日本では2019年11月2日よりスタートしたAppleが贈る新動画配信サービス「Apple TV+」。白熱する昨今の配信サービス競争に加わった本サービスは、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされたジェニファー・アニストンやリース・ウィザースプーンが出演する『ザ・モーニングショー』をはじめ、『SEE暗闇の世界』『フォー・オール・マンカインド』など強力なラインナップを揃えているが、意外にも「Apple TV+」の普及率は低いままだという。その理由を米Deadlineが報じている。
15億台のデバイスを誇っているAppleは、昨年9月10日から11月1日までにiPhoneやiPadなどの新規購入した人たちに「Apple TV+」の1年間無料サービスを提供し驚かせたが、実際にはその対象者の10パーセント以下しかその特典を利用していないという。(この提供は2020年1月31日(金)に終了している)この報道は、バーンスタインリサーチのアナリスト、トニ・サッコナリによる第1四半期の数字を元に算出したデータであるが、これには以下のような理由があると述べている。
1つ目は、マーケティングの失敗。他のさまざまな新しいサービスやデバイスのマーケティングも行っており、ドラマなどの宣伝がうまくできていないということ。
2つ目は、初期の会計上のマイナスの影響を緩和するために、テイクレートを控えめに推定しているか、プロモーションを慎重に計算している可能性があること。
そして3つ目は、ただ単に数が多くないコンテンツのため、顧客がラインナップに満足できないでいるため。
「Apple TV+」に加入する場合は、日本では月額600円の会費が必要となる。同社はこのサービスの加入者データを公表していないため、実際にはどれくらいの加入者、視聴者がいるのかは不明。一方、昨年の11月にサービスを開始したディズニーの配信サービス「Disney+」は開始当日に1000万人の契約を獲得している。すでにグローバル展開をしていたNetflixの加入者は約1億6700万人で、米国の人口3分の1を超える数字を抱えている。
「Apple TV+」は、ライセンス料金のライブラリを持ち合わせていない。つまり、自社でオリジナル作品を作っていくことになる。だが、現時点では先述通りオリジナル作品が少ない。Apple側からはこのことに関してコメントは出ていないが、サッコナリは次のように述べている。「投資家たちは、注意深く動向を見守っていくべきだ。Appleの経営陣は今年、加入者数を公開しないと発表したが、2020年度の仮テイクレートは、本サービスの受け入れられ方がどのようなものであるか、また新たな作品が収益をもたらすほどに成功を収めるものを同社が生み出す能力ことも暗に示している」
直近のラインナップには、注目ドラマが並んでいる。クリス・エヴァンス(『アベンジャーズ』シリーズ)主演のスリラードラマ『Defending Jacob(原題)』が4月24日に、『世にも不思議なアメージング・ストーリー』のリブート版が3月6日に、サミュエル・L・ジャクソンとアンソニー・マッキー(『アベンジャーズ』シリーズ)が共演する実際に起きた出来事にインスパイアされた『The Banker(原題)』が3月20日に配信予定。その他現在製作が進められている作品として、故リバー・フェニックスが出演した『モスキート・コースト』のドラマ版や、『ダークナイト』のゲイリー・オールドマンが本格的にドラマ界に進出する英国ミステリードラマなどがある。
さらに今年末までに、ドラマ、音楽、ゲームなどのサブスクライバーが600万人に達すると発表している同社。今後のドラマコンテンツの動向に注目していきたい。(海外ドラマNAVI)
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Photo:Apple TV+のオリジナル作品『ザ・モーニングショー』『SEE暗闇の世界』『Defending Jacob(原題)』『The Banker(原題)』(c) 2020 Apple Inc. All rights reserved.