専門家が証言! 『ブレイキング・バッド』の放送開始以降、メタンフェタミンの常用者が減少

末期ガンと診断された元化学教師が、愛する家族にお金を遺すためにドラッグの精製に手を染める異色の大ヒットドラマ『ブレイキング・バッド』。「ドラッグの使用を奨励する作品」と評する批評家もいるようだが、全米アルコール・薬物依存評議会(以下、NCADD)は、本作の放送がスタートした2008年以降、アメリカでメタンフェタミンの常用者が減少したと証言した。

NCADDの内部組織で共同議長を務めるハリス・ストラティナー氏は英RadioTimes.comに対して、「人を引きつける見事な作品です。私は『ブレイキング・バッド』を現代の『ゴッドファーザー』だと考えています」とコメントし、本作が影の指導者としての役割を担っていると語ったという。事実、2002年から2006年のピーク時には70万人のメタンフェタミン常用者がいたとの統計があるが、本作の放送が始まってから20万人ほどに減少しているそうだ。

メタンフェタミンは、心血管障害やけいれん、極度の低体温、膿瘍(のうよう)、精神障害を引き起こす中毒性の高い薬物。アメリカでは年間およそ2万5000人がメタンフェタミンの使用によって命を落としているという。メタンフェタミンを取り上げた『ブレイキング・バッド』では、売春やマネーローンダリング、殺人などを絡めてメタンフェタミン産業が引き起こす社会問題を幅広く描いている。ストラティナー氏は、本作がスタートした2008年から麻薬取締局がメタンフェタミンの製造者を厳しく取り締まるようになったとも話す。

実際のところ、メタンフェタミンにまつわる状況の好転がどこまで本作の影響かは分からないが、ドラマが社会に与える影響は少なからずあるはずだ。ドラマで世直しができるような力強い作品が今後も誕生することを願いたい。『ブレイキング・バッド』は、現在アメリカで放送されているシーズン5で幕を下ろす。(海外ドラマNAVI)

Photo:『ブレイキング・バッド』
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