リブート版『チャームド』現代的なメッセージを加えた意欲作 オリジナルファンには試練?

米CWで10月から放送スタート超常現象ホラー『Charmed(原題)』は、1998年から8シーズンにわたって人気を博した『チャームド~魔女3姉妹~』のリブート版。母親の死後、超常的な能力が備わっていることを知った三姉妹は、仇を討つために悪の勢力に立ち向かう。前作に大胆な改変を加えたこともあり、新シリーズの折り返し地点となる4話の放送が終わった時点では、視聴者による評価は苦戦気味。シーズン終盤に向け、盛り返せるだろうか。

■母親の死後、三姉妹の能力が解放され...

ミシガン州のある町で、大学の講師として働くメル(メロニー・ディアス)とマギー(サラ・ジェフェリー)の姉妹。対照的な性格ながらも、姉妹の絆を大切にするようにとの母マリソル(ヴァレリー・クルス)の教えに従い、助け合って暮らしていた。母には、ろうそくに火を灯しラテン語を喋るという奇妙な習慣があった。

ある日、母が不自然な状況下で殺害され、姉妹は激しく動揺する。ほどなくして彼女たちの前に、異父姉妹を名乗るマーシー(マデリン・マントック)が現れる。生前、母はマーシーの存在を隠していた。そしてマーシーは二人と同じ大学に転職したことから越してくることになった。

一つ屋根の下で暮らし始めた三姉妹は、その身に魔力が宿り始めたことに気づく。長女マーシーにはテレキネシス(念動力)、次女メルには時間の停止、そして三女マギーには読心術の能力が発現。戸惑う彼女たちの前に現れた導師ハリー(ルパート・エヴァンス)は、姉妹の母親が魔女であったこと、そしてその能力が姉妹にも受け継がれていることを告げる。三姉妹は「The Charmed Ones(魔力を授かりし者たち)」としての宿命を受け入れ、弱きを護り、母の命を奪った魔物たちを退治することを決意する。

■12年ぶりのリブート

実に12年ぶりの新章となる本作は、2006年に終結したオリジナル版からかなり改変された内容となっている。米USA Todayは、オリジナル版のファンであれば、新シリーズは平常心を保つ訓練のように感じるだろうと紹介。さらに新シリーズは変更点が目立つため、馴染みのあるタイトルに惹かれてやってきたファンを失望させてしまうと述べている。登場するモンスターや、舞台となる町、三姉妹の一人に有色人種を取り込んでいる点、そしてフェミニズムを強調している点など、変更点は多い。

さらにUSA Todayは、昨今のファンタジー作品からの影響が見られ、神秘的な描写にまとまりを欠くと指摘。『ゲーム・オブ・スローンズ』に影響されたであろうデーモンの姿や、2003年まで放送された『バフィー ~恋する十字架~』を彷彿とさせるキャラクターが見られる。

オリジナル版のファンは新シリーズの主義に必ずしも同意できないかもしれない、と米Los Angeles Timesも同様の見解をしている。しかし、超常現象アドベンチャーと聞いて期待する物をすべて詰め込んだ、良質な作品だともコメント。キャストも優れたメンバーが揃い、バイオレンスシーンも度を越していない点が好感できると、完全に別物として観れば楽しめる作品と述べている。

■フェミニズム

先に挙げたように新シリーズではフェミニズムを大きく取り上げており、各メディアはこの点を高く評価している。USA Todayは、#MeeToo運動の盛んな現代に合わせて、しかるべきアップデートが施されていると述べる。姉妹の母マリソルが女性の視点から社会を捉える「女性学部」の学部長を務めるなど、女性と社会との関わりについてのメッセージ性が原作よりも強化されている。

さらに踏み込んだエピソードを紹介するのはLos Angeles Times。マリソルと次女メルは、セクハラを行なった教授の復職に対し、ほかの生徒たちと結託して抗議活動を展開。教授を糾弾し「これは魔女狩りではなく、報いなのですよ」と鋭いセリフを放つ。

リブート版『Charmed』は、CWで放送中。(海外ドラマNAVI)

Photo:『Charmed』
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