『ゲーム・オブ・スローンズ』の“リトルフィンガー”ことピーター・ベイリッシュ役で知られるアイルランド出身のエイダン・ギレンが、コンテンツ過多となった現代のドラマ界に警鐘を鳴らすとともに、かつての英国ドラマ黄金時代への熱い想いを語った。米Varietyが報じている。
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かつては「とんでもなく素晴らしいドラマ」が存在した
エイダンは、今月ルーマニアで開催されたトランシルヴァニア国際映画祭に国際コンペティション部門の審査員として出席。その際に、現代のドラマ業界について「コンテンツが多すぎる」と主張した。視聴者にとって現在のテレビは、あまりにも多くの作品で溢れかえっていると述べている。
「コンテンツが多すぎる。今のテレビは、時折小さなドーパミン刺激を与えるよう設計されているものばかりだ。洗練されたハイエンドな作品でさえも、人々の関心を引くために少しばかり安易になっている」
エイダンはさらに、かつての英国ドラマの黄金時代について熱弁をふるった。
「かつてはかなり型破りで大胆なドラマを、何の干渉もなく制作し、テレビで放送できた。そして1000万人もの人々がそれを見ていた。それはまったくもって信じられないことだった。今ではもう、そのようなことはほとんどない。彼らはそうした作品を作るのをやめ、懐かしのスターを集めたダンス番組なんかを作り始めた。だが、人々がかつて見ていたのは、単なる高尚な芸術作品ではなく、とんでもなく素晴らしいドラマだったのだ」
エイダン自身は演技学校には通わず、14歳で劇団に参加。地元のレンタルショップでVHSを借りては、ヨーロッパのアート作品からホラー、西部劇まで、あらゆるジャンルを貪欲に見ていたという。
「私は訓練を受けた俳優ではない。演劇学校にも行かなかった。学校はできるだけ早く辞めたかった。教室という環境が極めて息苦しかったんだ」と語るエイダンは、18歳でロンドンへ移り、小規模ながらも名高い劇場ブッシュ・シアターで演技の基礎を学んだ。
大きな転機となったのは、BBCで1986年から1993年まで放送されたアンソロジードラマシリーズ『Screenplay(原題)』の一話、1993年の「Safe」だ。アントニア・バード(『司祭』『ラビナス』)が監督を務め、当時20代前半だったエイダンがロンドンの路上で生活する若いホームレス男性を演じたこのエピソードは、第47回英国アカデミー賞テレビ部門で最優秀シングルドラマ賞を受賞した。

「Safe」での成功に続き、1990年代の英国におけるクィアの生活を描いたラッセル・T・デイヴィースによる英Channel 4のドラマ『Queer as Folk(原題)』に主演。その後、大西洋を渡り、米HBOの『THE WIRE/ザ・ワイヤー』でボルティモアの政治家トミー・カルケティを演じた。その後『ゲーム・オブ・スローンズ』で世界的な知名度を得て、BBCの『ピーキー・ブラインダーズ』の暗殺者兼賞金稼ぎのアベラマ・ゴールドへと繋がっていく。
エイダンは黄金期以降の全般的な衰退を嘆きつつも、「テレビではまだ多くの非常に大胆なことが起こっている」とも述べ、例えば、ヴィンス・ギリガンが手掛けるApple TVの『プルリブス』のような作品は「本当に洗練された」ストーリーテリングだと評価した。
「こうしたすべてのストリーミングサービスを契約しなければならない」ようになる前の「古き良き時代」を懐かしむ一方、彼は自身のこうした意見が「ラジオが登場した時に、曾祖父母が“これは悪魔の仕業だ”と言っていたのと同じようなものかもしれない」と認める。
「私がティーンエイジャーだった頃のテレビはそうだった。“テレビは子どもたちをダメにする”とね。私は学校から帰ると、寝室にこもって10時間もテレビを見ていたものだ」
そんな幼少期の畏敬の念と驚きが、今も俳優としての原動力になっていると明かす。「俳優になりたかった理由の一つは、世界を常に素晴らしい遊び場、芸術作品、生きる夢として見ていたからだ。その一部になり、その絵を描く一部になりたかった。それは物事を“行う”ことだった。完成品でも、ホテルの豪華な部屋でも、映画祭に行ってレッドカーペットを歩いたり有名になったりすることでもない。私はそのようなものには昔も今もまったく興味がない。実際に現場に入って、その日の仕事をやり遂げること。それが一番胸が躍ることなんだ」
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