イ・ビョンフン監督が贈る、斬新な設定の最新ドラマ『オクニョ 運命の女(ひと)』

ついに4月2日(日)からNHK BSプレミアムでスタートした、韓国時代劇の巨匠イ・ビョンフンによる最新ドラマ『オクニョ 運命の女(ひと)』。朝鮮王朝時代に、典獄署(チョノクソ)という監獄で生まれ育った少女オクニョが、母の死の謎、自分を狙う強大な敵といった障害を類まれな天賦の才能で乗り越えていく本格時代劇だ。

本作の魅力の一つは、まずなんといっても主人公のオクニョ。『宮廷女官チャングムの誓い』『トンイ』などの名作を生み出してきたイ・ビョンフン監督が、より斬新な作品を作るために思いついたのが、監獄生まれの天才という今回のヒロイン像。監獄の使用人として働くオクニョは、収監されている囚人たちから法律の知識やスリの技術、明の言語、武術を次々と学んでいき、成長してからはスパイや弁護士としても活動するようになる。生まれた直後に母を亡くして監獄で育つという決して理想的とは言えない環境にありながらも、決して悪に染まることなく、持ち前の明るさと利発さ、その正義感とで周囲を魅了していくキャラクターだ。

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そんなヒロインを説得力たっぷりに演じるのは、注目の若手俳優チン・セヨン。オクニョ役にぴったりの善のイメージはもちろん、膨大な量のせりふをすぐに覚えて共演者たちを驚かせたほどの聡明さ、数多くある武術のアクションシーンを自らこなす運動能力といった、この役に必要なあらゆる要素を持ち、イ・ビョンフン監督をはじめとするスタッフに、「他の俳優のオーディションは見る必要がない」と思わせたほどの逸材だ。本作には数多くの戦うシーンがあるが、そこでチン・セヨンは華奢な体からは想像もできないくらい華麗かつ迫力ある動きを披露し、そのクオリティは「アクション監督から褒められたほど」だったとか。

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オクニョと対立関係にあるのが、強大な権力を握る文定(ムンジョン)大妃、その弟のユン・ウォニョン、彼の側室チョン・ナンジョン。こうした悪役もそれぞれ独特の魅力を放っており、彼らとヒロインの対比が物語にいっそうの深みをもたらしている。他人には冷酷非道で悪だくみに長けながらも、子どもに対しては愛情豊かで妻にも頭が上がらないというユン・ウォニョンを、チョン・ジュノが好演。このユン・ウォニョンの二面性は、チョン・ジュノが「自分なりのキャラクターを創り出そう」とした結果であり、見事に成功している。一方、ふてぶてしく悪役に徹しているのがチョン・ナンジョン。自分の利益のみを追求し、邪魔する者は全て敵と見なして排除する徹底ぶりは、夫のユン・ウォニョンや実の兄ですら驚かされるほどで、ある意味、見ていてすがすがしい。

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そうした権力者に立ち向かうオクニョに力を貸すのが、魅力的な男性たち。幼い頃のオクニョが典獄署で知り合うならず者のユン・テウォン、捕盗庁(ポドチョン:警視庁)の高官ソン・ジホン、そして王の明宗(ミョンジョン)が、三人三様のやり方でヒロインを助け、導いていく。コ・ス、チェ・テジュン、ソ・ハジュンという人気俳優が演じる、立場も性格もそれぞれ異なる彼らとヒロインの関係がどうなっていくのか、からも目が離せない。

そのほかにも、オクニョの育ての父である典獄署の役人チ・チョンドク、典獄署の署長チョン・デシク、囚人のイ・ジハム、チョン・ウチ、チョンドンといったヒロインを取り巻く人々が物語にアクセントをつけるとともに、イ・ビョンフン作品に欠かせない笑いの要素も添えている。

"ドリームチーム"なのはキャストだけではない。イ・ビョンフン監督のもとへ、人気脚本家のチェ・ワンギュをはじめとした、同監督と過去にも組んだスタッフが集結。さらには独特な円形三階建ての監獄や、実際に山を掘って造られた地下牢といったセットも、存在感を放っている。

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監獄生まれの天才ヒロインという新しい要素を取り入れつつ、イ・ビョンフン作品らしさも随所にあふれる『オクニョ 運命の女(ひと)』(全51回)は、毎週日曜21:00よりNHK BSプレミアムにて放送中。

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Photo:『オクニョ 運命の女(ひと)』
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