【日本未上陸】ダニエル・ラドクリフが人類滅亡を救う天使に!株式会社の天国で奮闘するコメディ『Miracle Workers』

人間の望みを叶える、神様と天使たち。そんな彼らの棲む天国が、もしも株式会社だったら...!? 『ハリーポッター』シリーズのダニエル・ラドクリフと『ボードウォーク・エンパイア』のスティーヴ・ブシェミが出演する『Miracle Workers(原題)』は、天使たちがマンネリ化した天国の"社風"を変え、人類を救うお気楽コメディだ。米TBSで2月中旬から放送されている。

♦︎人口増加で天国はお疲れモード

クレイグ(ダニエル)は、株式会社天国に勤める平社員の天使。人間の願いを叶える部署を担当し、人口爆発中の地球から届く膨大な量の書類を処理している。そこへ、やる気いっぱいのエリザ(ジェラルディン・ヴィスワナータン)が新たに配属に。数十億件もの願い事に眩暈を覚えるエリザだったが、「車の鍵が出てきますように」「Wi-Fiが繋がりやすくなりますように」といった望みをクレイグなど同僚とともに地道に叶えてゆく。

より重大な戦争などの問題は、社長である神(スティーヴ)の範疇。しかし、人間の所業に何やらご立腹の様子。人口と犯罪が増えるばかりの地球は失敗作だと嘆き、問題を解決せずに人類まるごと吹き飛ばそうと思い付く。世界の終わりを祝うパーティーが社内で開かれるなか、人間を救わなければと意気込むエリザとクレイグ。しかし、神の意思は固いようで...。人類の命運は、二人の下級天使に託された。

♦︎あの世のコメディがトレンド

「もしも天国が会社だったら」という思い切った発想をドラマ化した本作。天国という素材自体は目新しいものではなく、近年の人気作としては、米NBCの『グッド・プレイス』などがある。同作では、人違いで天国に似た「良い所」に送られたエレノアが、「悪い所」への移送を逃れようと悪あがき。同作も含め、来世を舞台にしたコメディがトレンド、とTIME誌は分析している。このジャンルには人生を考えさせられるような作品もあるが、本作は哲学的な問いも感情の動きも控えめ。あくまで軽いノリで見られるシリーズだ。

ネジの緩んだ天使たちが、地球の未来を救おうと奮闘する本作。一発ネタや繰り返し聞かれる職場への不満など、軽快なギャグに満ちた明るいドラマになっている。退職寸前のある社員は、会社の方向性が感じられない、と愚痴をこぼす。天国とはいえ、普通の会社と変わらないマンネリズムが支配しているようだ。屈託のない愉快な作品だが、ダークな笑いを潜ませるとさらに魅力が増すのでは、とEntertainment Weekly誌は提案している。

♦︎キャストの愛嬌、製作の風刺

抱腹絶倒の連続とはいかないものの、キャストの魅力で救われている、とEntertainment Weekly誌。細身でクリっとした目のダニエルは、まるでミーアキャットのような可愛さ。いつも早口で喋り、不安を悟られまいとしているクレイグを好演する。社長役のスティーヴは、白髪混じりの長髪のカツラを着用。みすぼらしい風貌で、いつも拗ねた様子の神様を表現している。

クリエイターは、ユーモア作家として知られるサイモン・リッチ(『サタデー・ナイト・ライブ』『インサイド・ヘッド』)。彼は本作品の原案小説の著者でもある。彼の作り上げる劇中の世界は、現実世界との鋭い類似性を感じさせる、とTIME誌。人口75億にも達する人類の全員を、株式会社天国は幸せにすることができない。誰かの望みを叶えればそれは別の誰かの不幸を招くという状況は、まるで実際の人間同士の関係そのものだ。

人類一掃の危機が迫るコメディ『Miracle Workers』は、米TBSで放送中(日本の放送局とは無関係)。同じく天国を舞台にしたコメディ『グッド・プレイス』は、日本からもNetflixで視聴可能。(海外ドラマNAVI)

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ダニエル・ラドクリフ ©Twocoms / Shutterstock.com