アカデミー賞と並ぶ米国映画・テレビ業界の栄誉あるアワードであるゴールデン・グローブ賞が危機に晒されている。米TV Lineらが報じている。
米NBCは5月10日(月)、2022年のゴールデン・グローブ賞の授賞式を放送しないことを発表。「我々は、HFPA(ハリウッド外国人映画記者協会)が意味のある改革に取り組んでいると信じ続けています。しかし、このような大規模な改革には時間と労力が必要であり、HFPAが正しく実行するためには時間が必要だと強く感じています。そのため、NBCは2022年のゴールデングローブ賞を放送しません。HFPAが計画を遂行すれば、2023年1月に同授賞式を放送できると期待しています」
HFPAはここ数カ月間、舞台裏での多様性の欠如というスキャンダルに見舞われている。なぜなら87人の同会員のうちアフリカ系の会員が一人もいないという事実が明らかになったからだ。先週、HFPAは会員の多様化を図るために規約を改正することを発表したが、業界内ではこの改正案を不服とする声が多く上がっていた。
先日、米Netflixと米ワーナーメディアは、「意味のある」変更がなされるまで、HFPAとの協力関係を解消することを発表。Netflixのテッド・サランドスは、HFPAに宛てた手紙の中で、「今回提案されている新しい方針、特に会員数の増加の規模と速度に関する方針が、HFPAが抱える多様性と包括性の問題や、会員がどのように活動すべきかについての明確な基準がないことに対処できるとは思えません。ですので、我々はより意味のある変更がなされるまで、貴団体とのいかなる活動も停止します」と述べている。
今年2月に開催された第78回ゴールデン・グローブ賞では、HFPAの3人のメンバーが壇上に上がり、メンバーの多様性の欠如について訴えていた。HFPA副会長のヘレン・ホーネは、「映画やテレビと同じように、黒人の表現は不可欠です。私たちの組織には、黒人のジャーナリストがいなければなりません」と述べていた。
さらに今回のことで、ハリウッドの大物俳優であるトム・クルーズ(『ミッション・インポッシブル』)が行動に出た。トムは5月10日(月)付けで、これまでに受賞した3つのトロフィーをHFPAに返送したという。トムがHFPA本部に送ったのは、『ザ・エージェント』(1996)で獲得した主演男優賞、『7月4日に生まれて』(1989)で獲得した主演男優賞、『マグノリア』(1999)で獲得した助演男優賞のものだという。
これは新しい試みだが、他の人がトムに続き同じようにトロフィーを返送するという可能性もあるかもしれない。情報筋によると、NBCが来年の放送をキャンセルしたため、このような事態になったとのこと。トムは、Netflix、Amazon、NBCなど、多様性の欠如を改革しようとする組織の遅々とした動きに対し、声を上げた最新のスターとなった。
今後のハリウッド外国人映画記者協会の改革がどのようになるか、気になるところだ。(海外ドラマNAVI)
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トム・クルーズ©ROB HOWARD/FAMOUS