毎年、数多くの海外ドラマやTV番組が放送＆配信されるが、なかには期待外れな作品も少なくない。そこで、米TV Lineが2020年の"残念だった"海外ドラマ10選（一部リアリティショー）を取り上げているのでご紹介したい。
米メディアが選んだ10作品は以下の通り。
目次
『RUN』（HBO）
米HBOで4月に放送開始された『RUN（原題）』は、かつて恋人同士だったアメリカ人の人妻ルビーと、作家志望のイギリス人の男ビリーが一緒に逃げる計画を実行に移して1週間姿を消すが、トラブルに巻き込まれて女性警官に追われる身となる――というストーリー。
放送当初は、「2020年で最高のドラマシリーズ」とまで評されていたが、あまりにも多く投入された捻りが行き詰り、次第に本筋から脱線するという事態に。その結果、シーズン1の最終話では不満が残る後味が悪い状態となり、シーズン1で打ち切りが決定した。
ルビー役を演じたのは、実際に起きた事件を題材にしたNetflixのミニシリーズ『アンビリーバブル たった1つの真実』で絶賛されたメリット・ウェヴァー。ビリー役には、『ハリー・ポッター』シリーズのビル・ウィーズリー役で知られるドーナル・グリーソンがキャスティングされている。
『Next』（FOX）
『Next（原題）』は、米FOX製作によるAI（人工知能）をテーマにした新作ドラマ。国土サイバーセキュリティ・エージェントに加わった元テクノロジー企業のCEOポール・ルブランが、AIによる危機を阻止する世界初のチームを率いる姿が描かれる。
TV Lineは本シリーズについて、「すでに最初の2話で物語が構築されていないことがわかり、今後も勢いを取り戻すのは難しいだろう」とレビュー。その意見の通り、はじめの2話の放送後に打ち切りとなっていた。
ジョン・スラッテリー（『MAD MEN マッドメン』）が主人公ポールを演じ、イヴ・ハーロウ（『The 100／ハンドレッド』）、マイケル・モーズリ（『キャッスル ～ミステリー作家は事件がお好き』）らがキャストに名を連ねている。
『CONNECTING...』（NBC）
米NBCによるコメディドラマ『CONNECTING...（原題）』は、コロナ渦でZoomなどのアプリやその他のテクノロジーを駆使して、登場キャラクターが家族や友人と絆を保とうとする様子がコメディタッチで描かれる。
TV Lineは、キャストの演技が酷い訳でもキャラクターが嫌いな訳でもないが、時事を先取りしたこのドラマの放送が早すぎたと評している。いまだに新型コロナウイルス（COVID-19）が終息する気配はなく、感染者も死者の数も増える一方だ。普通のシットコムのような設定で、自己隔離やソーシャル・ディスタンスがネタとして取り上げられているが、こんな状況ではパンデミックをテーマにしたコメディで笑う気にはなれない。もし、放送がもっと先だったら楽しめたかもしれないとレビューされている。
『Broke』（CBS）
米CBS製作による新作シットコム『Broke（原題）』は、父親に勘当されて一文無しになった富豪のミゲルが、妻の姉であるシングルマザーのジャッキーの家に転がり込んだことで起こる騒動が描かれる。
『NCIS ～ネイビー犯罪捜査班』を卒業したポーリー・ペレットがジャッキー役を演じ、『ジェーン・ザ・ヴァージン』のロヘリオ役で人気を博したハイメ・カミルがミゲル役に扮し、期待されていたドラマだったが評価は振るわず...。
本シリーズは、「単調で生焼け状態のシットコムには味付けがなく、コテコテのキャラクターと当たり障りのないジョークが詰め込まれている」と評されている。
『The Sinner －隠された理由－：ジェイミー』（USA）
米USA製作の本シリーズは、ハリー・アンブローズ刑事（ビル・プルマン）が各シーズンで異なる事件の解決に挑むアンソロジースタイルの犯罪サスペンスドラマ。そのシーズン3では、ニューヨーク州ドーチェスターの郊外で起きた悲惨な交通事故を捜査したアンブロース刑事が、これは単なる事故ではないと判断し、現場で死亡したニック（クリス・メッシーナ）と、事件に関わりあると思われるジェイミー（マット・ボマー）の関係に迫る...。
TV Lineは、シーズン1＆2は「一体何が起きたのか!?」というアプローチが功を奏していたが、シーズン3ではニックとジェイミーの複雑な関係やミステリアスな過去などどうでもよいと感じてしまい、8話にわたって鑑賞するのが退屈だったとレビューしている。
『Avenue 5』（HBO）
米HBOの新作ドラマ『Avenue 5（原題）』は、宇宙観光業界になじもうと四苦八苦する宇宙船"アベニュー5"のライアン・クラーク艦長を描くスペース・コメディ。
人気医療ドラマ『Dr.HOUSE ―ドクター・ハウス―』に主演したヒュー・ローリーがライアン役で主演し、HBOの政治コメディドラマ『Veep／ヴィープ』を手掛けたアーマンド・イアヌッチがクリエイターを務めている。
『ラチェッド』（Netflix）
本シリーズは、『アメリカン・ホラー・ストーリー』や『Glee／グリー』を生み出した、ヒット・メーカーのライアン・マーフィーがクリエイターを務めるホラー・サスペンスドラマ。
名作映画『カッコーの巣の上で』に登場する看護婦長ラチェッドを主人公にした本作について、TV Lineはラチェッドの描かれ方がどれほど間違っているか延々と説教ができると評し、『ラチェッド』は"Wretched（ラチェッド）：惨め"だったと締め括っている。そのレビューに抗するかのように、本作は配信された月で最も視聴されたNetflixシリーズとなり、すでにシーズン2へ更新が決定している。
『スペース・フォース』（Netflix）
本シリーズは、4つ星を誇る将官のマーク・R・ネアードが、新たに創設された6番目の軍種となる宇宙軍のトップに任命され、月面に軍事基地を設置する壮大なプロジェクトに挑むことになる宇宙コメディ。
英コメディドラマの米版リメイクとなる『ジ・オフィス』に主演したスティーヴ・カレルが、同作のクリエイターであるグレッグ・ダニエルズと再タッグを組んだシリーズだけに、米版『ジ・オフィス』のファンは飛びつきたくなるのではないだろうか。
しかし、TV Lineはその衝動に"待った"をかける。スティーヴの他に、『フレンズ』のフィービー役でおなじみのリサ・クドローや、ジョン・マルコヴィッチ（『アガサ・クリスティー ABC殺人事件』）をはじめとするA級スターが生ぬるいジョークと一貫性のないトーンの犠牲となり、"打ち上げに失敗したスペース・シャトル"になぞられて、2020年で最も失望したドラマの1本として挙げている。
『ザ・ジレンマ: もうガマンできない?!』（Netflix）
Netflix製作によるリアリティ番組。開放的なリゾート地で生活を共にすることになった、魅力的な男女13人が繰り広げる恋愛模様を追う実験的なリアリティ番組だ。互いに気に入った同士でデートをしたり一緒に時間を過ごすのだが、キスやお触り、セックスも禁止で、ルールを破った場合は貰えるはずの賞金から罰金が引かれるシステムとなっている。
4月に配信開始された番組は、コロナ渦でソーシャル・ディスタンスが意識され始めた時期だっただけに、タイムリーなテーマで必要以上の注目を集めたが、TV Lineは、「この番組を観て脳細胞を失う価値はない」と酷評している。
『Labor of Love』（FOX）
米FOXのリアリティ番組『Labor of Love（原題）』は、子どもを望む41歳の成功した美しきキャリアウーマン、クリスティ・カッツマンが、自分の子どもの父親となる男性を15人の候補の中から選ぶ過程を追う8話構成のシリーズ。
画期的とも言えるテーマで贈る本番組について、TV Lineは「バテェロレッテが精子提供者を探す域を超えていない」とレビュー。番組の放送後に、すでにオンエア前にクリスティが選んだ男性と破局していたことが明らかとなり、"妊娠"や"不妊"にかけて、「『Labor of Love』は批判に対しては"繁殖力"がある」と酷評している。
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（翻訳／Nami）
Photo:『Run』公式Instagram（@runhbo）より 『Next』公式Instagram（@nextonfox）より 『Connecting…』公式Instagram（@nbcconnecting）より 『Broke』公式Instagram（@broke）より 『The Sinner －隠された理由－：ジェイミー』 『ラチェッド』SAEED ADYANI/NETFLIX 『スペース・フォース』AARON EPSTEIN/NETFLIX 『ザ・ジレンマ: もうガマンできない?!』Courtesy of Netflix
