『プリズン・ブレイク』のあの声優コンビが『レジェンド・オブ・トゥモロー』に集結! 東地宏樹&江川央生インタビュー

DCコミックスの最強ヒーローたちがチームとして集結し、生けるレジェンド(伝説)となって時空を超えて世界を救うTV史上最大級のヒーローアクションドラマ『レジェンド・オブ・トゥモロー』。その日本語吹替版の制作を記念して、声優の東地宏樹さんと江川央生さんによる公開アフレコが行われたので、その模様とインタビューをお届けします

本作では、あの『プリズン・ブレイク』でスコフィールド兄弟を演じたウェントワース・ミラーとドミニク・パーセルが、キャプテン・コールドとヒートウェーブとして登場。そのほかにも、ブランドン・ラウス演じる体のサイズを自在に縮小できるアトム、炎を操り空を飛ぶファイヤーストーム、蘇った女戦士ホワイト・キャナリーなど注目のキャラクターたちが続々と参戦。DCヒーローチームが、地球に迫るかつてない危機に時空を超えて挑みます。

日本語吹替版では、『プリズン・ブレイク』でウェントワース・ミラーとドミニク・パーセルの声を担当した東地さんと江川さんが、引き続き担当。公開アフレコでは『プリズン・ブレイク』時代から共演しているだけに息の合ったところを見せ、悪役コンビでありながらヒーローチームに参加するという魅力あふれるキャプテン・コールドとヒートウェーブの演技を披露していました。さらにイベント終了後のインタビューでは、『プリズン・ブレイク』時代のお話から、本作の見所など色々と語ってもらいました

 

――『プリズン・ブレイク』のウェントワース・ミラーとドミニク・パーセルが再びコンビを組んだことで話題になっていますが、日本語吹替版でも同じくお二人が久々のコンビ再結成となりました。そのご感想は?

東地:単純に嬉しかったですね。同じ役者であっても声優は作品によって変わることがありますから。でも、今回は僕と江川さんの二人でと言われた時、アメリカ側で決めたキャスティングを受けて日本でも同様に考えてくれたことに喜びを感じました。

江川:嬉しかったよね。またこのコンビでやれたということは良かったし、そういう風にキャスティングしてくれたスタッフの方に感謝しています。

――今回お二人が演じるキャプテン・コールドとヒートウェーブというキャラクターは『THE FLASH / フラッシュ』で初めて登場しましたが、このキャスティングにはどのような経緯があったのでしょう?

江川:『THE FLASH』で、最初に台本だけもらった時には、メインキャスト以外のキャスティングに役者の名前がまだ書いてなかったんですよ。だから誰の声を担当するのか全然知らなくて、台本を読んでリハーサルで映像を観た時に、うわっ!と思いました。そういうことだったんだと、初めてその時に知ったんですよ。本当に何も情報が無い状態で役を頂きました。

東地:僕もそんな感じでスタートしましたね。『THE FLASH』には『プリズン・ブレイク』でティーバッグを演じたロバート・ネッパーも出演しているんですけど、『プリズン・ブレイク』と同じく若本規夫さんが声をあてているんです。海外ドラマのファンに対する姿勢は有難いというか、面白味がありますよね。

――東地さんと江川さんが共演することも、その時まで知らなかったのですか?

江川:一緒にやることは知っていたんですけど、ウェントワース・ミラーとドミニク・パーセルを吹替えるとは知らなかったんですよ。

――オーディションなどはあったのですか?

東地:オーディションではなく、直接でしたね。

江川:海外ドラマのシリーズもので、オーディションはあんまり聞かないですね。

東地:『プリズン・ブレイク』の時はパイロット版からスタートして、どうなるんだろうという感じでしたけど。

江川:あの時は何も情報が無かったですね。普通、吹替版を作る時は海外から鳴り物入りで入ってくるんですけど、その時は『24 -TWENTY FOUR-』のオマケみたいですって言われて(笑) だけど、そこからどんどんアフレコと同時進行で盛り上がっていった感じでしたね。

東地:珍しい形でしたね。ただ、アフレコの現場では残虐なシーンが多くて地上波は無理だなと消極的だったんですよね(笑) その後に、地上波でも放送されたんですけど。

 

――キャプテン・コールドとヒートウェーブという役柄は、『プリズン・ブレイク』の時とは全く異なった役柄ですね。『THE FLASH』では完全な犯罪者として出てきたキャラクターですが、本作では犯罪者でありながらヒーローとして闘うということから、演じる上で意識されたことは?

東地:『レジェンド・オブ・トゥモロー』は謎に包まれている状況で、キャラクターたちが集められているという始まりから展開するんですよ。『THE FLASH』の時は確実にワルとして全編に登場するわけではないので、ちょっとウェントワース・ミラーもワルということを印象付けようとしているんですよね。そうなので、僕も『THE FLASH』の時は印象を残そうと思ってそういうイメージで演じたことを覚えています。『レジェンド・オブ・トゥモロー』はアフレコが始まったばかりなのでまだ手探り状態ではありますけど、悪役がヒーローになるということがこれからどうなっていくのかは、アフレコしながらの楽しみです。

江川:ヒートウェーブについては、『THE FLASH』の時も今回もあまりヒーロー然としていないからそんなにブレていないですね。劇中でヒーローになりたくないということを言っていますし。それなので、特に変わった印象はないです。

――今回集められたチームの中でも、ユーモアがあって悪い奴らという特別な存在の二人ですが、それぞれのキャラクターの魅力は何でしょう?

東地:キャプテン・コールドはただの人間で、コールド・ガンという銃で戦うということで特殊能力は無いのかと、最初はガッカリしていたんです(笑) ですけど、やっていくうちに、逆にこっちの方が面白いんじゃないかなと思ってきて、そこが魅力だと感じていますね。今は、特殊な能力を持っていないことを楽しんで演じています。

江川:手作りの銃を二人で一生懸命に作ってね(笑) ヒートウェーブに関していえば、画面の端っこに映ってる時に気絶している人を担いでいたり、口汚いことばっかり言ってるけど何気に優しい面があったりといったギャップさ加減が魅力だと思っています。

――本作のアフレコ現場で、ウェントワース・ミラーとドミニク・パーセルに声をあてた時や、二人の掛け合いなどに手応えや感触はありましたか?

東地:江川さんと掛け合うことに関して言うと、その感覚というのはよみがえってきましたね。『プリズン・ブレイク』で信頼できる兄貴だったのが今回はワルの仲間ですが、江川さんの間とか感じは分かっていたので、非常にやりやすかったです。

江川:僕も『プリズン・ブレイク』で吹替えてきましたから、非常に絡みやすいし、どういう風に出てくるのか、息とか分かっていたので、やりやすかったですね。基本的には、ウェントワース・ミラーとドミニク・パーセルの役割的、キャラ的な部分はそんなに変わっていないと思うんですよね。

東地:根幹はそうですよね。

江川:ウェントワース・ミラーのキャラは冷静沈着で、ドミニク・パーセルのキャラは脳細胞も筋肉みたいな点は変わっていないからね(笑) その点は最初からしっくりきて、やれています。

東地:ただ、二人とも輪をかけて何かをしようとしているんですよね。やっぱりこの作品は『プリズン・ブレイク』とは違うんだぞ、という。そういう力の入れ方は感じますね。それに関しては、僕らも乗っかっていけばいいという感じではあります。

――ウェントワース・ミラーはアメコミ好きで、キャプテン・コールド役に決まった時はすごく嬉しかったと言っていたそうです。

東地:そうなんですか。確かにすごく楽しく演じているようには感じますね。彼は『プリズン・ブレイク』の後半で太っちゃったんですけど、今回は絞ってきて、気合が入っている感じです。

江川:『THE FLASH』に出演していた時、ドミニク・パーセルは唸るだけで、すごくゴリラでしたけどね(笑)

――『レジェンド・オブ・トゥモロー』では、彼が扮するヒートウェーブも単純な悪役ではない一面も垣間見せたりと、キャラクターに深みが出ている気がします。

江川:そうですね。そういう感じはします。そこら辺をどのように吹替えていこうかというのを色々と考えていますね。

 

――本作や『THE FLASH』のほかにも、『ARROW / アロー』『GOTHAM/ゴッサム』『SUPERGIRL/スーパーガール』といったドラマが放送され、さらに映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』が公開されるなど、DCコミックス作品が盛り上がっていますが、個人的にお好きなヒーローは?

東地:『レジェンド・オブ・トゥモロー』の中だと、杉田智和くんが声をあてているアトムの役とか面白いですね。アトムも普通の人間なので、普通の人間の方が興味を持っちゃうんですよ。

江川:『レジェンド・オブ・トゥモロー』の中だと、僕はヒートウェーブで大満足です。このキャラクターが一番やりたいと思うし、やれて良かったです。

――『レジェンド・オブ・トゥモロー』以外のヒーローやアメコミものでお好きなのは?

東地:コアな作品ではないですけど、スーパーマンが好きですね。バットマンやスーパーマンの吹替を実際にやらせてもらったのもあるんですけど。スーパーマンはクリストファー・リーヴ版が大好きだったので、テレビ版で吹替をさせてもらった時は、こんなことをやらせてもらえるとは思わなくて。クラーク・ケントとスーパーマンの違いを演じられる喜びと難しさがありました。

江川:僕はDCコミックスを元にした映画『ジョナ・ヘックス』でジョナ・ヘックスを吹替させてもらったんですよ。西部劇映画が好きだったので、『ジョナ・ヘックス』のマカロニウェスタンな感じの雰囲気を楽しめました。異形のヒーローなんですけど、彼は気になっていますね。

――『THE FLASH』などでこれまでに共演していた声優の方もいると思いますが、みなさんの中で本作に関するどんなことが話題になっていますか?

東地:まだ第3話までしかアフレコしていないんですが、第2話である主要キャラクターにとんでもないことが起こるんで、その話で盛り上がりましたね。そのキャラクターの声優本人も驚いてました(笑)

江川:あとは、アトムのスーツがどうなっているんだろうとかね。『ARROW』の時には女の子が中に入っちゃって、女の子にピッタリだったから伸縮自在なんだねとか。杉田くんからブカブカみたいだよとか言われてね(笑) そういう話をアフレコの休憩中とかにしてます。

――そのアトム役のブランドン・ラウスは、『スーパーマン リターンズ』の時に東地さんが声をあてられましたね。

東地:あの時から見てくれが変わってないんですよね。そこがビックリしちゃって。これまで彼が何をしていたのか知らないので、調べてみようかなと思うぐらいなんですよ(笑) 何年も経っているのに、クラーク・ケントを演じていた時の感じのままなんですよね。それを今回は杉田くんがイイ感じで演じてくれています。

――江川さんはジョナ・ヘックスを吹替えされていましたが、『レジェンド・オブ・トゥモロー』にもジョナ・ヘックスは登場する予定だそうです。その時はヒートウェーブとジョナ・ヘックスの二人を同時に吹替えるかもしれませんね。

江川:そんな欲張りができたらいいんですけど、なかなか、そうはいかないでしょうね(笑)

東地:吹替版では、実はそういう面白い吹替も混ざっていたりするんですよ。一人の声優の方が意外なキャラで掛け合いをしているというシーンがあるんです。観た人にそれが分かるかどうか、吹替としての色々なサービスもあるので、楽しみにしておいてください(笑)

 

――本作のストーリーについてはいかがですか?

東地:とりあえずリップ・ハンターという人に集められて、お前たちは伝説のヒーローなんだと言われて、みんな悪い気はしなくてイイ感じになるんですよ(笑) だけど、第1話のラストで実は...という展開からのスタートに魅力を感じました。そこに悪役とか人間味のある人たちとか、ヒーローといっても特殊能力を持っていない人間がいるかと思えば、ホークマンみたいな能力を持ったヒーローもいたりとかね。

江川:みんな、ヒーローの割にはポンコツなんだよね(笑) そこら辺が面白いと思います。みんな悩んでいるし、自信が無いし。今までのアメリカン・ヒーロー作品とはまた違った、マイナー思考の連中ばっかり集まってる感じなんですよ。

東地:自分たちの利益のためと思ってチームとして行動するんですけど、意外と仲間意識も無いわけじゃないんですよね。

――本作はストーリー展開もテンポが速くて見応えがありますが、演じていていかがですか?

東地:展開が速いのは面白いですよ。シリーズものは、次がどうなるんだろうという風につなげる面白さの見せ方が勝負なので、急速な展開は大賛成ですね。序盤で主要キャラが突然とんでもないことになったりとかありますから。

江川:とにかく時空を超えての物語なので、どんな風にでも話を展開できると思うんですよ。これからどの時代にタイムスリップしていくのか、未来なのか、過去なのかという所も興味ありますよね。そして、そこに出てくる登場人物たちが歴史上の人たちや、自分たちの過去に絡んだ人たちとか、色々な所で興味が出てきます。

――それでは最後に、ファンの方へメッセージをお願いします。

東地:ウェントワース・ミラーが楽しんで演じている理由がアメコミ好きだったからというのを初めて知ったので、僕もそういう気持ちで彼の声を演じていこうと思います。その話を聞いたことで、さらに楽しんで演じたら、より良い作品になると思っています。そこを頑張っていきますので、楽しみにしておいてください。

江川:ドミニク・パーセルが演じるヒートウェーブを、ドミニク・パーセルよりもドミニク・パーセルのように、そしてヒートウェーブよりもヒートウェーブらしく演じていけるように頑張っていきたいと思います。ぜひ吹替で楽しんで頂きたいですね。

東地:そうですね。

江川:やっぱり作品としてセリフの情報量が多いので、吹替の方が面白いぞ!というのはあります。それと、吹替のプラスアルファとして、演じている役者とある意味でケンカしているようなもので、「お前がそう演じてくるなら、お前の演じる通りにはやらないぞ」というようなものも、少しはありますから(笑)

 

『レジェンド・オブ・トゥモロー』は、ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントよりデジタルセル先行配信中、ブルーレイ&DVDは今秋リリース。

Photo:『レジェンド・オブ・トゥモロー』(C)2016 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.