『THIS IS US』ファンにおすすめ 友の死、生きる意味を問う仲間たち...『A Million Little Things』

米ABCで9月26日(水)から放送が始まったヒューマンドラマ『A Million Little Things(原題)』は、ビジネスパーソンとして成功を収めていたある人物の死をきっかけに、人生に悩む友人たちがもう一度生きる意味を見つめ直すというドラマ。2016年に米NBCで放送された『THIS IS US』を想起させる、心温まるストーリーだ。

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■ボストンで白昼の自殺 衝撃を受けた仲間は...
エレベーターに閉じ込められるというアクシデントから思わぬ友情が生まれ、親しくしていた7人の仲間たち。しかし、いつしか顔を合わせる機会はめっきり減っていた。それぞれの道を歩むも、彼らに共通しているのは、結婚や闘病生活など各々の理由で人生に行き詰まりを感じているということ。

そんなかつての仲間たちを、思わぬ事件が再び結びつける。突如彼らに、グループのなかでも成功者と思われていたジョン(ロン・リヴィングストン)の自殺の報せがもたらされる。ボストンにある職場のバルコニーから身を投げたという。思わぬ事態にグループは動揺するが、再会を懐かしむ友人一同は、それぞれが悔いのない人生を生きようと決意を新たにする。タイトルは友情に関する金言、「友情とは、なにも大層なものではない...小さな行為の積み重ねなのだ」から。

■秘密を抱えた仲間たち
ストーリーの中核の一つは、ジョンの死の真相。不安に駆られる仲間たちは、ときとして互いへの猜疑心を走らせる。ジョンのような成功者がなぜ自ら命を絶ったのかという疑問は、物語の登場人物の頭を離れない謎であると同時に、視聴者を惹きつけるキー要素にもなっている。米New York Postは、自殺の直前に連絡を取っていたエディー(デヴィッド・ジュントーリ)が何らかの情報を握っているようだと指摘。地域の子らにギターを教えるハンサムな好青年だが、近所の住民と不倫をしており、道徳面で信頼できないのも事実。果たして自殺との関連はいかに。

加えて同メディアは、慎重な性格のアシュリー(クリスティナ・オチョア)の些細な行動にも注目。彼女はジョンが書き遺した青い封筒を見つけるが、内容は自身の胸に秘めておこうと判断し、そっと隠してしまう。何者かを庇おうとしているのか、あるいは罠に陥れようとしているのか。ミステリアスな彼女は多くの視聴者を惹きつけるだろう、と同メディアは述べている。

登場人物たちが持つ秘密については、米Washington Postでも言及されている。親しい間柄だが、結婚生活、セックス、家族、病などの悩みをそれぞれが抱えているほか、他人には打ち明けることのできない秘密も。悲しみが包むストーリーのなかで、こうした秘め事が良いスパイスになっている。

■死と向き合う
友人の死のショックが一堂に波及するが、中でも死に最も近い経験をしているのが、元ガン患者のゲイリー(ジェームズ・ロデイ)。すでに病の克服を通じて新たな人生観に達しているためか、出しゃばり屋の態度が目につくことも。けれどそんな彼はドラマに明るい空気をもたらしてくれる貴重な存在でもある、とNew York Timesは指摘する。ジョンの葬儀のシーンでは、ジョンの娘ソフィー(リジー・グリーン)が歌を捧げるため祭壇に向かうと、「ブルーノ・マーズの(ハッピーでポップな)曲だったらこの場を燃やすからな」と自分の連れに囁く。

生命をテーマにしたストーリーとあって、過去の作品をあげて本作を紹介するメディアも多い。Washington Postは、同じ系統の作品『THIS IS US』が好きな人にオススメとだと本作を紹介。またNew York Postは、友人を自殺で失った学生たちを描く1983年の名作映画『再会の時』に似ており、それを不安の支配する現代社会に置き換えたような作品だとしている。米Mercury Newsは、『再会の時』と、30歳になった団塊の世代を描く『ナイスサーティーズ』を合わせたようなドラマだと表現。感情を揺さぶるドラマチックな瞬間に混じって、視聴者を不意に襲うサプライズが本作のポイントだと述べる。アドバイスをするとすれば、ティッシュを忘れないように、とのことだ。

困難を乗り越える勇気を与えてくれる『A Million Little Things』は、米ABCで9月26日(水)から放送中。前述の『THIS IS US』は、日本ではAmazon Prime Videoでシーズン1を配信中。(海外ドラマNAVI)

Photo:『A Million Little Things』
(C) ABC/Matthias Clamer