米ABCで9月下旬から放送中の『Single Parents(原題)』は、夫や妻と別れたひとり親たちが、多忙な育児の合間を縫って人生をフルに謳歌するシチュエーション・コメディ。男手ひとつで娘を育てることに持てる時間のすべてを捧げてきた30代の男性が、自由奔放なグループと出会って衝撃を受ける。生真面目さが空回りしがちな主人公とグループのすれ違いに、思わず笑みがこぼれるような作品だ。
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■子育てに全力 人生にも全力
妻と別れたウィル(『ママと恋に落ちるまで』のタラン・キラム)は小学生の娘の育児に奮闘中。自身の時間をほとんど犠牲にして子育てに励んできたが、そんな人生に変化が。娘の転校先の小学校で、仲の良い片親が集まるグループとめぐり会ったのだ。彼らはオシャレに着飾る他の親から侮蔑ともつかぬ視線を浴びせられるが、意に介さず明るく生きようと、互いに強い絆で結ばれている。
当初、PTA活動を熱心に進めようとするウィルに対し、一人で育児をして多忙な彼らの視線は冷たい。しかし渋々ウィルをグループに迎え入れるうち、子どもの世話を交代でしたり、怪談を語り合ったりと、徐々に友情が育まれる。娘のためには自分の人生を我慢しなければと信じてきたウィルだが、彼らとの交流を通して必ずしもそうではないと意識を新たにする。グループとの交流は育児のプレッシャーから解放される良いきっかけとなり、ウィルは忘れていた人生の喜びを取り戻してゆく。
■親なら共感
グループの顔ぶれは実に多彩。弁護士見習いで多忙なアンジー(『ゴシップガール』のレイトン・ミースター)、熱心な共和党支持者のダグラス(『Hey!レイモンド』のブラッド・ギャレット)、歯に衣着せぬ物言いのポピー(『スキャンダル 託された秘密』のキムリー・ルイス)、DJとして将来有望な20歳のミギー(『キング・オブ・メディア』のジェイク・チョイ)など。そこへ、熱意が空回り気味のウィルが加わった形だ。
観始めこそ説明不足が気になる点もある、と指摘するのは米Variety。例えば、グループの面々は7歳児のクラスを中心に出会うが、赤ちゃんの父親であるミギーが姿を見せるのはやや不自然にも感じられる。しかし、冒頭から説明くさいシーンを並べられるよりは良いと、肯定的に捉えているようだ。
心優しく少し頼りない主人公ウィルを演じるのは、米NBCの長寿バラエティ『サタデー・ナイト・ライブ』で絶妙なモノマネと抜群の歌唱力を披露して人気を博すタラン。初めはこの配役に感心しなかったという米Salonも、一見の価値アリだと太鼓判。特に親ならば共感できるものがあるだろう。
■"隠し球"も見逃せないアンサンブルキャスト
多彩なキャストについて、Varietyはウィルを中心としたアンサンブル形式のコメディドラマだと紹介しつつ、特に切れ味の良いコミカルなテンポを披露するアンジー役のレイトンに注目。彼女のキャリアでもとりわけドラマチックな役柄だとしている。一方Salonは、親でなく子役の才能に言及。あくまで主役は大人だが、粒ぞろいの子役は思わぬ"隠し球"とも言える。彼らの口からは7歳にしては賢すぎるほど大人びたセリフが次々と繰り出され、キャスティングした人物は天才だ、と絶賛。大人が書いたセリフを熟練のコメディ俳優のように完璧なタイミングで話し、すっかり自分のものにしている、と舌を巻く。
子役にも主人公たちの中心グループにも優秀なキャストが揃う『Single Parents』は、米ABCで放送中。(海外ドラマNAVI)
Photo:『ゴシップガール』
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