アガサ・クリスティーが愛され続ける理由はあの作品の映像化?

ミステリーの女王ことアガサ・クリスティーのデビュー作であり名探偵エルキュール・ポワロが初登場した作品でもあるミステリー小説「スタイルズ荘の怪事件」が今年10月で出版100周年を迎えたことを受けて、100年にわたる遺産について彼女の財団が語っている。米Entertainment Weeklyが伝えた。

昔からクリスティーの作品は定期的に映像化されて人気を博してきたが、近年になって映像化がこれまで以上に相次いでおりピークを迎えている感がある。それはケネス・ブラナーが監督・主演を兼任するポワロシリーズ(『オリエント急行殺人事件』『ナイル殺人事件』)の影響か、それともほかに要因があるのかについて、クリスティー財団のCEOでありクリスティーのひ孫でもあるジェイムズ・プリチャードが答えている。

「それには複数の要因があるでしょう。英国では(2015年に放送された)BBCの番組『そして誰もいなくなった』で始まり、『アガサ・クリスティー 検察側の証人』『アガサ・クリスティー 無実はさいなむ』『アガサ・クリスティー ABC殺人事件』も製作され、最近では『アガサ・クリスティー 蒼ざめた馬』もありました。ですが、ブラナーの映画は別のスケールで効果があったと思っています。私の父なら、商業的に最初の大きな変革を起こした作品は、1970年代にアルバート・フィニーが主演した『オリエント急行殺人事件』だったと言うでしょうね。ハリウッド映画のスケールを真似できるものはありません。全世界で3億5000万ドル(当時のレートで約1050憶円)もの興行成績を稼ぎ出せば、ほかのどんなことよりも注目と知名度を得られますからね」

そしてプリチャードは、ポワロ以外のクリスティーが生んだキャラクターで映像化したい人はいるかと聞かれ、ミス・マープルの名前を挙げている。

「ミス・マープルについては同じようなことをするでしょうね。永遠に彼女を放っておきたくはありません。私はミス・マープルに対する尊敬の念を新たにしたところで、彼女はもう少し注目に値する存在だと思っています。彼女はポワロの影で一生を過ごしたので、今ではもう慣れっこになっているかもしれませんが、彼女に注目する機会を与えることができたら素晴らしいですね」と話しており、クリスティーの小説を新たに映像化する場合はミス・マープルが主人公になる可能性もありそうだ。ちなみにプリチャードは、クリスティーの作品で最も好きなものとしてミス・マープルの「予告殺人」を挙げている。

クリスティーの著作はウィリアム・シェイクスピアと聖書に次ぐベストセラーと言われており、2019年だけでも2億部以上の売上を誇る。その映像化作品では、『アガサ・クリスティー 蒼ざめた馬』が12月20日(日)22:30よりAXNミステリーにて独占日本初放送、ブラナーが監督・主演を務めた『ナイル殺人事件』が12月18日(金)より日本公開となる。(海外ドラマNAVI)

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こちらはデヴィッド・スーシェ主演による『名探偵ポワロ オリエント急行の殺人』
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