【ネタばれ】好評『ウエストワールド』シーズン2、日本の江戸時代エリアも登場

アメリカの西部開拓時代をモチーフにしたテーマパークは、まるで人間のようなアンドロイドたちがゲストを迎えるユニークで広大な娯楽施設。一方的に利用されてきたアンドロイドだが、やがて自我を持ち、人間を相手に血なまぐさい反乱を起こす。4月22日から米HBOでシーズン2が放送されている『ウエストワールド』は、複雑なプロットと本格的なバイオレンスシーンが好評だ。(※本記事は、同シリーズのネタばれを含みますのでご注意ください)

テーマパークのアンドロイドが制御不能に

シーズン1では、パークのアンドロイドたちが人間に記憶をコントロールされ、テーマパークにゲストが来るたびに脳内をリセットされていた。こうしてゲストたちは毎回同じシナリオを楽しむことができるという寸法だ。しかし、寸分違わぬ日常を繰り返すうちに、アンドロイドたちはやがて自分たちの過ごす世界がどこか異常なことに気づき始める。シーズン終盤では農場に暮らす女性、ドロレスが自我に目覚め、ついに自身の製作者を殺害し、アンドロイドたちによる反乱が幕を開けた。

そのシーズン1から2週間後の世界を舞台にした今シーズンでは、パーク開業以来、初となる大規模な拡張工事が実施される。開拓時代のエリアに加え、新たに日本の江戸時代を模した「将軍ワールド」がお目見え。さらに西部ゾーンから脱走したと見られるトラの死骸が発見されるなど、不吉な前兆がストーリーを加速させる。

虚構の人生に怒りを燃やすドロレス、パークの脚本家を人質に取り娘探しの旅に出るメーヴ、運営側のスタッフでありながら自身がアンドロイドだと気づいてしまったバーナードなど、多彩なキャラクターたちが人気シリーズを盛り上げる。

賢者だけが辿り着く真相

本作では凝ったストーリーテリングの技法が採用されており、時系列の異なる複数のプロットが断片的に提示される形で進行する。ミステリアスなエピソードの断片がどう結びつくのかをめぐり、大手掲示板のRedditでは常に予測合戦が繰り広げられている。一見メインプロットに無関係に思える数々のサイドストーリーも、どれもが後々効いてくる計算し尽くされた構成が憎い。

米Entertainment Weeklyでは、複数の時間軸が織りなす複雑なストーリーや、あちこちに散りばめられたサブプロット同士のリンクなどを見どころに挙げている。今シーズンは新たな事実や謎が続々登場するが、各シーンが現在なのか過去なのか、はたまたそれ以外の何かなのかは、視聴者の判断に委ねられている。ヒントを求め、画面から1秒たりとも目が離せない。

一方、視聴者が難解なストーリーの行く末を読む予測合戦に終始してしまっている、と評するのは米New York Times紙。もっとキャラクターに感情移入しやすければストーリー上の謎にも興味を持ちやすかったと感じているようだ。ただし依然として観るに値する素晴らしい作品だとは同紙も認めており、愛ある苦言といったところだろう。

幅広い層が楽しめる3つの要素

難解なプロットが苦手でも、娯楽作品として楽しめる内容に本作は仕上がっている。Entertainment Weeklyは、爽快なバイオレンスシーンに注目。自らがアンドロイドだと気づいたバーナードはパークの運営親会社に保護されるが、そのフラッシュバックの中では、反乱の渦中にマシンガンを手に人間を虐殺した過去が明かされる。他にもアクションシーンが目白押しだ。

さらに、作品の根底をなすテーマも興味深い。人間の抱く愛や憎しみ、願いなどを疑似的にトレースするようプログラムされたアンドロイドだが、では、アンドロイドと人間との本質的な違いは何だろうか? 米San Francisco Chronicle紙ではこうした疑問を示し、人間とは何かという究極の問いに迫る高度なテーマが作品の人気の秘密だとしている。

凝った進行、バイオレンスとアクション、深いテーマ――三拍子揃えて、SFドラマ『ウエストワールド』は私たちの"来場"を待っている。(海外ドラマNAVI)

Photo:『ウエストワールド』シーズン2
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