新型コロナで中止の「SXSW 2020」、米Amazon Prime Videoが無料配信へ

毎年3月に米テキサス州の州都オースティンで、週替わりで行われる映画、音楽、IT、教育などインタラクティヴ分野を組み合わせた世界最大規模のフェスティバルであるSouth by South West(サウスバイサウスウエスト:以下SXSW)。今年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への懸念を理由に、このイベントは中止となり上映予定だった数多くの作品がお蔵入りとなってしまった。だが今回米Amazonがその作品に救済措置をとることが明らかになった。米Varietyなど複数のメディアが報じている。

4月27日(月)から5月6日(水)までの間、有料の米Amazon Prime Video会員だけでなく、米Amazonのアカウントさえあれば誰でも無料で39作品を視聴できる。SXSW映画部門ディレクターであるジャネット・ピアソンは、今回の措置について以下のようにコメントした。

「今は先が読めない状況です。皆が日常生活に戻ることを願っています。私たちはこの複雑な状況で最善を尽くそうとしております。SXSWは、成功への道を模索するクリエイターを常に助けてきました。夢を実現するための情熱、ビジョン、そして時には大胆な試行錯誤が必要です。 このような不確定要素の多い時代には、万能薬はありません。今、大勢の視聴者の前に立ちたいと思っている映画製作者は、今回のようなチャンスを興味深く思っていることでしょう」

また、Amazon Studio代表のジェニファー・サルケは、「すべての映画には独自の戦略があり、弊社が提供するこの機会は、製作者全員に意味があるとは限らないことを理解しております。ですが、できるだけ多くの人々とストーリーを共有したい人のために、このプラットフォームを提供できることを嬉しく思っております。皆さまに直接お目にかかることができるまでは、オンラインで、アメリカ国内の映画ファンの元に沢山の素晴らしい作品が提供できることを願っております」と述べている。

もともと4月初旬にAmazonは、SXSWサイドや製作者側と連携をはかって5月6日(水)まで全作品を配信しようと働きかけていた。だが、配信がアメリカ国内だけであることと期間限定のため、全員の合意を取りつけることができず、長編映画などは135作品中5%の配信で折り合いをつける形となった。『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』のクメイル・ナンジアニと『インセキュア』のイッサ・レイが共演するアクションコメディ『ラブバード』はNetflixにて5月22日(金)より配信開始となることが決定しているが、多くの作品が未だにバイヤーを模索している状況だ。

今回Amazonで無料配信される作品には、各国から出展されているドキュメンタリー、短編映画なども含まれている。(海外ドラマNAVI)

Photo:SXSW公式Twitterより