ドラマ版『スノーピアサー』、映画よりも世界観を拡大「列車を外側から見せることも重要」

映画『パラサイト 半地下の家族』でアカデミー賞監督賞を受賞した韓国出身のポン・ジュノ監督が2013年にメガホンをとった映画『スノーピアサー』のドラマ版が日本で5月25日(月)よりNetflixで配信される。映画より世界を拡大できると製作スタッフが語るドラマ版とは―。

1982年に発表された原作となるフランスのグラフィック・ノベル「Le Transperceneige」をクリス・エヴァンス(『アベンジャーズ』シリーズ)主演で映画化した『スノーピアサー』は、寒冷化によって人類の大半が死滅した世紀末的な未来を舞台に、全生存者を乗せて走り続ける巨大列車の中で繰り広げられる劣悪な差別や階級差、そして凄絶な反乱の行方が描かれた。ドラマ版では地球温暖化を遅らせようと試みるが、誤って世界の表面を凍結した未来が舞台となる。

巨大列車の中には水族館やナイトクラブ、豪華な庭園などが存在し、映画では限られた時間の中で架空の世界を生み出さなければならなかった。しかし、ドラマシリーズでは詳細を視覚化する時間に余裕があるため、列車の複雑な内部や寒冷化した世界を映し出す。



ドラマ版でVFXとFXヒューズを監修し、製作スタジオでトップを務めるジョン・コウリーが、その点について米Forbesに語っている。「多くの観点において、オリジナルのグラフィック・ノベルと映画にインスパイアされ、明らかにストーリーテリングの出発点はそこにあります。ですが、結局のところ、特殊効果が描くのは世紀末的な凍てついた環境を走る列車にすぎません」

番組のほとんどはサウンドステージで製作されるため、撮影終了後に必要となる視覚効果の魔法は、架空の世界を描くうえで大切な役割を担う。ドラマ版は2時間ほどで終わる映画とは異なり総時間が長くなるため、走り続ける列車から見える世界や景色がバラエティに富み、さらに世界が広がる。

カウリーは何を描くか選択肢が増えることについて、「敬意を表すべきオリジナル映画とグラフィック・ノベルがあるが、この世界をどのように表現するか、ゼロからデザインできる機会もあります」とコメント。列車の中から通り過ぎる景色を見て、どこを通って旅しているかを知ることが出来るとも付け加える。

さらに、列車は常に登場するものであるため、列車を外側から見せることも重要だと語り、「人々が生き残るのを助けるためにさまざまなものを持っているさまざまな鉄道車両があります。つまり、肉が必要であり、野菜が必要であり、新鮮な魚が必要であり、それらすべてが必要であり、列車の製作者はこの列車を独自のエコシステムで自己完結するように設計しました。生き残るには外の世界が必要です。同時に、列車は決して止まらない。これらすべてに電力を供給するために使用されるエネルギーは列車の一部です。電車は走り続ける」と、ドラマ版では凍りついた世界をさらに見ることができるようだ。

ドラマ版には、ジェニファー・コネリー(『ビューティフル・マインド』)、イド・ゴールドバーグ(『ピーキー・ブラインダーズ』)、アリソン・ライト(『ジ・アメリカンズ』)、ショーン・ビーン(『ゲーム・オブ・スローンズ』)らが出演する。

主演のジェニファーは米Entertainment Tonightに対し、「キャストには多様性があり、彼らの歴史とバックストーリー、彼らがどこから来たのか、彼らが何を望んでいるのか、彼らがそこにいるために何をあきらめたのか。彼らはすべて一緒に立ち止まり、意味を探し、生き残る方法とそれをすべて理解する方法を理解しようとしています。(視聴者は)そのレンズを通して、ある種のより深いテーマを探求することができます」と述べた。

ドラマ版『スノーピアサー』は米TNTにて5月17日(日)より放送スタートしたばかりだが、すでにシーズン2へ更新が決定している。日本では5月25日(月)よりNetfli配信スタート。(海外ドラマNAVI)

Photo:ドラマ版『スノーピアサー』