『ボディガード』『ライン・オブ・デューティ』クリエイター、黒人少年刺殺事件の続編を製作

英BBCの大ヒットドラマ『ボディガード-守るべきもの-』や『ライン・オブ・デューティ』で製作を担った、社会派クリエイターで知られるジェド・マーキュリオが、英ITVで1999年に放送された実録犯罪スリラーTV映画『The Murder of Stephen Lawrence(原題)』の続編を製作することが明らかとなった。米Varietyが報じている。

『The Murder of Stephen Lawrence』は、1993年4月に英ロンドン南部で若者のギャングに襲われて亡くなった、18歳の学生スティーヴン・ローレンスの殺人事件を再現したTV映画だ。同作は、スティーヴンの両親であるドーリーン&ネヴィル・ローレンスさんの目を通して描かれたが、『Stephen』と題された続編では彼を殺害した犯人二人を有罪に導く捜査が中心になるという。

バス停でバスを待っていたスティーヴンと友人の黒人少年二人は、10代の白人少年5人から成るグループに襲われ、逃げ遅れたスティーヴンが刺殺された。犯人5人は検挙されたものの証拠不十分で当初有罪にはならなかったが、英Daily Mail紙はこの5人の顔写真を名前を記載して「殺人者」として掲載し、「もし違うなら当社を訴えろ」と報道した。この事件をきっかけに警察内に横行する人種差別や機能不全など多くの組織的な問題が露呈し、「英国の良心を損なった」事件として世間を騒がせた。本件以降、英国警察や司法を含むあらゆる面で人種差別を見直すきっかけとなり、注目を集めた事件だ。

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3部編成となる続編では、『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』や『ウォーキング・デッド』でエピソード監督を務めたアルリック・ライリーがメガホンを取り、脚本を手掛けるのはフランク・コットレル・ボイス(『レイルウェイ 運命の旅路』)とジョエル・コットレル・ボイス(『Vivid(原題)』)。

オリジナルで監督を務めたポール・グリーングラス(『ジェイソン・ボーン』)とジェド・マーキュリオ、マーク・レッドヘッド(『ウィッチャーの事件簿』シリーズ)、ジミー・ムルヴィル(『デリー・ガールズ ~アイルランド青春物語~』)が共同で製作総指揮を担う。

ITVのドラマ部門でトップを務めるポリー・ヒルは、「素晴らしき映画である『The Murder of Stephen Lawrence』はそれだけでは終わらず、『Stephen』ではその後の物語へ続きます。ドーリーンとネヴィルが、息子スティーヴンが死に至る原因となった二人の男の有罪判決を獲得するまで、どれほど長い時間かかったかを覚えておくことは重要です」と続編について語っている。

そして、スティーヴンの母親であるドーリーンさんは、「この映画に描かれた出来事は何年も前に起きたことですが、現在にも大いに関連があります。私たち家族が経験して苦しんだ警察による人種差別は、英国でも多くの人々が経験していることだと認識しています。映画とドラマが、私たちが経験したことへの理解を深め、結局は正義が勝つのだという希望を他の人に与えることができればと願っています」と述べている。(海外ドラマNAVI)

Photo:『ボディガード-守るべきもの-』©Sophie Mutevelian/World Productions/Netflix