『パワーレンジャー』イエローレンジャーにアジア人…当時の配役は「本当に間違いだった」
Instagramアカウント@mightymorphinpowerangersより

日本の特撮ヒーローのアメリカ版として子どもたちの心を掴んだFox Kidsの『パワーレンジャー』(原題:Mighty Morphin Power Rangers)。シリーズの元ヘッドライターのトニー・オリバーが、当時のステレオタイプ的なキャスティングを間違いだったと振り返っている。米Entertainment Weeklyが報じた。

 

無自覚だった“色”と人種の一致

Investigation Discoveryの新ドキュメンタリー『Hollywood Demons(原題)』で当時を振り返ったオリバーは、ブラックレンジャーに黒人俳優を、イエローレンジャーにアジア人俳優を配役したことについて「本当に間違いだった」と明言。その時、このキャスティングが持つ象徴性にはまったく気づいていなかったという。

「私たちの誰もステレオタイプについて考えていなかった」

そう語るオリバー。番組はそのまま2シーズン続いたが、会議でアシスタントが指摘してくれたことでようやく問題に気づいたという。

初代ブラックレンジャーにはウォルター・ジョーンズ(『新・第一容疑者』)、イエローレンジャーにはチューイ・トラング(『THE CROW/ザ・クロウ』)が配役されていた。

当時のキャラクターの持つ意味とその配役について、オリバーは次のように振り返る。

「ブラックレンジャーはグループの中で威勢の良さを持っているキャラクター、イエローレンジャーは平和的で良心的な役割を持つキャラクターというイメージだった」

しかし、結果的にその役に起用された俳優たちの人種が、偶然にも色の名前と一致してしまったことが、意図せぬ形で人種的な偏見を助長してしまったと認識されるようになった。

キャストも違和感を認識していた

ドキュメンタリー内では、スタントコーディネーターが撮影した当時のセットのビデオ映像も紹介され、キャスト自身もその違和感を理解していた様子がうかがえる。ジョーンズはカメラに向かって冗談めかしにこう語っている。

「僕はウォルター・ジョーンズ、ブラックレンジャー役。僕は黒人で、ブラックレンジャーだ——わかりやすいよね」

番組の共同制作者シュキ・レヴィもこの件について過去にコメントしている。「まったく意図的ではなかった」と強調し、自身とプロデューサーのハイム・サバンがイスラエル出身であることに言及。「私たちはアメリカの人種的感覚をまだよく理解していなかった。イスラエルでは肌の色はそれほど話題にならないんです」

『パワーレンジャー』がアメリカの子どもたちに与えた影響は計り知れない。しかしその一方で、制作陣の無自覚な判断が人種的ステレオタイプと結びついてしまったことは、今でも議論の対象になっている。

『パワーレンジャー』はPrime Videoの有料チャンネルマイヒーローにて配信中。(海外ドラマNAVI)