米NYタイムズのテレビ番組評論家マイク・ヘイルが、2014年を振り返り印象に残ったドラマ、ベスト10を発表。はたしてどんなドラマがランクインしているのか。日本に上陸している話題作から、これから上陸が楽しみな新作まで紹介しよう。
ヘイルは、何度もドラマを鑑賞して今回のベスト10を選出したという。最近、彼の目を引くのはケーブルテレビ系のシリーズ。トーンがブレない統一感とクオリティは目を見張るものがあるという。なかでも、彼が"他とは違うことをやろうとした"ドラマとして注目したのは、マーティン・フリーマン主演の『FARGO/ファーゴ』、スティーブン・ソダーバーグ監督の『The Knick』、そしてガエル・ガルシア・ベルナル主演の『Mozart in the Jungle』の3作品だ。
『ファーゴ』はブラックユーモアたっぷりのストーリー、『The Knick』はソダーバーグの考え抜かれているにもかかわらず、それをおくびにも出さない卓越したカメラワーク、そして『Mozart in the Jungle』は、テレビに初進出したガエルの演技がすばらしいとヘイルは触れている。
ヘイルが選んだ2014年のベスト10ドラマは以下の通り。
※( )はアメリカの放送局。
□『The Americans』 (FX) 元CIAのジョー・ワイズバーグが手掛ける、80年代ソ連との冷戦時代のスパイたちを描いたスパイドラマ。2014年5月にシーズン2が放送し、すでにシーズン3の更新も決まっている。
□『THE BRIDGE/ブリッジ』 (Hulu) こちらはスウェーデンとデンマークの合作ドラマ。アメリカのドラマではないにも関わらず、ヘイルのリストに入っているのは相当なこと。スウェーデンとデンマークを結ぶ国境の橋で発見された死体から連続殺人事件へと発展していくミステリーだ。
□『FARGO/ファーゴ』(FX) コーエン兄弟の映画『ファーゴ』をドラマ化。マーティン・フリーマン、ビリー・ボブ・ソーントンなど実力派&個性派俳優が出演する話題作。映画のブラックユーモア満載のテイストをそのままに、見事すばらしいドラマに仕上げていると評価も高い。
□『Happy Valley』(Netflix) 英国BBCのドラマ。自分の娘をレイプした男を追う女性警察官を描いた犯罪サスペンス。ヘイルは、主演の英国女優サラ・ランカシャーの「心が引き込まれる演技」と絶賛。かなり暴力シーンも激しいというウワサだが、謎の仕掛け方は英国ドラマなだけに緻密なようだ。
□『HOMELAND』(Showtime) シーズン4に突入してもクオリティをキープし続ける人気ドラマ。さすがのランクイン!
□『The Knick』(Cinemax) スティーブン・ソダーバーグ監督、クライヴ・オーウェン主演の医療ドラマ。舞台は1900年、ニューヨークの病院。『ザ・バンク 堕ちた虚像』などアクションだけでなく骨太演技もいけるクライヴとソダーバーグがタッグを組んだとあれば、確かに非常に高い映画さながらのクオリティが期待できる。
□『Louie』(FX) スタンダップ・コメディアン、ルイスC.K.が製作・主演・脚本を手掛けるコメディ。ヘイルは、30分コメディの中で、最も賢く楽しい番組の1つとしてピックアップしている。
□『Masters of Sex』(Showtime) 実在したセックス・リサーチの先駆者ウィリアム・マスターズ博士と、そのパートナーであるヴァージニア・ジョンソン女史の物語。シーズン2に突入しても、単なるセックス・ソープオペラにならずに、知的でしっかりとしたエンターテイメント作品としてクオリティを保っているとヘイルも納得。主演は『クィーン』でトニー・ブレア元首相を演じたマイケル・シーン。
□『Mozart in the Jungle』(Amazon) クラシック音楽界の舞台裏をスキャンダラスに描いたドラマ。ヘイルは「クラシック界の『セックス・アンド・ザ・シティ』」と形容している。映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』『バベル』のガエル・ガルシア・ベルナルが、ナルシストでセクシーで、エロエロな新進気鋭の指揮者を演じている。
□『ウォーキング・デッド』(AMC) シーズン5になってもその人気は衰えないゾンビ・スリラー。強い!(海外ドラマNAVI)
Photo:FARGO, Martin Freeman
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