『マッドメン』は本当に1960年代で終わるのか?それともニクソン時代まで続く?

先日アメリカでシーズン6がフィナーレを迎え、現在のところシーズン7までの製作が決まっている『MAD MEN マッドメン』。1960年代を舞台に描く本作だが、果たして1960年代で物語を描き切ることができるのかどうか気になるところ。そんな中、米EWが番組の舞台が1970年代に食い込む可能性を示唆している。

シーズン1の始まりは1960年の3月。アメリカンドリームの絶頂期で、アイゼンハウワー大統領が8年にわたり政権をとっていた時代から、ケネディの時代へと移り変わろうとしていた頃だ。そしてシーズン2のスタートは、シーズン1から1年以上の時を経た1962年の2月。その後、シーズンの終わりからシーズンの始まりまで、年代の開きは平均して約9か月。先日終了したシーズン6は、1968年の感謝祭のあたりで幕を閉じた。とすると、シーズン7を1969年のどこかで設定して番組を幕引きするのが、バランスの面でも10年をきっちり描き終えるという点でも妥当だとEWは論じる。

しかし、シーズン6終盤では、ニクソン大統領が辞任に至ったウォーターゲート事件に向かって伏線が張られているようにも見て取れるようだ。酔って気落ちしたドンが、ニクソンの大統領選挙CMを見ていたシーンがある。スターリング・クーパー社は企業としてニクソンを支持していたし、1960年には彼の選挙運動に関連した無償の仕事も行っていた。もしかすると、ドンはニクソンの新たなメディアコンサルタントになるかもしれないとEWは分析する。

さらに、ドンとニクソンには関連性がある。ニクソンのファーストネームであるディックと、ドンの元々の名前(ディック・ホワイトマン)が同じ。そしてニクソンは娼婦の息子ではないが、とても貧しいクエーカー教徒の家庭で生まれ育ちながらも、野心を持っていた。ドンがシーズン6のフィナーレでこう言ったのも不思議ではない。「ニクソンが大統領になれた。俺も大丈夫だ。すべてが神の思し召しのとおりに報われる」。しかしドンとニクソンの運命を重ね合せようとすると、シーズン7は1968年から3年~4年後、つまりニクソンが辞任した1974年の数年手前を描くことになり、物語は1970年代に差し掛かる。

2年前のインタビューでクリエイターのマシュー・ワイナーは、ザ・ビートルズのアルバム『アビイ・ロード』を例に挙げ、アルバムの最後の曲が『ジ・エンド』だと説明するとともに、「視聴者が懐かしく思い出す終わりにしたい」と語った。このアルバムのリリース日は1969年の10月。シーズン7が1969年を描き、フィナーレとなる可能性も否めない。今月にはシーズン7の執筆に入るというワイナーだが、物語の時代をどこに定めるのだろうか。(海外ドラマNAVI)

Photo:『MAD MEN マッドメン』
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