今、ゲイ度の高い海外ドラマが熱い!

日本のドラマにはほとんどゲイが登場しないのに、海外ドラマにはゲイが多いな~と思っている方、きっと大勢いらっしゃるはず。事実、海外ドラマにはゲイキャラが多い! アメリカにしてもイギリスにしても、日本に比べてゲイにオープンだし、同性愛者の人権擁護団体が力を持っているし、ドラマの製作スタッフにもゲイが多いし...で、ゲイキャラが育つ土壌が日本とは桁違いなのだ。

『クィア・アズ・フォーク』(日本未放送)、『Lの世界』のように同性愛の世界そのものがテーマのコテコテタイプのドラマもあれば、『ブラザーズ&シスターズ 』や『ふたりは友達? ウィル&グレイス』のように主要キャラの中にゲイキャラを持ってくるタイプ、『デスパレートな妻たち』や『SEX AND THE CITY』みたいにゲイのサブキャラをスパイス的に登用するタイプなど、ゲイキャラの使い方をとってみても多種多様。だけど、最近はゲイ度の高いドラマほど不思議と成功しているって噂が!?

■カート率いる(?)『Glee』はかなりゲイフレンドリー!

飛ぶ鳥を落とす勢いのミュージカルドラマ『Glee』。実はこのドラマ、かなりゲイフレンドリーなんです。

なぜって、そもそも製作総指揮のライアン・マーフィーがゲイ。ライアン・マーフィーと言えば、『NIP/TUCK マイアミ整形外科医』も手がけた人物。『NIP/TUCK マイアミ整形外科医』でも、レズビアンの麻酔科医リズをはじめ、ゲイネタが随所にちりばめられていたのは、みなさんご存じの通りかと。

そして、そんなライアンに才能を認められ、見事レギュラーの座を手にしたのがカートを演じているクリス・コルファー。高校時代は自分がゲイであることをひた隠しにしてきたという彼。米最大LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)ニュースサイト「Advocate.com」のインタビューで堂々のカミングアウト。カートという役を飛び越え、クリス・コルファーという役者自身の評価もうなぎのぼり!  その証拠に、クリスは第68回ゴールデングローブ賞最優秀助演男優賞を見事受賞してます(自分がいじめられっ子だったことも公言している彼は、受賞のスピーチでいじめられっ子に向けてメッセージを発信!)。そして!  先日、米のゲイサイト、アフターエルトンが発表した「ゲイ・セレブTOP100」では、クリス、見事1位を獲得してます(2位 アダム・ランバート、3位 ニール・パトリック・ハリス、4位 リッキー・マーティン、5位 ジョン・バロウマン)。

なお、本来クリスは、アーティ役で『Glee』のオーディションを受けていたことはよく知られた話。クリスの個性に目を付けたライアンをはじめとする製作陣が、わざわざ彼のためカートという役を新たに用意したというんだからスゴイなあ。

また、『Glee』では、クリスのほかにも同性愛の俳優が活躍してます。スー役のジェーン・リンチは、レズビアンであることをカミングアウトしている女優。そして、ジェシー役のジョナサン・グロフもオープンリー・ゲイ。シーズン2からは、やはりゲイを公表している人気俳優シェエン・ジャクソンもダスティン役で参加してます。

■ヴァンパイアドラマ『トゥルーブラッド』もゲイ度高し!

空前のヴァンパイアブームに乗り、日本でも人気沸騰中の『トゥルーブラッド』。こちらもかなりゲイ度が高い!  何せ、製作総指揮は映画「アメリカン・ビューティー」の脚本でアカデミー賞とゴールデングローブ賞を受賞、TVドラマではマイケル・C・ホールがゲイ役を好演している『シックス・フィート・アンダー』を手がけたアラン・ボール(彼もゲイを公言してます)。それならゲイ度が高いのも納得でしょ?

そして、このドラマのゲイキャラの筆頭はラファイエット。マーロッツのシェフという表の顔の裏でいろいろ怪しいことをやっている人物。ドラマの中では、完全なハードゲイに見えるけれど、演じているネルサン・エリスはストレートなんだとか!  いやあ、あまりにも完璧な役作りゆえ、ご本人がストレートと聞いても信じられないほど。これにはビックリです。

ビックリと言えば、主役のスーキーを演じているアンナ・パキンの衝撃発言! 吸血鬼のビルを演じているスティーヴン・モイヤーと2009年に婚約したと思ったら、翌年の2010年に突然バイセクシャルだと公表するもんだから...。これまたビックリだったな~(ちなみに、アンナ・パキンスティーヴン・モイヤー、衝撃発言の4カ月後に無事結婚にいたっております)。

そしてそして!  『トゥルーブラッド』のシーズン3には、『90210新ビバリーヒルズ青春白書』で学生ジャーナリストを演じるマイケル・スティーガーが、ゲイの男娼としてゲスト出演! 日本での放送はまだだけれど、シーズン3到来の際には、ぜひこちらのゲイキャラにもご注目を。

■カリスマ的なゲイキャラ、ジャックの存在感がスゴイ『秘密情報部 トーチウッド』
『ドクター・フー』のスピンオフシリーズとしてBBCで2006年に始まった人気SFアドベンチャー『秘密情報部 トーチウッド』。『クィア・アズ・フォーク』(UK版)を手がけたオープンリー・ゲイの脚本家ラッセル・T・デイヴィスによる作品で、『ドクター・フー』のアダルト版と言われているだけあり、エロシーンが満載。しかも、男×男、男×女、女×女と性の組み合わせも自由ときた! そして、そんなエロの中心に君臨しているのが、キャプテンのジャック・ハークネス。オムニセクシャル(全性愛)という設定で、演じているのはジョン・バロウマン。彼もまたオープンリー・ゲイなんだけれど、ゲイと分かっていても女性が夢中になってしまうほどイイ男!  『ふたりは友達?ウィル&グレイス』のウィル役として名前が挙がっていたのに、見た目がストレートっぽいという製作陣の判断から、エリック・マコーマックに役を持っていかれちゃったという逸話の持ち主でもあります。

そんなジョン演じるジャック、実は、昨年米アフターエルトンが発表した「ゲイキャラクター TOP50」で見事1位を獲得!  『クィア・アズ・フォーク』のブライアンを蹴落としての首位獲得だったということで、その人気はお墨付き。

そうそう、ジョン・バロウマンファンには嬉しいニュースが! 『デスパレートな妻たち』シーズン6には、何と彼が複数話ゲスト出演します!  『デスパレートな妻たち』のクリエーターのマーク・チェリーは『秘密情報部トーチウッド』の大ファン。自らジョンに出演を打診したんだとか。ちなみに、このマーク・チェリーもゲイですなあ。

■第22回GLAADメディア賞の行く末は?
アメリカなどでは同性愛者の人権擁護団体が力を持っているということは先に触れた通りだけれど、ゲイ擁護団体GLAA(Gay & Lesbian Alliance Against Defamation: 中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟)では、毎年「GLAADメディア賞」を主催。映画、TV、音楽、演劇、ジャーナリズムなどの各分野における"LGBTコミュニティに関する優れたイメージ"に対して各賞を授与してます。こういう賞が話題になるくらいだから、海外ドラマでゲイキャラが活躍する場が多いのは当然のことかも。
そして、去る3月19日、第22回GLAADメディア賞の一部受賞者が発表されました!

●最優秀ドラマシリーズ
『ブラザーズ&シスターズ』
『Degrassi』(原題)
『グレイズ・アナトミー』
『Pretty Little Liars』(原題)
☆『トゥルーブラッド』

●最優秀TVドラマエピソード(ゲイキャラクターが出演しないシリーズ部門)
Escape From The Castle! 『Bored to Death 』
Innocence 『ロー&オーダー』
☆Klaus & Greta 『30 ROCK/サーティー・ロック』
Queen of Mean 『私はラブ・リーガル』
Samaritan 『Law & Order: UK』

昨年の最優秀ドラマシリーズ賞を受賞した『ブラザーズ&シスターズ』が『トゥルーブラッド』に勝ちを譲ったかたちに。ちなみに、最優秀コメディシリーズの発表はまだ。ノミネートはこんな感じです。

●最優秀コメディシリーズ
『Glee』
『GREEK ときめき★キャンパスライフ』
『Modern Family』(原題)
『ナース・ジャッキー』
『United States of Tara - Showtime』(原題)

昨年受賞の『Glee』が今年も連続受賞なるか!?  発表が待たれます。