『フラーハウス<ファースト・シーズン>』坂本千夏×大谷育江×伊藤美紀 直撃インタビュー!

1987年から8シーズンにわたって放送され、今も世界中で愛されているホームコメディの名作『フルハウス』の20年後を描いた『フラーハウス』。そのファースト・シーズンのDVD&デジタルセルが放送開始30周年を記念して発売・配信になった。

今回はそのリリースに合わせて、D.J.役(キャンディス・キャメロン・ブレ)の坂本千夏さん、ステファニー役(ジョディ・スウィーティン)の大谷育江さん、キミー役(アンドレア・バーバー)の伊藤美紀さんの声優3人に、『フルハウス』からの思い出や、『フラーハウス』の魅力などを語ってもらった。

――放送開始から30年を経て、再び同じキャラクターを演じることが決定した時の感想を教えてください。

大谷:それはもう嬉しかったですね。私たちの中で『フルハウス』という番組自体が特別だったんですよ。でも、『フルハウス』が子育てをするお話だったので、子どもたちが大きくなった時点で、もう続編はないねと、がっかりしていたんです。なので、また同じメンバーで続きを作るという話を聞いた時は感慨深くて。だけど、子役だったステファニーたちは大人になっているから、声が変更になるかもという不安はあったんですよ。変更しないと聞いた時は、本当に嬉しかったですね。

坂本:私も本当に同じ気持ちなんですよ。局が違ったり、制作会社が変わったりなどで、変更されることが多いから。どんなに私たちがやりたくても、変更されるのかなと思ったり、お天道様が許しても変更されるわけがないと思ったりしてね(笑)

大谷・伊藤:(笑)

坂本:やっぱりこの作品を愛している方が、声は変更してほしくないと思って頂いているんじゃないかという気持ちがあったので、(変更なしと)決定した時は本当に嬉しかったです。

伊藤:私はこのニュースを聞いた時に「同じメンバーでまたやるよ」という言葉付きで耳に入ってきたので、もう嬉しい気持ちしかなかったですね。アメリカのキャストも一緒で、日本も同じ顔ぶれで続編なんて、あり得るのかなという感じでした。嬉しかったんですけど、キミーはあの一家の実際の家族ではないので、もう引っ越して隣に住んでいない状態で始まったりすると、最初から私は登場しないかもという不安材料はちょっとありました。

坂本・大谷:(笑)

坂本:キミーは実際の家族ではないからね。

伊藤:そうなの。血が繋がっているわけではないから、ちょっとそこだけが不安だったんですけど。ちゃんと私にお声がかかったということは、出演回数がゼロではないんだなと思って、嬉しかったです。

――以前キャストのみなさんでサンフランシスコに行かれた時はキャンディスさんたちにお会いできなかったものの、2016年12月の来日イベントでついに対面されていましたね。

伊藤:日本版のキャストみんなでサンフランシスコに行った時、私は出産をしてまだ数ヵ月だったので、赤ちゃんを連れて飛行機に乗るのは考えられなかったから、一人だけ行けなかったんです。だから、あちらのキャストに会えると知った時は、生き別れになっていた双子と会うくらいの気持ちでしたね。そして、実際にキミー役のアンドレアさんと対面して、パッと目が合った瞬間、お互いに心が通じたんですよ! それぞれハッとした表情で吸い寄せられるように、嬉しいとかを超えた思いだったかな。そして、D.J.役のキャンディスさんや、ステフ役のジョディさんもそこにいるというのが信じられないような、夢のような気持ちで幸せでした。話をさせて頂いている時も、なんかずっとフワフワと夢の中にいるような感じでしたね。いっぱいハグをし合って、嬉しくて泣きそうでした。

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――キャンディスさんたちも来日インタビューで、声優のみなさんとお会いした感想を「マジカルな気持ち」と表現されていたので、同じ気持ちだったのかもしれませんね。

伊藤:「マジカル」に対して、「マジかぁ!」って感じでした(笑)

大谷:そこは日本語で返すのね(笑)

坂本:私も美紀ちゃんと同じで、「はい、こちらです」とドアを開けてもらって、目が合った瞬間に、昔の自分に会ったような不思議な感じでした。だけど、綺麗な大人になったD.J.なの。それは本当にビックリしました。

大谷:私たちがサンフランシスコに行った時は向こうの収録がお休みの時期だったらしく、どちらにしろ会えなかったんですよ。まぁ、収録もサンフランシスコではなかったみたいですし。当時聞いた話では、半年かけて一気に収録して、残りの半年は休むというスケジュールだったらしいんです。だから、子どもたちが先週まで小さかったけど、今週からいきなり大きくなっている回があったりね(笑)

サンフランシスコを舞台にした日常が描かれているので、皆でその世界観を感じたくて行ったんですけど、あわよくばの期待は少しあるじゃないですか(笑) でも会えなくてすごく残念だったので、イベントでお会いできた時は、夢がまた一つ叶った思いでした。向こうのフルキャストのメンバーとこちらのメンバーみんなで一緒に会いたかったねと、あのころ全員が言っていたんですよ。

坂本:本当にみんなが言っていたよね。

大谷:だから、私たちだけが会えたというのはすごくラッキーでしたけど、抜けがけしてごめんなさいという思いがありました。

坂本:ありがとう。だけど、ごめんねという感じだったよね。

――インタビューではキャンディスさんたちも、次回はフラー家とタナー家の全員を連れて来日したいとおっしゃっていました。

坂本:それは素敵!

伊藤:ぜひぜひです!

大谷:本当だよね。

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――ほかの方も含めて、久しぶりのアフレコになったと思いますが、収録はいかがでしたか?

坂本:子役を得意としているキャストが多かったので、録音演出のディレクターである木村絵理子さんから、子どもにならないようにと言われました。ですけど、D.J.たちも大人になっているし、自分も年を重ねてきたので、そういう意味では全然心配していなかったですね。ファースト・シーズンは13話だったので、慣れてきちゃう頃に終わるみたいな話もしていました。それと、作品のスピード感が昔よりも速くてドキドキしました。だけど、みんなで集まってセリフを言い始めてしまえば、そんなに大変ではなかったですね。

内容的には、大人の話も多くて、日本の国民性とは違って、子どもの前でこんなことしちゃうんだみたいなのもあったりして驚きました。D.J.はもっと真面目な子だったと思ったのに、真面目な子ほどそうなっちゃうのかと(笑)そこは驚きながらも、ちょっとドキドキしました。大人なのねと思って(笑)

大谷:最初の収録の時、私は緊張しました。『フルハウス』のステファニーは、小さくてひょろっとしていて、お姉ちゃんたちにくっついていって弾丸トークするみたいな子だったのに、『フラーハウス』では胸の厚みとか見た目が大きく変わっていたから(笑) 普通にしゃべると私も大人の感覚を持っているんですけど、聞こえる印象が子どもだから、やっぱりいろいろと違うキャラクターも見え隠れしちゃうじゃないですか。だから、木村さんにも「もうちょっと、胸板が厚いように発声して」と言われて(笑) それ以外にも、ろれつをわざと回らなくするという子どもに聞こえるための癖を今回はやらないとか、気を使いましたね。

それに、本番になると先輩方もバッと演ってくるんですよ。美紀ちゃんとかもはじけちゃって、こっちが笑いそうになることも仕掛けてくるので、丁々発止というか、刺激のし合いですね。千夏さんは正確に演ってくるし、美紀ちゃんはぶっ飛んだことをしてくるから、負けていられない、みんなで家族の面白いところを作らなきゃという思いでした。音声には笑い声が入っているので、日本でも同じタイミングで笑わせなきゃという意味では、気合を入れるところはありましたけど、慣れてきたら楽しむことができました。

伊藤:少女時代のキミーは、どこかぶっ飛んでいる感じだったので、あのキミーが大人になったらどうなるのかなという興味がものすごくありましたね。それで、いざリハーサルを見て声をあてる時になると、相変わらずテンションが高いし、頑張っているわけですよ。だから、以前は私もちょっとテンションを上げたらついていけたんですけど、今回は相当頑張らないとキミーについていけないというか、私が落ちちゃうんですよね。普通にすると、音響監督さんからキミーが普通すぎるって、ダメ出しされるんです。だから、常に普通じゃない状態を保っておかなければならなくて大変でした。だけど、最近は私も落ち着いた役が多かったので、自分の中ではとても刺激になって、頑張ろうという感じの演技を一生懸命しました。

声優のみんなとのやり取りに関しては、スタジオに入ってしまうと気持ちがすぐ一つになったので、そんなに苦労はなかったと思います。ただ、昔は男性3人が中心で、私たちはそこにくっついている子どもたちという感じだったんですけど、今回は私たちが中心にならなければいけないという責任感みたいなものは、強く感じましたね。そういうところからも、たまにお父さんたちがやってくると、「あー、やっぱり『フルハウス』でもあるんだな」という感じをすごく受けました。

坂本:そうだよね。お父さんたちが登場すると良い雰囲気になるんだよね。

伊藤:そういう点で、今回は私たちが背負って立たたなければならない番組なので頑張らなければと思いますね。私たちで成立させなければいけないという感じがとてもあります。

――『フラーハウス』でのD.J.はダニーのような親であり、母親という立場になりましたが、吹き替えてみてどう思われましたか?

坂本:D.J.は子どもの時は真面目な子だったんですよね。パパ(ダニー)もちょっと堅物というか、潔癖症なんだけど、恋愛に関しては結構、自由奔放なんですよ(笑) でも、子どものことはすごく考えているので、それとこれとは切り離しているんだなと思っていました。私も自分の息子3人が可愛いし、一番下のトミーJr.が次のシーズンではしゃべるんじゃないかなと、そこが本当に楽しみなんですよ。これからどんなことをやっていくんだろう、と。お母さんと子どもの関係みたいなこともどんどんやっていきたいし、子どもたちはもっと反抗してもいいんだよと思ったりしながらやっています。

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――ステフはジェシーのような立場になって、自由奔放さと同時に大人向けのエピソードも出てきますが、吹き替えてみてどう思われましたか?

大谷:ステファニーの設定は時代というのも理由かなと思いますね。

坂本:それはあるかもね。

大谷:私たちが見ていた『フルハウス』も、日本向けというわけではなく、全世界向けだったじゃないですか。でも、『フラーハウス』は今の時代だからこそ、千夏さんがおっしゃったみたいな、恋愛に関することは割と子どもに見せていいのかなというのがありますよね。

坂本:オープンだよね。

大谷:そう、オープンですよね。これは日本も見習うべきなのかなとちょっと思ったりするところもあるんですけどね。その中で、女性3人がさらけ出しているいろいろな部分が、今ある現実で、例えば子どもが産めなくてチャラチャラしていたけど、子どもは可愛いと思っているし、だけど夢を追いかけたいし、みたいな人がいるとしたら、そういう人に向けての頑張ってねというメッセージでもあると思います。

また、セカンド・シーズンでステフのパートナーになるキミーの弟ジミーが登場するのは、作り方が上手だと感じましたね。パートナーが普通の人なら、お話のために何となくまとめちゃったのかなと思うんですよ。だけどジミーは、楽しくてうまくやれるかもと感じさせるキャラクターなんですよね。昔からそうなんですけど、ストーリーの作り方が本当に上手なんですよ。でも夢物語ではなく、どこかに実際にあるかもしれなくて、自分の家族に置き換えたら誰かに当てはまるかもという身近なストーリーに仕上がっているので、共感ができますね。だから、地に足を着けて、チャラチャラ感を出すことを心がけています(笑) 夜遊びして帰ってきて、酔っぱらって胃薬を欲しがるみたいなシーンでも、ただ単に笑わせるだけじゃないようにね(笑)

面白いところと、フィクションのところと、現実にありそうなところが混在しているコメディであり、シリアスでもあるのが、『フルハウス』を継承していて素敵だと思いました。美紀ちゃんが言ったみたいに、パパたちが背負っていた分、私たちもそうやって背負っていかなければいけないなという重圧も、ここで笑わせなければいけないんだなというところも含めて、ちょっと感じたりしています。

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――キミーは、『フルハウス』のポジション的にはジョーイですよね。3人の中では一番変わらないイメージもありますが、どうでしょうか?

伊藤:そうですね。コメディアンですよね。弟ジミーの出現により、ギブラー家はみんな変な人たちだというのが証明されました(笑) この立場を守り続けたいと思います(笑) 本当はシングルの女性3人で子育てをするという話だったんですけど、元旦那のフェルナンドが居ついてしまって。フェルナンドはこの先どうなるのか楽しみですね。私以上に変ですから(笑) フラー家、タナー家と血が繋がっていない分、キミーが良いスパイスになればいいなと思いますね。

――最後に、今回のリリースでようやく観賞されるファンヘメッセージをお願いします。

大谷:お待たせいたしましたという感じです! Netflixでしか見ることができないということで、私も最初は接続の仕方が分からなくて見られなかったんですよ。昔からの『フルハウス』ファンの方でもそういう方は多いと思いますし、DVD化しないのかなとみんなで話していたので、私たちも待望のDVD化です。お気に入りの一つとしてお手元に置いて頂くチャンスですので、ぜひよろしくお願いします!

伊藤:『フラーハウス』の吹替を始めてからというもの、友達や業界の方に『フルハウス』の時からファンだったと言われることが多くて、みんな本当に大好きなんだなと感じました。ぜひ、今度はお手元にDVDを置いて頂ければ、いつでも楽しんで頂けると思います。

坂本:『フルハウス』が『フラーハウス』になって帰ってきたということは、私たちもそうだし、ファンの皆さんが本当に待っていてくださったことの一つだったと思います。「DVDになって欲しい」と思っていたので、皆さんのご意見があったからこそ本当にDVDになるんだと改めて感じました。一人でも多くの方に見て頂きたいので、本当に嬉しいです。

大谷:『フルハウス』が大好きだったけど『フラーハウス』の存在を知らないって人も結構いるんだよね。

坂本:そうなんだよね。だから、DVD化でさらに盛り上がって頂けたら嬉しいです。

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■『フラーハウス<ファースト・シーズン>』商品情報
DVD発売中、DVD レンタル中
『フラーハウス<ファースト・シーズン>』コンプリート・ボックス(4 枚組)
DVD/4 枚組/品番1000640968/6,000円+税
全13 話収録(各話約28 分)
音声:英語、日本語/字幕:日本語、吹替用日本語
レンタル DVD Vol.1~4
デジタルセル先行中
発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

Photo:『フラーハウス<ファースト・シーズン>』
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