晴らしい出来となっている、と米Los Angeles Times紙は賞賛。キレの良いストーリーのなかに、向こう見ずな大胆さとキャラクター間の温かみを交互に感じるような一本となった。

近年のアクション大作とは違い、純粋な楽しさに満ちた作品だと米New York Times紙は評価。スリリングかつ爽快で、フレッシュな気分にしてくれる映画になっている。思わず膝を打つようなスマートな展開と、徐々に深みを見せるストーリーには納得。くだらないやり取りにひとしきり笑った後でセンチメンタルなシーンに心を鷲掴みにされたりと、喜怒哀楽のすべての感情を揺さぶる120分だ。

アカデミー賞受賞作品

本作は今年のアカデミー賞長編アニメーション賞をはじめとして、ゴールデン・グローブ賞のアニメーション作品賞、英国アカデミー賞(BAFTA)など数々の賞を獲得。本国では昨年のクリスマスシーズンに封切りとなると、公開初週の週末興行収入で堂々のナンバーワンに。2位とはダブルスコアの差をつける快挙となった。

もう一つのユニバースを描く『スパイダーマン:スパイダーバース』は、3月1日(金)からの3日間、IMAX対応の一部スクリーンで先行上映される。一般上映は3月8日(金)から。(海外ドラマNAVI)

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映画『スパイダーマン:スパイダーバース』