はやくも日本上陸!『ザ・ブック/CIA大統領特別情報官』(原題『State of Affairs』)

アメリカTVドラマ界では、女性パワーが炸裂中!このたび日本でも放映が決まった新番組『ザ・ブック/CIA大統領特別情報官』も、女子大活躍ドラマの代表だ。人気海外ドラマ『ブラックリスト』の製作総指揮ジョー・カーナハンが手がけるこの政治サスペンスは、『グレイズ・アナトミー』でおなじみのキャサリン・ハイグルが主役チャーリーを演じ、大統領日例報告チーフならびにCIA情報分析官という男性優位の職場を仕切るハードな女役で活躍する。

番組オープニングの舞台となるのは、アフガニスタンの激戦区だったカブール。叫び声や悲鳴が飛び交う中、女性二人と男性が集中攻撃にあっている。やがて男性は銃弾を受け女性の名前を叫びつつくずおれ、暗転。視聴者の胸ぐらをつかまんばかりのハイテンションなシーンは、視聴者を番組にグイグイ引きずり込んでいく。

やがてドラマが本題に入った時点で、死亡した男性アーロンは、現役女性大統領の息子であるいう事実が明らかになる。ということはチャーリーにとって大統領は、義理の母親になる女性でもあったわけだ。このことから大統領とチャーリーには特別な絆があるのだが、大統領日例報告チーフという高い地位にあり、大統領と親しい関係にあるチャーリーを疎ましく思っている人間も少なくない。そんな状況の中で、絶え間ないクライシスをうまくかわしつつ国家の安全を守りながら、愛する婚約者を奪った銃撃戦の真相を探るべく、チャーリーの「戦い」が始まる。どうやら事件解明となる糸口が、物語を意外な方向に展開させるらしく、今から楽しみだ。

 

ひとつ気になっていることがある。それは大統領日例報告チーフという政府ハイレベルの役職に就いているヒロインのチャーリーは、酒好きの遊び人で仕事にも二日酔いでやって来ることがあるという設定だ。

初回エピソードでは、婚約者を失ってまだ日の浅いチャーリーが、バーで行き連れの男性と一夜を共にし、その足で出社し業務上必須の心理カウンセリングに臨むというシーンがあった。恐らくこの場面では、チャーリーが自分の感情を押し殺すのが異常に上手く、ある意味で男性的な要素を持ったヒロインであることを確立したかったのだろう。だがこのシーンは逆に、視聴者がチャーリーの人間性や人格に対して疑問を抱き、下手をすれば嫌悪感すら抱かせてしまうかもしれないシーンだと感じた。

キャサリン・ハイグルは、万人に好かれるタイプの女優といえる。彼女の演じるヒロインには、キャサリンの持つ好感度を大いに反映させつつも、精神的には男性顔負けの強さを秘めたキャラクターというのを視聴側は期待しているのではないか。
幸いエピソード2では、チャーリーが繊細な一面を見せたため、彼女の擁護派(=ファン)としては肩の力が抜けた。しかしながら、番組のプロデューサーは「チャーリーは強い女ではあるが決して男になりたい女ではない」、ということを念頭に彼女という存在を定着させていくべきだと思う。

 

本作も含め、新しい海外ドラマと継続中ドラマシリーズを合わせると、女性を主人公にした番組の本数はかなりの数になる。この筆者がお気に入りの番組だけを例にとっても、ティア・レオニが女性国務長官に扮して大活躍する『Madam Secretary(原題) 』、ヴィオラ・デイヴィスがやり手女弁護士を演じる『How to Get Away with Murders(原題)」, そして若き日のスコットランド妃メアリーがヒロインの『Reign』と、パワフルな女性をメインキャラに据えた番組が多数出てきている。これまで、どことなく男性俳優が優勢の印象があったアメリカのサスペンスドラマだが、まさに面白いドラマの主人公が男性女性問わずになってきた感じだ。

 

TVドラマは、時代を映す鏡であると同時に、時として近い将来を見せてくれるクリスタル・ボールの役割も果たす。つい最近見たニュースによると、現在の米国連邦議会における女性議員数は、史上最多の104名だという。また、来年の次期大統領選を控えてヒラリー・クリントン氏が出馬濃厚となっているが、すでに初の女性大統領誕生か、などという声も聞かれる。

また、忘れてはいけないのが日本政治。これまで男一辺倒だった政界において、女性起用が活発化しているのはみなさんもご存知のとおり。まだまだ欧米には及ばないかもしれないが、これからは、まさに女子パワー炸裂の時代だ。

 

最高のタイミングで、日本デビューを飾る『ザ・ブック/CIA大統領特別情報官』。時代の流れとともに、この番組の動向を追っていくのが楽しみだ。

『ザ・ブック/CIA大統領特別情報官』は現在Huluにて毎週金曜日に一話ずつ追加、スピード配信中!


Photo:『ザ・ブック/CIA大統領特別情報官』
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