Netflixがまもなく、配信動画に新しい動画エンコーディング技術を適用することを、米Varietyが報じた。ストリーミングのデータ量は20%も削減される一方、動画品質の見た目は変わらず、それどころか向上する可能性もあるという。
同社は従来、ユーザーのネット環境が許す帯域幅に応じ、品質レベルは異なるものの同一のエンコーディングによる動画を用意していた。しかし、同社が4年前から開発に取り組んでいた新技術では、大量のデータを必要とするアクション映画『アベンジャーズ』や、比較的シンプルなデータで済むアニメ『マイリトルポニー』など、作品に応じてエンコーディングの設定を調整するという。
この新技術の適用により、一部のユーザーが従来は低解像度で見ていたアニメを、帯域幅を1.5Mbpsに抑えつつ高解像度で見ることができるようになる。また、『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』のような実写ドラマも、1080pの高解像度のままで、帯域幅を5.8Mbpsから4.64Mbpsへと20%も削減できる。しかも、見た目にはほとんど違いがわからないとのこと。
しかも、エンコーディングの設定は、映画やアニメといったジャンルごとに一括して行うのではなく、配信動画の一つ一つに応じて最適化する。それこそ、TVシリーズのエピソードごとに異なる設定を用意するという、微に入り細にわたる適用となっている。
今日、北米の一般家庭では、ピーク時間におけるネットのトラフィックの37%を、Netflixの利用が占めているとの調査結果が出ている(Sandvine調べ)。トラフィックを20%も削減できることの意味は大きく、また、ネット環境が整っていない国々への同社の進出を容易にする効果もありそうだ。
Netflixはすでに一部のユーザーに向けて試験的に新技術を適用しており、再エンコーディングを済ませた人気の1000タイトルを、ホリデーシーズン向けに用意している。そして、2016年第一四半期までに全ての処理を完了させるということだ。(海外ドラマNAVI)
Photo:Netflix