【私はこう観る!】『Legends』ショーン・ビーンがFBI秘密捜査員で大暴れのサスペンス・ドラマ(by明美・トスト/Akemi Tosto)

海外支局にて先日ご紹介した、サンディエゴ・コミコンでも、大きなビルの壁面を利用して宣伝されていた新番組『Legends』! 映画『ロード・オブ・ザ・リング』のボロミア役、そして最近では人気海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のネッド・スターク役でお馴染みのショーン・ビーンが大活躍するサスペンス・ドラマです。

タイトルにもなっている"Legends"という言葉ですがこれはFBI用語で、"偽の身元"という意味。ショーンの演じるマーティン・オダムはFBI秘密捜査官で、おとり捜査のエキスパート。事件に応じてガラリと素性を変えて悪者組織に紛れ込むという、言わばカメレオン的な捜査官を演じています。でも、この番組のユニークなところは、「もしも"カメレオン"が、周囲に紛れようとがんばり過ぎて、自分の色を忘れてしまったら!?」というのがこの番組のテーマ。

架空の人間になりすますのが天才的に上手いマーティンは、レジェンドになる時は、「マーティン・オダム」という自分を完璧に脱ぎ捨てて、身振り手振りそして話し方も架空の人間の(架空の)バックグラウンドに合わせて変貌させて、完璧に別の人間になりきってしまうんです。でも、こんな職業のおかげで、マーティンの家庭は崩壊。奥さんとは離婚、そして愛する息子とも週1回会えるか会えないかの悲しい状態に置かれています。おまけに前回の捜査に関わって以来、どうも精神状態が冴えない。他人に成りすまし過ぎて、遂に頭がおかしくなってきたのだろうか?

 

<以下、ちょっとネタバレ注意報!>
いつもと様子の違うマーティンに気づいた彼の上司は、マーティンにカウンセリングを受けるように言い渡します。そんなある日、見知らぬ男がマーティンにいきなり「キミはマーティン・オダムなんかじゃない!」と行って去っていきます。ただならぬ雰囲気だったその男の発言に苛まれたマーティンは、本部内で信頼する部下のひとりにその男の素性を調べさせます。翌日、その部下がいきなり"心臓マヒ"で死亡。余りにも異常な偶然を皮切りにマーティンの身辺に不可解なことが頻発しだす...というのが冒頭のエピソードです。いったい、マーティンの素性には何が隠されているのか、マーティンは本当にマーティンなのか?...っと、頭をかきむしりたくなるような疑問が次々に湧いてくるこのドラマ。これから一体どうなるの~~!?

余談ですが、ショーン・ビーンって実は「死に方の上手い俳優」として、界隈で有名なんです。(そんなことで有名になりたくないっ、っていう噂もありますが。笑) 彼の"死亡例"を挙げるとキリがないんですが(苦笑)、『ロード・オブ・ザ・リング』のボロミア、映画『パトリオット・ゲーム』のテロリスト(思いっきりハリソン・フォードに殺されてました)、そして、『007/ゴールデンアイ』ではボンドに殺されてました。なんでもショーンはこれまでに少なくとも25回劇中で殺されているんだそうで、YouTubeでは『Sean Bean"s Death Reel』(ザックリ訳すと、『ショーン・ビーンの殺られ総集編』(苦笑))という、ショーンが映画で死ぬシーンばかり集めた総集編動画がアップされて200万ビューイングを記録したという事実があるほど。 『Legends』の、ツイッター上でのPRフレーズが、#DontKillSeanBean(ショーン・ビーンを殺すな)だったというのも爆笑で、これにはショーンも大笑いしたという話です。

『Legends』では、ショーン・ビーンがさまざまな架空の人間に成りすまして、悪者のテリトリーに乗り込んでいく様子をみるのもエキサイティングですが、何よりもマーティーはマーティーじゃないかもしれないという、何が事実なのか誰が敵か味方かわからない心理ゲームのよう部分がこのドラマの美味しいところ。日本上陸が待たれるところです!

Photo:
コミコン・インターナショナル2014 in サンディエゴ(c)明美・トスト/Akemi Tosto
Legends (2014) - filmstill(c)amanaimages