『ゲーム・オブ・スローンズ』のジョン・スノウ役で知られるキット・ハリントンが製作総指揮・脚本・主役を務めた歴史ドラマ『ガンパウダー』が、BS10 スターチャンネルにて3月22日(木)23:00より独占日本初放送となる。これは、キットが出演しているという以外にも『ゲーム・オブ・スローンズ』と重なる点が多い作品なのだ。そんな両者の比較を交えて本作の魅力を紹介していこう。
■類似点1:キット・ハリントンはここでもジョン・スノウ!
舞台は17世紀初め。エリザベス1世の死去によりイングランドの王位に就いたスコットランド王のジェームズ6世が、カトリックと清教徒を迫害したことから起きた1605年の陰謀事件を描いている。人々は信仰する宗教を強制され、「本来の宗教」のミサに出席しないだけで重い罰金を課せられたり投獄され、改宗するよう拷問された末に、生きたまま八つ裂きにされたり絞首刑となった。
そうした事態に業を煮やして蜂起するのが、キット演じる主人公、敬虔なカトリック教徒でイングランドの貴族であるロバート・ケイツビーだ。ジョン・スノウと同じく剣の達人であり、不当な迫害に屈しないために、仲間とともに立ち上がることを決意する。彼は名誉と自由を重んじ、不利な状況であっても仲間がついていこうと思うような強いリーダーシップの持ち主だ。負け戦だから諦めて国外へ逃げるよう忠告されても、逃亡者になるくらいなら名誉と意義のある死を選ぶという高潔な人物でもある。
議会を爆破して国王をはじめとした王室一家と側近たちを殺し、同時に兵士を集めて政権転覆を図るというのは、基本的に平和主義のジョン・スノウにはイメージできないような過激な計画だが、そう考えるようになるのも理解できるよう、本作ではケイツビーたちがそれまでに味わってきた苦悩を丁寧に描いている。ケイツビーの子孫にあたるキット(本名クリストファー・ケイツビー・ハリントン)自身もインタビューの中で、「『ガンパウダー』は"選択"のストーリーだ。絶望的な人間がなぜその選択をしたのかを描いており、だからこそ素晴らしいドラマに仕上がったんだよ」と語っている。
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■類似点2:ケイツビーはあと一歩でサーセイになれた
先程、ケイツビーたちの計画はジョン・スノウらしくないと述べたが、議会を爆破して国王をはじめとした王室一家と側近を一挙に殺すというのに近いことをやった人物はいる。サーセイだ。第六章のラストで、サーセイは大聖堂を爆破し、雀聖下(ハイスパロー)とその信者、さらには息子トメンの嫁であり鼻につく存在のマージェリーをまとめて始末した。どちらもその建物の地下に大量の爆発物を仕掛ける形であり、『ゲーム・オブ・スローンズ』でその仕掛けに気づいたランセル・ラニスターがあと一歩早く、導火線の火を消すことができていれば、サーセイはケイツビーたちのように捕えられていたに違いない。言い換えれば、ケイツビーも計画通りいけばサーセイのように事態を一発逆転させられたはずなのだ。
サーセイとケイツビーは、爆破事件の前に、自身が信仰していない教えに改宗することを強要され、辱めを受けることも共通点。『ゲーム・オブ・スローンズ』の原作者ジョージ・R・R・マーティンは、同作のストーリーが薔薇戦争をはじめとした英国史に影響を受けていることを認めているため、サーセイが復讐を果たすこのくだりにケイツビーたちの計画がインスピレーションを与えていると考えるのは決して突飛なことではないだろう。
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■類似点3:駆け引き、裏切り...ドロドロの人間模様
そのほかにも端々で『ゲーム・オブ・スローンズ』を連想させる要素が満載だ。ケイツビーたちは計画への協力を求めてカトリック教国のスペインへと渡るが、同国は長らく続くイングランドとの戦いを終わらせるべく平和調停を結ぶことを優先し、ケイツビーたちを見放す。そうした政治的な駆け引きや裏切りもあって、次第に計画は失敗へと向かっていく。
そして、王の秘書長官を務めるロバート・セシルの、タイウィン・ラニスターのような狡猾さも見逃せない。常に先を読んで冷徹に行動し、陰謀計画を王に伝える際にも自分が情報源と悟られない形を採る。このセシルは背骨が湾曲しているという身体的コンプレックスを抱えており、そういう意味ではティリオン・ラニスターと被るものもある。ジェームズの前には女王(エリザベス1世)に仕えて厚い信頼を得ていたというのも、デナーリスの<王の手>となったティリオンと重なる点だ。
セシルを演じるのは、『ゲーム・オブ・スローンズ』でブレーヴォスの鉄の銀行の重役ティコ・ネストリスに扮し、『SHERLOCK/シャーロック』のマイクロフト・ホームズ役でも知られるマーク・ゲイティス。サーセイとも渡り合っていた彼が、ケイツビーの敵として強烈なインパクトを与える。
『ゲーム・オブ・スローンズ』最終章の放送が2019年と伝えられる中、キットの最新の演技が見られるという以外にも、様々な点で同作を彷彿とさせる重厚な歴史ドラマをぜひ味わってみてほしい。
■『ガンパウダー』放送情報
BS10 スターチャンネルにて3月22日(木)23:00よりスタート
[字]【STAR 1】毎週木曜 23:00~ ほか
[二]【STAR 3】毎週月曜 23:30~ ほか
公式サイトはこちら
Photo:『ガンパウダー』
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