秋の新ドラマシーズンが9月1日よりスタートしました。今年はちょっとだけ事情が違う。FOXとCWがフライングをしているのです。

通常、秋の新ドラマというのは、9月下旬に行われるエミー賞の授賞式が終わった次の週に始まっていました。今年だと、9月21日の日曜日がエミー賞だから、翌日月曜日から新ドラマがずらりと始まるわけ。だいたい10月第1週くらいに新ドラマの初回オンエアがあることが多いのです。

ところがこの慣例を最初に崩したのが、FOX。数年前から、9月初旬に新ドラマをスタートさせています。これには事情があって、FOXではメジャーリーグのポストシーズンを独占放送する権利を持っており、10月はそのクライマックス、ワールドシリーズを放送しなければなりません。7年前に始まった『24-TWENTY FOUR-』も11月スタートと、他の新ドラマよりも1カ月遅いスタートでした。

これでは、先に新ドラマの放送を開始している他のネットワークに視聴者を取られてしまう。FOXではエミー賞の前に新ドラマをスタートさせることを決断します。

テストケースとなったのは、5年前にスタートした『The OC』。FOXがティーン向けドラマとして期待をかけて送り出した『The OC』は8月スタート。この戦略が見事に当たり、人気ドラマに成長しました。

そんな成功がうらやましかった? やはり若年層向けのTVネットワークCWも今年はFOXと揃って、9月1日から他のネットワークに先駆け、新ドラマを開始させることにしたのです。

今年のCWの一押しが『90210』。1990年から10年間続いた『ビバリーヒルズ高校(青春)白書』の新世代バージョンですね。過激さが売りの『Gossip Girl』(CW)の評判が高いので、その路線かと思っていましたが、『ビバヒル』を思い出させるあったかいノリ。『ビバヒル』と『90210』の間を埋めるようなネタも盛り込まれており、以前からのファンにはたまらん内容となっています。ちなみに9月2日の初回放送は、期待通り490万人もの視聴者を集め、視聴率はめでたく、CWの新記録となりました。

さて、このコラムを書いている私は、海外ドラマナビの編集長の指令により今年5月のLAスクリーニングに行って参りました。例年ならこのスクリーニングで山ほど新ドラマのパイロット版を公開するわけですが、今回は去年11月から3カ月続いた脚本家組合のストの影響で、見ることができたのはほんの一握り。

ウワサには聞いていましたが、5月に見たのと9月のオンエア版は変わってる変わってる。特に『Privileged』(CW)は、「全部撮り直したんですか?」と聞きたくなるイジラれぶり。まず、主役のメーガンが家庭教師として住み込む大邸宅のやり手オバサマが変わってる変わってる、マーシャ・メーソンからアン・アーチャー(『Lの世界』)に。ぽっちゃりマーシャ、気に入ってたんですけどね。メーガン社交界デビューのシーンも変わってる変わってる。ワケ有りの妹が登場し、結構ヘビー。他にキャラも追加されて、メーガンにとっちゃ、うれしさ半分試練半分の変更でしょうか。

私はこの新ドラマ、お気に入りなんで、これからも期待したいと思います。

最後に、9月前半スタートのドラマのうち、この秋の目玉作品の1つ、J・J・ エイブラムスの最新作『Fringe 』(FOX)についてもご紹介。フリンジって、何の意味だろう? と思っていましたが、"Pseudoscience(スードゥサイエンス)"、つまり「ニセ科学」のことらしいです。肌が硬化する奇病を探るFBI美人エージェントと長い間精神病棟に収容されていた天才化学者、そこに立ちはだかるのは政府を超える力と頭脳を持つ巨大企業...ってアラスジなのですが、『LOST』にヤられてる輩には、"J・J・&「ニセ科学」"って組み合わせだけでたまらないでしょうね。はたして、日本上陸はしてくれるのでしょうか?