『デュオ 1/2のピアニスト』双子の天才ピアニストに人生を捧げる親に注目

アカデミー賞作品賞含む主要3部門受賞『コーダ あいのうた』プロデューサー最新作!実在するフランスの双子の天才ピアニスト、プレネ姉妹の数奇な運命と人生をモデルに、難病により夢を奪われた双子姉妹の苦難と葛藤と成功の物語を描いた、映画『デュオ 1/2のピアニスト』がついに2月28日(金)全国ロードショー。

主人公双子姉妹のピアノ人生に欠かせないのが<親の存在>。父セルジュは娘たちの才能に惚れ込み、自分の人生を娘たちのピアノにかけ、母カトリーヌは有名ブランドのデザイナーというキャリアを捨て、夫と共に娘たちの夢を支えてきた。そこには、大人になっていく娘たちと徐々にすれ違いが生まれぶつかる姿や、叶えられなかった自分の夢を娘たちに投影する2人の葛藤が繊細に描かれている。今回は、夢を追う子どもたちに自らの人生を捧げる親の視点から本作を深掘っていく!

 

映画『デュオ 1/2のピアニスト』双子の両親に注目

双子の姉妹クレールとジャンヌは、幼い頃からともにピアノに情熱を注いできた。父親からアスリートのような指導を受け、名門カールスルーエ音楽院に入学する。ソリストを目指し、2人のキャリアを左右するコンサートのオーディションに向けて練習に励む日々。しかし、クレールとジャンヌは自分たちの両手が徐々に不自由になる難病にかかっていることを知る。最悪の事態に直面しながらも、改めてピアノが人生のすべてであり、かけがえのない大切な存在だということに気づく。そして、絶対に叶えたい夢を2人で掴み取るため、家族に支えられながら、自らの運命を変えていく―。

【本予告映像】

子どもに習わせてよかった習い事に常に上位にランクインする<ピアノ>。子どもの頃に習っていた、自分が習っていたことから子どもにも習わせたという人も多いのではないだろうか。ピアノは音感やリズム感が養われるだけでなく、日頃の練習が不可欠なことから集中力が身につき、目で楽譜を見て耳で音を聴き、両手両足で弾くように同時に五感を使うことから脳の発達を促進するなど、幼少期の教育において絶大な成長を促す。

一方で、ピアノを習う上で負担しなければならないことも。毎月のレッスン代はもちろん、家で練習するとなると何十万以上とするピアノが必要で、上を目指せば目指すほど金銭的な負担は大きくなっていく。実際に本作でも、父親が娘たちの上達のためにモーツァルトの自筆の楽譜を所持する一方で、家の屋根の修理ができず雨漏りするシーンが登場し、父親の行き過ぎた少し可笑しな言動も現れる。さらに、レッスンへの送り迎えや発表会やコンクールなど、親自身が時間を拘束される場面も多いだろう。

運命が分かれるのは、子どもの才能が開花するかしないか。多くの人がピアノを習い事として終えてしまう中、本作のクレールとジャンヌは2人揃って開花。そして、幼い頃のコンクールで一度2位を取ったことで父親に火がつき、家族全員が2人のピアノにかけた人生が始まるのだった。

そんな父セルジュは、かつて潜水選手として活躍していた設定。足を引きずる様子から、現役時代に足を故障し競技を辞めざるを得なかったのだろう。教育熱心な娘たち思いの良い父親のように見える一方で、自分が掴めなかった栄光を代わりに娘のどちらかに掴ませようとするようなキャラクターとして描かれている。セルジュを演じるフランスの国民的コメディアン、フランク・デュボスクは自身の役柄について、「監督たちと私は、この暴君的なキャラクターに共感し、少し人間らしさや共感を与える必要があると考えたんです。それに彼は、自分の失敗と希望を娘たちに投影していきます。彼は娘たちに聖火を託しますが、それでも自分で聖火を持ち続け、娘たちの成功の一部を自分のものにしたいとも考えているんです。」と語る。娘たちがピアノを弾けなくなるという、再び栄光が遠ざかってしまう状況に陥ったとき、セルジュは娘たちとどう向き合いどう乗り越えていくのか必見だ。

一方母カトリーヌも、有名ブランドのデザイナーという大きなキャリアを夢見ていた設定。娘たちのために自分の夢を絶ったことに加え、夫の教育方針の犠牲にもなっているのがカトリーヌ。カトリーヌを演じるフランスの実力派俳優イザベル・カレは、「母であるカトリーヌは、専制的ですらある夫の影で生きています。彼女はこの数年間、物事を円滑に進めながら、緩衝材の役割を果たし、夫の怒りを和らげることに時間を費やしてきました。私は自分の母を少し思い出したんです。カトリーヌと同じように、彼女は長い間従順な女性でした。」と、自身の母親も投影して演じたと話す。夫に従順だったカトリーヌが、娘たちに病気が発症したことをきっかけに、夫、娘たち、自分の人生に対して抱いていた感情を爆発させることになり、もう一度自分の人生を歩もうと奮闘するカトリーヌの再出発も見逃せない。

夢を絶たれた天才ピアニストの双子姉妹が、ある“ひらめき”によって生み出した唯一無二の奇跡の旋律。ピアノへのかけがえのない想いに気づいた時、“1/2のピアニスト”が最上級の“ソリスト”に生まれ変わる―。そこで目にする未だかつて誰も見たことのない、映画史に残るラストシーンとは? 映画『デュオ 1/2のピアニスト』は2月28日(金)新宿ピカデリー 他 全国ロードショー。(海外ドラマNAVI)

Photo:『デュオ 1/2のピアニスト』 2月28日(金)新宿ピカデリー 他 全国ロードショー © 2024 / JERICO - ONE WORLD FILMS - STUDIOCANAL - FRANCE 3 CINEMA