愛憎劇も最高潮に!大ヒットトルコドラマ『オスマン帝国外伝~愛と欲望のハレム~』ついにファイナルシーズン到来!これであなたも壮大な歴史の目撃者だ!

海外ドラマというと、アメリカのイメージが強いかもしれない。だが実はトルコはアメリカに次ぐドラマ輸出国として世界第二位を誇っている。そんなトルコ発、全312話という壮大なスケールで、世界中に熱狂的なファンを持つ『オスマン帝国外伝~愛と欲望のハレム~』は、2017年に日本で初めてチャンネル銀河にて放送された。日本ではすでに韓国や中国の愛憎劇ドラマが大人気だったが、それをはるかに超えるドロドロの人間関係、策略、権力への執着、そしてトルコという魅惑の舞台で、日本でも熱狂的なファンが続出。ドラマ大国アメリカでも、本作の俳優全員がアカデミー賞ものの演技だ!という声も多く聞かれるほど評価が高い。そんな世界的に支持される超大作ドラマが今ここに幕を閉じようとしている。

本作の舞台は14-20世紀まで存在した現在のトルコ共和国にあたるイスラム教のオスマン大帝国。絶対的な権力を誇っていた第10代皇帝スレイマンの元に、奴隷として絶世の美女アレクサンドラ(後のヒュッレム)が献上される。そんなヒュッレムのハレム入りをきっかけに、皇帝スレイマンの寵愛をめぐる女性たちの凄まじい争いを描いた物語だ。

超大作の宮廷歴史ドラマである本作だが、未見の方でもシーズン4から楽しめるよう、そしてシーズン3まで視聴したファンの方には、あの激動の日々が思い出せるよう、これまでのあらすじを追ってみよう。

 

■スレイマンの奴隷から妻の座へ!シーズン1から3までを一挙おさらい!(※ネタばれ有)

オスマン帝国第10代皇帝としてスレイマンが即位した時、ルテニア人のアレクサンドラ(後にヒュッレムとなる)は家族と婚約者を殺され、奴隷商人に捉えられていた。その後、彼女はスレイマンのハレム(後宮)に奴隷として献上される。アレクサンドラは、男児を産めばハレムで権力者になれることを知り、持ち前の美貌と飾らない陽気な性格でスレイマンを虜にする。そして陽気を意味するヒュッレムという名を賜り、宗教をもイスラム教へと改宗、スレイマンの寵愛を受けていく。

しかし、ハレムを牛耳っていた皇帝妃マヒデブランにとっては新参者ヒュッレムの存在が面白くない。スレイマンという一人の男性を奪い合う三角関係というわけではなく、大国をも揺るがすこの地位争いのため、二人の女性たちは互いに嫉妬と憎悪を膨らませていく。その諍いは、悪口レベルのやっかみなどではなく、殴られたら殴り返す、時には半殺しになるほどの凄まじい身体的な暴悪や、殺害計画と度肝を抜かされるレベルのものばかり。スレイマンら男性陣は度々戦に出て行き戦闘シーンが繰り広げられるが、ハレムは女性たちにとって、まさに生死をかけた戦場なのだ。

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ますますスレイマンからの寵愛を受けるヒュッレム。だが、それに反比例して周りからその存在自体を疎まれるようになっていく。それだけならヒュッレムは可哀想な女性に映るかもしれないが、ヒュッレムもまた、親友だったマリア(ギュルニハル)の顔を毒でただれさせるなど、嫉妬や権力への固執で、自分とスレイマン以外の人間の命さえも奪う執念深い強烈な女性なのだ。

しかし、殺されたと思っていたヒュッレムの元婚約者レオが宮廷画家として現れ、心が動く一面も見せる。それを知ったスレイマン皇帝の右腕であり、義理の弟でもある大宰相イブラヒムは、ヒュッレムを脅す。「君を愛していた」との言葉を残し自ら毒菓子を口にして、命と引き換えにヒュッレムを守ったレオ。目の前で元婚約者の最期を見届けたヒュッレムの顔は、イブラヒムへの憎悪で般若のようになる。これを境に、スレイマンが信頼する二人、ヒュッレムと大宰相イブラヒムは互いに対して宣戦布告。皇帝妃マヒデブランとの女同士の戦いと、性別も超えた男女の権力闘争も勃発する。

ヒュッレム×マヒデブラン

イブラヒム
そんなイブラヒムに、スレイマンの妹でもある妻ハティジェとの間に男の子が誕生。喜びのあまりイスラム教では禁じられている偶像崇拝にのめり込み、スレイマンはイブラヒムにきつく苦言。だがその後赤子は事故で亡くなり、イブラヒムもハティジェも打ちひしがれ、次第に夫婦間にも隙間風が吹くようになる。そしてイブラヒムは女官ニギャールと関係を持ち、妊娠させてしまう。そのことを知ったスレイマンとハティジェの母であるハフサは、ショックのあまり逝去する。

その頃、ヒュッレムはスレイマンとの間に皇子メフメト、皇女ミフリマーフ、皇子セリム、皇子バヤジト、皇子ジハンギルと、計画どおりに次々と子どもをもうける。しかし、ハレムには新たにカスティーリャ王女で絶世の美女イザベラや、神秘的な側女フィルーゼが登場。過去の自分のような存在の新たな女性陣の出現に、ヒュッレムは嫉妬心をむき出しにし、血眼になって葬ろうとする。

亡きハフサの後継者となったマヒデブランは、皇子ムスタファのために浪費を積み重ね、そのことがスレイマンに知られ、マヒデブランは解任。ヒュッレムが後任として後宮の運営を任され、ついにハレムの長に上り詰めたのだった。その際のあのヒュッレムの勝ち誇った顔のどアップは、圧倒的な強さに満ち溢れており、視聴者には圧巻のシーンだっただろう。

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ハレムの統治者として君臨することになったヒュッレムはそれだけでは物足りず、世界の支配者になることを決意。そのために、最愛の息子メフメトを王座に就かせるよう策略を練っていく。

一方、レオの件以来、ヒュッレムの最大の敵であるイブラヒムは、ニギャールの妊娠がばれ妻ハティジェに離婚を突きつけられるだけでなく、スレイマンからの信頼もなくしていき、これまでの確固たる地位が不穏なものに。幼い頃から共に戦ってきたイブラヒムを葬ることに少しためらうスレイマンだが、結局はイブラヒムの暗殺を実行。目を見開いたままのイブラヒムは、最期の言葉「私の皇帝様」を残して逝った。

その後ヒュッレムは、スレイマンの必死の捜索の甲斐もなく策略により行方不明になってしまう。スレイマンに夫イブラヒムを暗殺された妻ハティジェは同じ苦しみを与えようと、ヒュッレムは永久に見つからないと言い残し、兄スレイマンの腕の中で自らこの世を去った。また、ヒュッレムが不在の間に最愛の息子メフメトが刺客の手に落ち亡くなる。

兄弟のような存在だったイブラヒム、そして実の妹ハティジェ、ヒュッレム、さらには息子メフメトと次々に大切な人を失い、正気でいられないスレイマン。だが突如、陽気と名付けられたあの女性、ヒュッレムが静かに姿を現し、二人は深く長く抱き合い再会に涙するのだった。

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いかがだっただろうか。本作は、ありえないくらい激動の展開が盛りだくさんすぎるドラマだということはお分かりいただけるだろう。

それでは、激動のファイナルとなるシーズン4の見どころについてご紹介。

■やっぱり最後までヒュッレムから目が離せない!

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皇子メフメトを失ったヒュッレムは、マヒデブランの一人息子である皇子ムスタファをなんとかして排除しようと目論む。だが、そこに新たな障害となる皇女ファトマが登場。スレイマンの妹であるファトマは、なんと亡きイブラヒムとハティジェの娘フーリジハンを連れてハレムに来るのだ。新たな敵の登場でも、なんとか自分の野望を実現しようとするヒュッレムだが、このシーズンでは母として苦悩する姿が今までになく新鮮に描かれている。なぜなら、実の子どもである兄弟間の対立が激化するからだ。

さらに長年野心向きだしで数々の策略を練ってきたヒュッレムが、勝利に鼻高々とならない場面も出てくる。世界の頂点を目指すヒュッレムではあるが、成人した子どもの親という立場から、今までとは一味違う側面を見せつけてくるところも見ものだ。

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またシーズン4からヒュッレム役は、トルコ人俳優のヴァーヒデ・ペルチンが演じている。ヴァーヒデは、アメリカのメディカルドラマ『プライベート・プラクティス』のトルコ版主人公や、トルコの映画祭ゴールデン・ボールで主演女優賞も獲得したことのある実力派。そんな彼女が演じる母としてのヒュッレムの表情も必見だ。

■子ども世代に移った権力争いはより激しく、より複雑に!

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絶対に皇子ムスタファを皇帝の座に就かせたくないヒュッレムだが、皇子バヤジトは、あろうことかムスタファを慕っており、実の兄のセリムとは皇帝の座を巡り衝突。そんなバヤジトは、皇女ファトマの計画どおり、フーリジハンと恋仲になる。数々の苦難を乗り越えてきたヒュッレムでさえも、コントロールに悩む兄弟間の争いが複雑に絡み合っていく。

また、一人娘である皇女ミフリマーフの成長にも注目だ。すでに結婚して子どももいるミフリマーフだが、初期のヒュッレムのようにスレイマンにも影響力を及ぼすキャラクターに成長。常に母の味方であり、敵対するマヒデブランらにも食ってかかるような頼もしい女性になっている。知的で愛らしい中にも燃えるような闘志を秘めたミフリマーフは、すでに次世代のヒュッレム感満載だ。そしてやはり、最後に誰が皇帝になるのかは、絶対に見逃せない。

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■驚愕のシリーズフィナーレにふさわしい演技とセリフのオンパレード

ファイナルシーズンだけに、シーズン1から旅路を共にしてきた視聴者には、キャラクターたちのグッとくるセリフや感情を揺さぶられる名演技が満載。また、過去のキャラクターたちや、今は成長した子どもたちの幼い頃などの回想シーンなどもふんだんに盛り込まれており、現在に至るまでのストーリー背景が見事に描写されているだけでなく、ファンが過去のシーンを懐かしむ気持ちを鷲掴みにしてくる。過去の物語が描かれるということは、未見の人が見てもストーリーを理解しやすく、シーズン4からでも感情移入できる素晴らしい演出がなされている。

視聴者もこの時代をスレイマンたちと生きたかのように思える超大作『オスマン帝国外伝~愛と欲望のハレム~』。スレイマンの築き上げたオスマン帝国、ヒュッレムの壮絶な人生、数々の味のあるキャラクターたちの生き様、そして彼らの子どもたちの生きた証を、是非とも最後の最後まで目に焼き付けてほしい。

『オスマン帝国外伝~愛と欲望のハレム~』シーズン4 放送情報

8月3日(月)24:00より CS放送チャンネル銀河で日本初放送!
※第1&2話はスカパー!無料放送
公式サイトはこちら

(文/Erina Austen)

Photo:

『オスマン帝国外伝~愛と欲望のハレム~』(c) Tims Productions