『ブラックリスト』ライアン・エッゴールド主演の医療ドラマ、パンデミックエピソードを放送中止に

犯罪サスペンスドラマ『ブラックリスト』のトム・キーン役で知られるライアン・エッゴールドが主演を務めるメディカルドラマ『ニュー・アムステルダム 医師たちのカルテ』。米NBCでシーズン2が放送中だが、あるエピソードを放送中止にしたことが明らかになった。米TV Lineなどが報じている。

1736年からニューヨークに実在する米国最古の公立病院ベルビュー病院で改革を行ったエリック・マンハイマーの回顧録「Twelve Patients: Life and Death at Bellevue Hospital(12人の患者:ベルビュー病院での生と死)」を原作した本作は、ニューヨークにある米国初の公立病院ニュー・アムステルダムを舞台に、そこに雇われた新任の医療ディレクターであるマックス(ライアン)が、「一人でも多くの患者を救う」をモットーに大胆な改革を起こしていく物語。

お蔵入りになったエピソードとは、同作の舞台であるニューヨークで起こるインフルエンザのパンデミックを題材にしたもの。当初は「Pandemic(原題)」というタイトルだったが、「Our Doors Are Always Open(原題)」に変更され、4月7日(火)に放送予定だった。だが、現在世界中で新型コロナウイルス(COVID-19)の脅威にさらされている中では、放送しない方がいいと判断されたようだ。

ショーランナーのデヴィッド・シュルナーは、今回の決断について「今の世界には、現実的な話が必要です。私のこの記事よりももっと大切で読むべきものがあります。命に関わる大事なことをまず読んでください」とコメント。

そう前置きした上で、シュルナーはさらに続けた。「2019年に執筆したこのエピソードでは、病院のベッドが患者で埋まってしまい、駐車場に患者のためのテントを張るというものでした。事実酷い年は、インフルエンザで最大8万人のアメリカ人が亡くなっています。このメッセージを伝えたかったのです。これを本作で見せることで恐怖心を抱かせ、コマーシャル中にみんなが手を洗うようになることを目論んでいました。ですが、鏡に映し出されたようにそっくりなことを見るのは恐ろしいことでもあるのです。

現在の状況になる前にこのエピソードを撮影しました。ですが今は、現実でも人が毎日亡くなっています。フィクションのTVドラマでも人が亡くなるのを見たいですか? 今世界の7パーセントがニューヨークでの感染者です。このエピソードで、ニューヨーカーが公園から逃げたり、検死されたりしているシーンを見るのはつらいものです。

そして、キャスト・スタッフにも感染者がいます。脚本家の一人もそうです。ダニエル・デイ・キムはこのエピソードから出演予定でしたが、先日陽性だったことが判明しました。ですので、今はとりあえず放送しません。またいつか放送します。搾取的だと言う人もいるでしょう。放送する際には、そんな彼らが経験したことが反映しているこの作品に感謝する人もいるかもしれません。隔離が生き延びる唯一の手段の時に、独りではなかったことを示すために。その時には希望があった、そして今もあると」

シュルナーが述べているように、先日『HAWAII FIVE-0』のチン・ホー・ケリー役でおなじみのダニエルがニューヨークで感染していたことがわかったばかり。本作の元になっているニューヨークのベルビュー病院も日々コロナウイルス感染者の対応をしており、あまりにも現実的すぎる話だと判断されたようだ。

『ニュー・アムステルダム 医師たちのカルテ』は、その他の作品同様に製作を中断し、予定より早く4月14日(火)をシーズンフィナーレとしている。(海外ドラマNAVI)

Photo:『ニュー・アムステルダム 医師たちのカルテ』 (c) 2018 Universal Television LLC. ALL RIGHTS RESERVED.